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日本では「イノベーション」の定義が間違っている!

世界から見た日本(1)カタカナ語のガラパゴス化と内向き志向

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
なぜ日本人はカタカナ語に弱いのか? なぜ日本は競争力を失ったのか? 今後、「世界に通用する日本」になるために、私たちが身につけるべき力とは? 日米両国をよく知る齋藤ウィリアム浩幸氏の警告と知見。(前編)
時間:11:32
収録日:2014/07/25
追加日:2014/10/03
なぜ日本人はカタカナ語に弱いのか? なぜ日本は競争力を失ったのか? 今後、「世界に通用する日本」になるために、私たちが身につけるべき力とは? 日米両国をよく知る齋藤ウィリアム浩幸氏の警告と知見。(前編)
時間:11:32
収録日:2014/07/25
追加日:2014/10/03
≪全文≫

●外来語の定義があやふやであることの弊害


── 「世界標準」についてお聞かせいただけますか。

齋藤 そうですね。世界標準も大事なのですが、そのエッセンスといいますか、最近はよく言葉の定義からお話ししています。特に横文字がカタカナ化された日本独自の言い回しに、定義が間違っていたり、あるいは古くなっていたりするケースがあり、気になっています。

 例えば、〝M&A〟という言葉です。〝Mergers and Acquisitions(合併と買収)〟という意味ですが、日本の場合は、語義通りのM&Aはしていないと私は思っています。「去年は記録的にこれだけM&Aをした」などとよく言いますが、日本はM&Aではなく、M&Aの〝A〟しかしていないと思います。チームがつくれない結果、〝M〟がなかなかできないのです。だから統合がきちんとできない。

 ベンチャー企業に多い勘違いが、〝IPO(株式公開)〟をゴールと考える捉え方です。IPOを分けて考えると、〝initial(最初の)〟〝public(公開の、パブリックな)〟〝offering(提供)〟です。ですから、IPOを実施することは、それで初めてちゃんとスタートラインに立つということなのです。にもかかわらず、日本はIPOをゴールと見てしまうから、いろいろ問題を起こしているということがあります。

 〝R&D(研究開発)〟も同じです。〝Research〟はしますが、〝Development〟は物にしていない。これも研究機関や大学の研究所などを見ていてよく思うことです。

 言葉の定義のブレという意味で大きいのは、「イノベーション(innovation)」です。イノベーションについてはよく講演をする機会があるのですが、会場の皆さんに、日本の携帯電話を持っているか、あるいは、例えばiPhoneなのかを問い、それぞれ手を挙げてもらうと、約1対10の割合でiPhoneに多く手が挙がります。そして日本の携帯電話を選んだ人に理由を聞くと、「つくりがいい」「中身がいい」といった答えが返ってきます。これは確かに正しいです。日本製もゼロではないので、まだいいとも言えます。ただ、このことからも分かるように、日本人の考えるイノベーションは、イノベーションの定義としては少し古いかなと私は思います。

 普通、日本でイノベーションというと、どこか科学技術のようなにおいがします。理系のにおいがします。確かに日本の携帯電話は優れています。中身はむしろiPhoneよりいい。ですが、ではなぜiPhoneがあれだけ売れて、日本の携帯電話のメーカーは衰退しているかというと、イノベーションの定義が変わってきたからです。イノベーションは科学技術だけでなく、やはりデザインが入ってきていると思うのです。

 日本の場合、私がとても気になっているのは、教育上、おおよそ高校くらいで理系と文系を分けてしまうことです。文理を分けて、お互い別の道を行きながら、そして社会人になって初めてまた接点を持つ。しかし、そこで再会したときに、やはり会話が伝わらないのですよね。それではいいものができない。チームができない。

 だから、やはりイノベーションという概念も、日本では定義が間違っていると私は強く思います。

 もう一つ、やはり世界的に少し違うと感じるのは、「アントレプレナーシップ(entrepreneurship)」です。私はアントレプレナーシップを非常に支援していますが、普通、日本人にアントレプレナ...
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