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武漢を起点とした高速鉄道建設は2020年には終了

中国高度成長は2020年まで(2)インフラ建設減速

瀬口清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
情報・テキスト
中国の高度成長を支えたもう一つのエンジン・インフラ建設も主だった高速鉄道建設が落ち着けば、高度成長も終わりを迎える、とキヤノングローバル戦略研究所研究主幹・瀬口清之氏はみている。いまだ、急成長の姿をみせる中国のインフラ建設の実情を踏まえ、瀬口氏が中国高度成長の行く末を論じる。(全15話中第7話目)
時間:05:44
収録日:2015/01/05
追加日:2015/03/19
≪全文≫

●高速鉄道建設は2020年頃で一段落の見込み

 
 中国の高度成長を支えた二つのエンジンのうち、一つは都市化であるというお話をいたしました。今回、お話するのはもう一つのエンジン、インフラの建設です。

 前回、2008年の8月に、北京―天津間の高速鉄道が初めて開通したと申しました。その後、中国の東西南北の要所をつなぐ交通のちょうどへその部分に当たるのが武漢なのですが、その武漢を起点に、日本の新幹線に当たる中国の高速鉄道が建設された時期を見ていきますと、武漢―広州が2009年12月に開通し、武漢―上海が2010年12月、武漢―深圳が2012年4月、武漢―北京が同じ2012年12月と、どんどん開通してきています。

 これで主な所は大体結ばれたのですが、さらに今、中国で最も成長率を高めている武漢から西の地域の高速鉄道の建設が、まだまだこれから出てくる予定です。武漢―重慶が2015年から16年には開通し、また、重慶―成都、重慶―西安といった所も、今後2017、8年ぐらいまでには開通していくだろうとみられています。この主要都市と主要都市を結ぶ重要な高速鉄道は、2020年ごろまでにはほぼ完成をするだろうと考えられています。


●2020年を境にエンジンは減速傾向に

 
 一度出来てしまえば、日本の東海道新幹線が東京―大阪を結んでしまった後は、他に新幹線が出来てもそれほど経済誘発効果が高いものは生まれなかったということを考えても、最初のものに匹敵するような経済効果を持つ高速鉄道の建設は、なかなかその後は出にくくなるだろうということが考えられます。この結果として、中国のインフラ建設の効果というのは、おそらく2020年前後には終わってしまうだろうというように考えられます。

 しかし、そのことによって、ぱたっとインフラ建設が止まるわけではありません。日本でもその後、産業集積地もできましたし、都市の開発も進みました。地下鉄の建設や上下水道の建設も進んでいます。そういった格好で、まだまだ都市インフラを中心に、インフラの建設は進みますので、急速にインフラ建設のスピードががくっと落ちるということではないのです。ただ、徐々に徐々に、非常に強かったそのエンジンの力が、中程度のエンジンの力へとシフトしていくということが、2020年前後に起きるだろうと考えられます。


●インフラ建設効果で急激に伸びた自動車産業

 
 ちなみに、そのインフラ建設の効果ですけれども、中国の産業集積の中核の一つである武漢は、インフラ建設の恩恵を一身に受けている地域です。高速鉄道建設が始まる前の武漢における自動車産業の主な企業は、ホンダと日産、プジョー・シトロエンの三つでした。

 ところが、最近になって、これほどインフラ建設が進んで便利になってきたというのをみて、GMおよびルノーがこの2014年に中国との合弁会社を設立し、そして、ルノーは今後、2016年をめどに生産を開始するという状況になりつつあります。

 また、成都をみても、2011年にはトヨタとフォルクスワーゲンの2社しかなく、トヨタが3万台、フォルクスワーゲンは7000台しか生産しておらず、トータルの生産台数は3万7000台だったのですが、たった2年後の2013年には、トヨタの台数は3万台で変わらないのですが、フォルクスワーゲンは、なんと60万台生産するようになりました。さらに、ボルボ、吉利が新たに成都に進出して、ボルボが20万台、吉利も20万台と生産台数をそれぞれ大幅に増やした結果、2011年には3万7000台しかなかった生産量が2013年には103万台になると、日本では考えられないような生産の変化が生まれています。これもやはりインフラ建設の効果と言っていいと思います。


●2025年までに終わりを迎える高度成長

 
 このように、強力なインフラ建設の効果が、今まさに中西部を中心にみられてきていますが、そうした効果が、おそらく2020年前後を境にスローダウンをしていって、これも中国の高度成長のエンジンの低下につながっていくだろうと考えられています。

 以上のことを総括すれば、おそらく2020年前後、一般的には2020年から2025年の間のどこかで、中国の高度成長は終わるだろうとみられています。

 以上が、中国の高度成長はいつまで続くかというところです。
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