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われわれはレイアウトの中で、考えながら生きている

「アフォーダンス」心理学~環境に意味がある(7)面のレイアウトにある意味

佐々木正人
多摩美術大学美術学部・統合デザイン学科客員教授/東京大学名誉教授
概要・テキスト
われわれを取り囲む面のレイアウトは非常に多様である。乳児の行動を観察すると、床面や段差、あるいは壁際のレイアウトによって、さまざま動作を工夫していることが分かった。また、面のレイアウトにある物によっても、乳児は遊びながら多くのことを学んでいく。人はこうしたレイアウトにある秩序を感じ、自分で置き換えたりしながら成長していく。(全9話中第7話)
時間:10:24
収録日:2019/03/18
追加日:2019/08/24
カテゴリー:
≪全文≫

●面のレイアウトには多様な意味がある


 媒質の情報が特定しているのはサーフェスのものすごく多様なレイアウトで、デザイナーなどはそこに新しいレイアウトを付け加えようと頑張っているわけです。

 では、どのような情報があるのかを少し紹介します。

 ギブソンはまず地面、囲い、遊離物、付着物を挙げています。遊離物(detached object)とは持ち上げられる物のこと、付着物とは木のような物で地面から切り離せない物のことで、オブジェクトはこの2つだとギブソンは言っています。それから、部分的囲い、場所も挙げています。つまりギブソンは、われわれがどのように住んでいるのか、どのような物があるのかというようなことを全部面のレイアウトで語ろうとした人なのです。


●乳児の歩行と地面や床面のレイアウト


 いくつかのレイアウトを動画で紹介しますが、それは私どもが編集した『動くあかちゃん事典』(小学館)という動画のデータベースに収録されているものです。

 まず、最近ニューヨークの実験室で行った研究なのですが、151名の歩き始めの乳児を観察したところ、1日に14,000歩歩いていたということが分かりました。移動距離は大体4キロメートルくらい、また約100回転んでいたのです。要するに、歩き始めというのは結構たくさん歩いていて、4~5歩で転んで方向転換する、ということを延々とやっているのです。そのようなことを可能にしているのが地面なのです。

 もう1つ面白い研究があります。日本の研究なのですが、座位から立ち上がって歩く、立位から歩き始めるなど、いろいろな場合があるのですが、6割の赤ちゃんが何か物を持っていたというのです。

 その映像をご覧ください。歩き始めのこの子も物を持って歩いています。うまく歩いていますが、ここにあるおもちゃをあちらに持っていくというのがモチベーションなのです。


●段差と乳児の動き


 また、部屋の中にはいろいろな段差があります。この段差も、赤ちゃんはとても楽しみます。

 ここで、初めて寝返りをした時の赤ちゃんの映像をご覧ください。

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