10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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シャドーバンキングの急速な伸びを2013年以降抑制

ゴーストタウン現象の真相(1)不動産市場は安定回復

瀬口清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
情報・テキスト
今、中国にはゴーストタウンが多く存在する。このことで、日本ではよく中国経済失速の可能性が話題になるが、「現状は心配いらない」とキヤノングローバル戦略研究所研究主幹・瀬口清之氏は語る。その理由を独自のグラフをもとに説明し、中国の不動産市場の状況を解説する。(全15話中第4話目)
時間:09:45
収録日:2015/01/05
追加日:2015/03/16
≪全文≫

●今、中国全土にゴーストタウンが多くあるが心配する必要はない


 今度は不動産の話に移りたいと思います。

 中国経済は表面上安定していても、実は中国全土には多くのゴーストタウンがあり、それが中国のバブル崩壊、不良債権の深刻化によって金融システムの不安定化をもたらし、中国経済の失速につながるのではないか、と日本ではよく言われています。

 ところが実際、中国の景気はそんなに悪くないと申し上げました。日本でも、実は安定成長期にゴーストタウンという現象がたくさん見られました。ですから、今の中国の現状をそんなに心配する必要はありません。そのことを、日本との比較でご説明したいと思います。


●シャドーバンキングの急速な伸びで社会融資総量が前年比150パーセントに


 中国の不動産市場が2013年度前半、非常に大きく上昇して、後半になって落ち着いてきたわけですが、最初に、どうして2013年に不動産市場がそんなに大きく揺れ動いたのかについてご説明します。

 グラフを見ていただきますと、青い棒グラフが社会融資総量(右目盛り)を示しています。2013年1月は、社会融資総量が前年比で150パーセントという、とんでもない伸びを示しています。社会融資総量とは、日本では総流動性にあたる数値で、銀行の定期預金および現預金に加え、シャドーバンキング、日本で言うと信託や郵貯なども含め、社会における全ての流動性を示したものになっています。

 それが、2013年1月、シャドーバンキングの急速な伸びによって、前年比で150パーセント、つまり、2.5倍にもなっているわけですから、とんでもないインパクトを与え、その資金が不動産に流れ込みました。その結果、北京(赤い線)、もしくは、上海(濃い青の二条線)の不動産価格の推移(左目盛り)を見ていただきたいのですが、2013年の前半は上昇率が20~50パーセントの間でほぼ続いてしまったという状況です。


●中国政府の厳しい規制によって会融資総量の伸び率が鈍化


 中国政府は、シャドーバンキングの急速な伸び、不動産市場への資金の急速な流入、そして、不動産価格の急騰というかなり危険な状態をいち早く察知します。この異常な状況は2013年1月から始まっているわけですが、3月ごろにはすでに中国の金融機関に対して厳しい規制を開始しました。規制は、シャドーバンキングとともに、不動産関連融資に対しても行われました。

 結果として、社会融資総量の伸び率は、2013年の前半ぐらいを境に後半から徐々に低下してきました。前半は50パーセントを超える高い伸び率でしたが、後半になりますと、10~20パーセントほどの伸び率に鈍化し、2014年に入りますと、6月を除きマイナスのまま推移しています。直近の2014年11月も、まだマイナス8パーセントほどで、むしろ社会融資総量の下落、減少が続いている状況です。


●中国の不動産市場は落ち着きを取り戻し、下落傾向に歯止め


 社会融資総量に対する厳しい政府のコントロールが、不動産市場に流れ込んでいた資金を大きく減少させる効果を示し、その成果として不動産価格の伸び率が急速に鈍化しました。2013年の後半は、前半とは様変わりに20パーセントを切って、10パーセント台もずいぶん増えてきました。

 2014年に入りますと、前年の上期の反動があり、上海や全国平均を見ますと、むしろ前年比マイナスで推移しています。ただ、全体のマイナス幅...
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