10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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今の日本が最も参考にすべき国とは?

日本の成長のキーワードは「全否定」

島田晴雄
慶應義塾大学 名誉教授
情報・テキスト
ドバイ
島田晴雄氏はアベノミクスを評価しつつ、過去データから算出された数字やパーセンテージにとらわれていては、到底、真の「成長」は望めないだろうと指摘する。今、日本が最も学ぶべき国はどこか? どのような方法を学ぶべきか? 「全否定」をキーワードに送る、島田氏の「成長戦略」講義。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第9話目)
時間:12:26
収録日:2015/01/27
追加日:2015/03/04
ドバイ
島田晴雄氏はアベノミクスを評価しつつ、過去データから算出された数字やパーセンテージにとらわれていては、到底、真の「成長」は望めないだろうと指摘する。今、日本が最も学ぶべき国はどこか? どのような方法を学ぶべきか? 「全否定」をキーワードに送る、島田氏の「成長戦略」講義。(2015年1月26日開催島田塾第120回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 アベノミクス 2年間の経験とこれからの日本経済」より、全10話中第9話目)
時間:12:26
収録日:2015/01/27
追加日:2015/03/04
≪全文≫

●アベノミクス「成長戦略」の評価

 
 前回、日本社会は、内外のメガトレンドの大変化にも関わらず、高度成長時代に出来上がったシステムを未だに抱えている。成長戦略とは、この硬直した社会の体質改革をやろうとしているのだ、ということをお話ししました。そこで、皆さんと考えたいのです。この状況で、私が「アベノミクスに成長戦略はないのではないか」と言っているのは、そういうことを意味しているのです。

 戦後のガチガチにできた体制を変えようとしていることは、これはもう本当に高く評価すべきものです。いろいろなところからすごい抵抗がありますけど、とにかくやっている。私は立派だと思います。戦後の歴代内閣の中で、最も頑張っていると思います。

 でも、「成長」というのではないのではないか、と思うのです。「人口が減っていくから成長は望めないんだよな」とか、「資源がないから成長は無理なんだよな」という意見もあると思います。ここで、そういう意見に対して、一つ、二つ例を出してみたいと思います。


●人口資源がなくても成長を遂げたドバイ


 人口や資源がない場合に成長できないのかというと、ドバイを見てみたら面白いですよ。ドバイに行かれた方は多いと思いますけれど、ドバイは、昔はベドウィンの砂漠と真珠貝くらいが観光資源という小さな国でした。ですが、いま七つ星のホテルなど「世界一」のものは全部ドバイにありますよね。

 なぜあのようなことが出来たのかというと、ドバイの首長であるシェイク・モハメドさんが偉かったからです。ドバイはユーラシアとアメリカとアフリカ大陸を結ぶ真ん中の地点にあります。ですから、飛行機がそこを通るときに空港料を全部タダにして、すごい誘致戦略を組むと言ってしばらくやったら、本当に外国の企業が来たのです。それで、どんどん資源がたまって、今のようになったのです。

 今、ドバイの人口は220万人ほどですが、ドバイ人は、どのくらいいるか知っていますか。1~2割程度なのです。ほとんどが外国人で、特にインド人が約半数を占めています。ドバイに行くと、インド人の立派な邸宅がだーっと並んでいますよね。現地国籍の人口が少なくても、企業の誘致といったことをやればできるではないですか。日本も、ヨーロッパとアメリカの真ん中に位置しているわけですから、金融などもっと活発になってもいいはずなのに、なぜシンガポールやオーストラリアに追いかけられるような状態なのか、ということです。時差のことだけをとっても有利なのですから。


●資源のない国シンガポールの実例


 もう一例、資源が全くない国で伸びた国もあるのです。シンガポールがそうです。ご存知のように、シンガポールは1963年に独立宣言をしています。当時のマレーシア連邦のトゥンク・アブドゥル・ラーマン首相は非常に頭のいい人でした。一方のシンガポール初代首相のリー・クアンユーさんは若い政治家で、「機会の均等だ」と正論を吐いていました。ところが、ラーマンさんは「結果の均等」ということをやったのです。

 どういうことかというと、マレーシアのようにマレー人と中国人とインド人のいる国で、機会の均等をやっていたら中国人が圧倒的に勝つだけなのです。マレーの人は人がいいから、全部負けてしまう。ですから、「ブミプトラ」、これは「土地の王子様」という意味なのですが、原住民のマレー人を優遇する政策をラーマンさんはとりました。それをリー・クアンユーさんが「撤廃しろ」と正論を叫ぶのですが、世...
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