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重労働の採掘よりもっと金が採れるものが身近にある

2050年の世界を考える―プラチナ条件(5)都市鉱山(リサイクル)

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長
情報・テキスト
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第12話目)
時間:04:43
収録日:2014/08/03
追加日:2014/10/06
≪全文≫

●より効率の良い方法で、鉄を得る-金属はリサイクルの時代


 それから、もう一つ、「日本は資源がない国だから、資源を買わなくてはいけない」ということを長期に見たとき、それは大間違いです。

 というのは、例えば「資源を買わなくてはいけない」といってすぐに思い出すのは、鉄鉱石だとか、アルミニウムをつくるボーキサイトだとか、金を輸入するといった金属なのですが、これは、必ずリサイクルになるのです。必ずなります。

 これは、どうしてなるかというと、鉄は空気中に置いておくと錆びてしまいます。錆びてしまうということは、鉄が酸化鉄になるということですね。ですから、鉄鉱石は空気中にずっとあったものですから、酸化鉄なのです。

 ここから酸素をとるのに、たくさん膨大なエネルギーを使うのです。溶鉱炉は、鉄から酸素をとるためのもので、そのためにコークスを使います。それがものすごいエネルギーなのです。

 けれども、例えば、自動車は1年に480万台スクラップが出てきますね。これは主として鉄なのですが、今は、このスクラップを溶かしているのです。溶かしてもう1回使っています。これが鉄のリサイクルということです。そうでしょう?

 そうすると、「どちらがエネルギーを使うだろうか」ということになります。鉄を溶かすエネルギーと鉄鉱石から酸素を外すエネルギーというのは、酸素を外す方が27倍大きいのです。これは鉄の場合で、アルミニウムの場合は83倍です。

 「買わなければいけない」と言っている鉄鉱石やボーキサイトなど、そういう天然資源から鉄やアルミニウムをつくる方が、もう圧倒的に、今あるスクラップを溶かすよりもはるかにエネルギーがいるのです。

 日本で自動車はもう飽和しているのです。ですから、480万台の古い自動車から480万台の新しい自動車をつくればいいのです。つまり、もう資源があるのです。君たちの時代には、金属は必ずリサイクルになります。


●重労働の採掘より、リサイクルで金が採れる


 それから、金でいうと今、南アフリカなどで金がたくさん採れます。金は空気中に置いておいても錆びないです。ですから、金は岩石の中できらきらして見えるわけです。ところが、量が少ない。1トンの岩石を南アフリカで掘って、金は5グラムしか入っていないのです。

 ところが、携帯、モバイル、スマホ、これを1トン集めると、その中には250グラムの金が入っているのです。どちらがいいか? 

 南アフリカで3000メートルの深さのところまで君がもぐると考えてごらんなさい。もぐって、1トンの岩石を上げるわけです。これは機械が上げてくれますが。その中に5グラムようやく入っている、というのに比べて、携帯を使い終わった後に、何か集まる仕組みをうまく考えれば、そこから250グラムの金、50倍の金が採れるのです。もう、こちらのやり方になるに決まっているわけです。


●都市鉱山の活用で、新たな地球社会のモデルをつくる


 ですから、金属は、もう間違いなく君たちの時代にはリサイクルが主体になっている。これを「都市鉱山」と言っているのですが、これからは都市鉱山が主体になります。もともと日本は資源が、地下資源がないのです。けれども、そのようなものがいらない時代に入るのです。

 こういう社会を早くきちんとつくろうということです。そういう社会をきちんとつくることが、日本が生きていくために不可欠なのです。

 そして、これが世界の21世紀の地球社会のモデルをつくるのです。
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