10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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トルコ革命のカラベキル将軍が司令部を置いた地

トルコ現地調査レポート(1)東アナトリアの山間部を訪ねて

山内昌之
東京大学名誉教授/歴史学者/明治大学研究・知財戦略機構国際総合研究所特任教授
情報・テキスト
『中東国際関係史研究』の著者、山内昌之氏がトルコに赴き、約2週間の現地調査を行った。史実調査のみにとどまらず、現地の厳しい自然や人々との交流を通して得た学問的成果や思いを語る。(全3話中第1話目)
時間:11:03
収録日:2014/07/17
追加日:2014/10/16
『中東国際関係史研究』の著者、山内昌之氏がトルコに赴き、約2週間の現地調査を行った。史実調査のみにとどまらず、現地の厳しい自然や人々との交流を通して得た学問的成果や思いを語る。(全3話中第1話目)
時間:11:03
収録日:2014/07/17
追加日:2014/10/16
≪全文≫

●研究・考察の確認と人々との交流を意図して現地へ赴く


 皆さん、こんにちは。私は、この6月22日から7月4日まで、トルコ共和国に行ってまいりました。そのうち1週間は、トルコの東部アナトリアと言われている山間部、山地部の現地調査に出かけてまいりました。残りの1週間は、アンカラ、イスタンブールを中心とする都市部における人々の聞き取り調査、あるいは、関係する史跡の訪問などをいたしました。

 この基本的な目的は、昨年の秋に発行した『中東国際関係史研究-トルコ革命とソビエト・ロシア1918-1923』(岩波書店)という私の書物の舞台を、改めて観察することにありました。その本では、紙の上での本や文書館の資料、図書館の書物、そうした文献資料を中心に、考えをまとめたものでありました。

 しかし、研究的にも、どこかやはりこの地域の様子や人々のたたずまいというものはどういうものなのか、今一つ自分で理解できない部分もありました。また、行ったこともない場所も多々ありましたので、この機会に書物で触れた土地や山々、あるいは、川というものを自分の目で確かめ、ささやかではありますが、そこに住む人々との交流や語らいということを意図して出かけてまいりました。

 徒歩と自動車による東アナトリアの登山は、大変にきついものもありましたが、学問的にすこぶる有益でありました。また、イスタンブールやアンカラにおける都市部においては、この書物の主人公ともいうべきキャーズィム・カラベキル将軍の三女、ティムサル・カラベキルさんとお会いしたり、関係の人にインタビューすることもできて、まことに有益でした。

 この旅の後半は、この「10MTVオピニオン」の主催者である神蔵孝之会長にも同行していただきまして、神蔵さんにもこのような人々との触れ合いについていろいろとご感想をうかがったり、あるいは、そういうお立場から、トルコの歴史と政治に対するお考えなども併せて先方の人たちに伝えていただくなど、大変有益な交流も図られました。


●厳しい自然環境と水の流れがなす豊かな景観を実感する


 さて、私が参りました東アナトリアは、標高1500メートルから2700メートルの高地で、山々の連続でありました。そもそもエルズルムやカルスという都市が1000メートル、あるいは、1200メートルクラスの高地にある町々なのです。地図だけで見ますと、まずこうしたこれらの町が1200メートルぐらい、あるいは、それ以上のところにあるという認識を、どうも持つことが難しいのですが、実際に行ってみますと、これらの地域の気候、すなわち空気の薄さや、夜は寒くなったり、突如として天候が変化するといったような高地特有の現象も、確認することができたわけであります。

 気圧や空気の変化というのは、時に難儀を極める原因でありましたが、その間、私は、1週間ほど羊の肉とヨーグルト、それから新鮮な野菜のサラダ、さらにハチミツ、紅茶といった食事で、朝の8時から夕方の早くて6時過ぎ、遅ければ8時過ぎぐらいまで、自動車と徒歩によって、ある意味では単調な東アナトリアのスケジュールをこなしたわけであります。

 ちょうどこの地域に6月に行ったというのは意味がありまして、4月に入ってもなおかつ積雪がある地域だからなのです。そもそもこの冬のエルズルム高原やカルス平原は、平均積雪量がおよそ0.5メートルから1.5メートルあるわけであります。さらに、高地や山地に入りますと、そこには4メートルから6メー...
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