10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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豊かさの差をもたらしたのは250年ほど前の革命

2050年の世界を考える―世界の現状(1)視点1:豊かさは再び均一化していく~その2

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長
情報・テキスト
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第2話目)
時間:07:51
収録日:2014/08/03
追加日:2014/09/26
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第2話目)
時間:07:51
収録日:2014/08/03
追加日:2014/09/26
≪全文≫

●産業革命が豊かさの差をもたらした


 では、いつ差が出たのか。何によって差が出たのか。それは、産業革命なのですね。

 250年ぐらい前に、産業革命が始まって、産業革命をやった国が豊かになったのです。

 この数字はあまり覚えなくても良いですが、今、世界で200人に1人の人が農業をやれば、世界中の人が食べられるだけの穀物をもうつくれるのです。昔は、全員農業をやって、ようやく食べることができました。つまり、1人分を1人がつくっていたのですが、今は200人分を1人でつくれるのです。

 それはなぜかというと、農業に機械が導入されて、肥料がつくれるようになったからで、全て産業革命のおかげなのです。産業革命をやった国が、豊かになって先進国になったのです。


●産業革命の有無で「先進国」と「植民地」に分かれた


 では、どこが先進国かといえば、大陸で見てみれば、イギリスで始まった産業革命ですから、ヨーロッパが先進国になっています。それから、ヨーロッパのクローンのようなアメリカ、北アメリカ大陸、カナダ。それから、オーストラリア、ニュージーランド、それらが先進国になったのです。

 では、残りはどうなったか。ほとんど皆、植民地になったのです。アフリカは、例外はあるのでしょうか、ほとんど全部のところが植民地になりました。アジアもほとんどがそうですね。中国は植民地にはなっていませんが、アヘン戦争などを仕掛けられたり、実質的にはほとんど植民地と同じような状況になりました。もう一つの大陸が南アメリカ大陸で、今年サッカーのワールドカップをブラジルでやりましたが、あそこももうほとんど例外なく、全部植民地になったわけでしょう。

 ですから、1000年前の昔まで見ると、同じような貧しさにあった国が、産業革命によって、人類が初めて非常に物質的に豊かになることができたのです。そういうところが先進国になったのです。そして、残りの9割の国が植民地です。人口でいうと10パーセントぐらいが先進国で、90パーセントぐらいが植民地という時代です。これがつい最近まで続いたのです。


●今、豊かさの差は減少して再び均一化傾向へ


 ところが、この図の一番右側を見てみると、急激に先進国のGDPが落ちているのが分かりますね。これは、僕たちが貧しくなったわけではないですね。ただ、それほど成長していない。GDP成長率が年率1パーセントとか、もう本当にゆっくりしか成長しなくなっているのです。

 ここを見てみると、この図には中国とインドしか書いていないですが、中国やインドなど、今まで遅れをとっていた国が、急速に工業化を始め、そして、豊かになってきたわけです。ですから、他の今まで植民地だったような国が急激に豊かになってきて、差が接近してきているのです。

 こういう時代を見てみると、「僕たちは非常に特殊な時代を生きている」と言えるのです。今までよりも、この頃、1000年前と比べたら1000倍ぐらい物質的に豊かな状況で、「もう1回世界の人々が均一化してきている」というところを、僕たちは生きているわけです。


●これからは、日本なりの輝きを目指すべき時代


 そうすると、「中国にGDP(国内総生産)で日本は抜かれた」というようなことは当たり前なのです。中国の人々が1人当たりで日本の10分の1生産するようになれば、中国は人口が日本の10倍いますから、それで生産量は同じになります。10分の2生産するよう...
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