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総選挙後のアベノミクス第2ステージはどうなるのか?

今回の解散総選挙が経済に与える影響

伊藤元重
東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授
情報・テキスト
12月の総選挙を機に、アベノミクスのこれまでを振り返り、今後の方針を見極めてみようと、伊藤元重氏は言う。発足2年の安倍内閣が経済政策でできたこと、できなかったこと。そして、選挙後の第2期アベノミクスは何をどのように目指していけばよいのだろうか。
時間:12:49
収録日:2014/12/09
追加日:2014/12/13
12月の総選挙を機に、アベノミクスのこれまでを振り返り、今後の方針を見極めてみようと、伊藤元重氏は言う。発足2年の安倍内閣が経済政策でできたこと、できなかったこと。そして、選挙後の第2期アベノミクスは何をどのように目指していけばよいのだろうか。
時間:12:49
収録日:2014/12/09
追加日:2014/12/13
≪全文≫

●アベノミクスを振り返り、将来を見据えるための総選挙


 安倍内閣は、消費税の10パーセント引き上げを1年半延期することを決定して、国会解散に踏み切りました。選挙の結果は、この時点(12月9日収録)ではまだ判明していませんが、大方の予想では現状のまま自民・公明与党で安倍政権が続くと言われています。それを前提に、これからお話をしてみたいと思います。

 安倍内閣は発足してほぼ2年になります。この間にアベノミクスが成し遂げたことは何だったのか。そして、これまでのアベノミクスの反省の上に、選挙後の新しい転換の中で、安倍内閣はどのような経済政策をすべきなのか、あるいは、すると予測されるかについて、いくつかお話をさせていただきたいと思います。


●デフレ脱却を示す数字が、消費や投資に波及していない


 まず、アベノミクスの典型的な特徴は、非常に大胆な金融緩和と踏み込んだ財政刺激によって、非常に早いスピードでデフレからの脱却を実現することにありました。このような政策の結果、ご案内のように株価や為替レート、物価、企業の収益、政府の税収、雇用(特に有効求人倍率や失業率)などの数字が、短期間の間に好ましい方向に向かいました。

 これがアベノミクスの一つの特徴で、非常に強力なパワーを持っていたことは、海外からも注目されました。

 ところが、残念なこともあります。企業の業績が過去最高だと言われているにもかかわらず、企業の設備投資はなかなか伸びていかない。あるいは雇用についても、失業率3.6パーセントというほぼ完全雇用に近い状況であるにもかかわらず、国民の消費はなかなか増えていかない。おそらくこのように、なかなか「熱しにくい」あるいは「腰が重い」状態で、消費や投資に波及していかない点が、これまでのアベノミクスが抱えていた課題だろうと思われます。


●企業と国民の「デフレ・マインド」払拭が、今後のカギ


 しかし、ある意味で、これは当然のことでもあります。経済に魔法はありませんから、何か政策を採ることで全てが見違えるようによくなるわけではありません。為替や金利や企業収益や株価が非常に早く動いたからといって、腰の重い消費や投資はやはりなかなか動きません。特に、10年以上デフレを経験してきた日本の企業や国民が引きずっているデフレ・マインドは非常に深くて重いため、なかなか払拭されないということだろうと思うのです。

 したがって、選挙後アベノミクス第2ステージということになってくると、それをどのように修正していくかがポイントになります。そうすると、成長戦略がやはり一つのカギになるだろうと思います。

 先ほど少し申し上げたように、企業の業績はかつてないほど高いのにもかかわらず、投資はなかなか増えていかない状況であるとすると、企業経営者のマインドにおいて「日本経済はこれから活況を呈するから、今が投資のチャンスだ」とは、まだ思い切れていない部分があることを意味しています。そうだとすると、成長戦略をもっと踏み込んでやることにより、企業経営者のマインドを変えていくことが必要になってくるのです。


●成長戦略の方向性は正しく、メニューも出そろっている


 安倍内閣は、これまでにもいろいろな成長戦略を行ってきました。例えばGPIF(公的年金運用機構)の改革やNISA(少額投資非課税制度)の導入等を通じて、日本が持っている巨額の金融資産を動かしていく。あるいは法人税率を下げることで、企業の投...
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