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不可能を可能にした先端医療の実力に迫る!

ロボット手術が拓く外科イノベーション「ダヴィンチ」

堀江重郎
順天堂大学医学部大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
手術ロボット「ダヴィンチ」。それは人類の外科手術の歴史におけるイノベーションとなる先端医療機器。不可能を可能にした先端医療の実力と可能性を語る。※手術中の動画も含まれますので、ご注意ください。
時間:15:29
収録日:2014/05/02
追加日:2014/07/31
タグ:
≪全文≫

●高精度手術を可能にした手術ロボット「ダヴィンチ」


 この器械は、手術ロボットのダヴィンチと言います。これはそもそも戦争の前線で兵士が負傷した場合に、後方にいる医師が遠隔医療として手術医療を行うというコンセプトでアメリカで開発されてきました。

 実際、アメリカでは10年ほど前から臨床に応用されておりまして、現在米国では1500台導入されており、泌尿器科、産婦人科、あるいは心臓外科、一般外科をはじめ、非常に多くの手術の現場で使われています。

 この手術ロボットダヴィンチは、日本では2年前(2012年)から前立腺がんの手術が保険で承認されています。また、腎臓や膀胱の手術に対して、保険外の自費で診療が行われており、既に国内170台と、世界ではアメリカに次いで2番目に導入台数が多くなっています。

 ダヴィンチにはさまざまな特徴があります。まず、患者の体の中を拡大して見られる、しかも、3D画像で奥行きまで分かります。さらに、非常に細かい手術の操作であっても、医師はかなり大きく手を動かすことができます。医師の手の大きな動きが、実際の患者さんの体の中では小さくなるのです。これによって、非常に丁寧な、また、正確な手術ができることが特徴です。

 今回はこのダヴィンチについて、そして先進医療、あるいは医療機器の価格といったことについて考えていきたいと思います。

●人類の歴史における外科手術の発展


 それではまず、人類の歴史における外科的な手術のイノベーションについてお話ししたいと思います。

 この絵をご覧ください。これは19世紀から20世紀にかけての膀胱結石の治療方法を表した図です。膀胱の中にカルシウム、その他の塩分が蓄積して固まった球状の結石が生じた時、どのように治療をするかということです。具体的には、男性のペニスの先からこのさじのようなものを膀胱の中に突っ込んで、そして石を探って外へ出すといった治療が行われておりました。

 皆さん、これをどう思われるでしょうか。もちろん当時はまだきちんとした全身麻酔の方法もありません。ですから、大変な苦痛を伴うことが予想されます。そして、体内にさじを入れながら、外科医の勘で石を探ってそれを外に出してくるわけです。これはまさにゲームセンターのUFOキャッチャーよりもはるかに難しい技術だと思います。またその過程においては膀胱や尿道といった臓器を傷つけてしまう可能性があります。あるいは、石を取ろうとしても取れないこともあるかもしれません。そしてまた、こういった技術をどのように医師から医師へ伝えていけるかということに関しても、何ら基準となる方法がありません。若い外科医の卵たちが理解していく方法論もありません。

 こうしたことから、外科手術のイノベーションを考えるとき、まず重要となるのが、正確に手術をするということです。手術する対象の過不足なく、その臓器、あるいはその対象に対して手術をすることです。二つ目は、安全性、あるいはその患者さんへの負担をなるべく少なくすることです。そして三つ目として、医師から医師、外科医から外科医へのきちんとした技術の伝承が可能であること。この三つが、手術のイノベーションにおいて、たえず重要視されてきたことです。

●外科手術の質を高める画期的なイノベーション


 この手術ロボットダヴィンチは、拡大した視野、そして、人間の手指と同じような、むしろ手指の機能をサポートしてくれる技術によって、まず非常に正確に手術を...
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