10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
このエントリーをはてなブックマークに追加

アベノミクス第三の矢―日本再興戦略と新成長戦略とは?

アベノミクス第三の矢・日本再興戦略と新成長戦略

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
アベノミクスを評価するにせよ、批判するにせよ、その内容の正しい理解が大前提である、と島田晴雄氏は語る。「経済成長なくして財政再建なし」と語る安倍首相が打ち出す成長戦略とは? 第一、第二の矢に続くアベノミクス・第三の矢の徹底解説。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第2話目)
時間:13:15
収録日:2015/01/27
追加日:2015/02/13
ジャンル:
≪全文≫

●日本再興戦略(1)日本産業再興プラン~経済の新陳代謝を早める


 安倍晋三首相が2013年に発表したのはどのような成長戦略かというと、これには「日本再興戦略」という名前が付いているのですが、ざっと見て三つのアクションプランから構成されています。

 その一つが、「日本産業再興プラン」といいます。これは一言で言えば、経済の新陳代謝を早めるというもので、民主党とは相当考え方が違うと思います。例えば、産業について言うと、日本には「ゾンビ企業」がたくさんあります。民主党の場合には、なるべく事を荒立てないように、軟着陸というか、いろいろな補助を出していたと思いますが、安倍さんはそれをざくっと削って、もっと成長志向、未来志向のところへ資金を動かすという考えです。

 労働については、もっと決定的に違います。民主党は雇用保障ということを非常に重視していました。雇用調整給付金という制度がありますが、例えば、生産が10パーセント落ちたとすると、1000人雇っている企業は、100人解雇しなければいけません。ですが、「そういった場合、解雇しないでください」というのが民主党の方針でした。「労働省に申し出れば、審査の結果、中小企業なら賃金の3分の2まで補てんします。大企業でも半分補てんします」ということを、民主党はたくさんやりました。何千億円もこの雇用調整給付金に使ったのです。

 これを安倍さんは10分の1ぐらいに削っています。「保障はしない。その代わり、次の未来型産業の方に移動してください」という方針です。これは新陳代謝ですね。そして、そういうものをトータルで促進する法律として、「産業競争力強化法」をちょうど1年ぐらい前の2013年12月に通しました。今、そこからいろいろな補助金が出てやっています。


●日本再興戦略(2)戦略市場創造プラン~新しい分野を市場にする


 それから、もう一つは、「戦略市場創造プラン」というのがあります。これは、これまで市場とは考えられなかったような分野、例えば、健康やエネルギー、次世代インフラや、農村なども世界から稼げるものがあるではないか、そういう分野を市場にしよう、ということで、経産省が一生懸命書いたのですが、これは民主党の再生戦略とあまり変わりません。文章としては良く書けていて、今、動いているようですが、“See what happens.”ですね。


●日本再興戦略(3)国際展開戦略プラン~自由貿易の相手国を増やす


 それから、三番目のプランは「国際展開戦略プラン」というものです。これは何かというと、自由貿易の相手の比率をうんと増やすというものです。今、日本は世界の中でトレードしている自由貿易の相手が19パーセントぐらいです。これを、当時から5年で、つまり、今から3年半で、ということですが、70パーセントへもっていくというのです。

 どうしたらそのようなことができるのかと言えば、例えば、TPPです。TPPが実現すれば、おそらく3割か4割になります。それから、中国の習近平さんが唱えているRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership、東アジア地域包括的経済連携)。これは、TPPよりもう少し自由化ルールが緩くて、もっと大がかりな構想です。さらに大がかりなFTAAP(Free Trade Area of the Asia-Pacific、アジア太平洋自由貿易圏)など、いろいろあります。そういうものを皆、日本が強...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。