10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン

訪日爆買いツアーの激増は日中の経済関係を象徴

日本企業の黄金時代到来(2)中国で勝てば世界で勝利

瀬口清之
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
情報・テキスト
2010年代の中国は、日本企業にとって二度と来ない「黄金時代」だとキヤノングローバル戦略研究所研究主幹・瀬口清之氏は明言している。中間所得層が増え、「1人当たりGDP1万ドル超」になると、中国人の消費行動は、こぞって日本製品に向かうからだという。今回は、その背景にある両国の関係についてお話を聞いてみた。(全15話中第11話)
時間:09:45
収録日:2015/01/05
追加日:2015/03/25
2010年代の中国は、日本企業にとって二度と来ない「黄金時代」だとキヤノングローバル戦略研究所研究主幹・瀬口清之氏は明言している。中間所得層が増え、「1人当たりGDP1万ドル超」になると、中国人の消費行動は、こぞって日本製品に向かうからだという。今回は、その背景にある両国の関係についてお話を聞いてみた。(全15話中第11話)
時間:09:45
収録日:2015/01/05
追加日:2015/03/25
≪全文≫

●対中直接投資の数字が示す日本の独走態勢


 中国において、二度とない黄金時代が到来しているという変化を、日本企業はすでに捉えています。

 「国別対中直接投資金額」のグラフで見ると、2011年以降、青い太い実線で示した日本企業の対中直接投資は、急速な増加を示しています。2011年以降の3年間でかなり高い伸びを示しているのに対して、他の国ではまだそれほど高い伸びは示していません。

 それは、やはり中国人がGDP1人当たり1万ドルに達したところで、急速に日本製品に対する需要を伸ばすという特質の表れでしょう。他国の企業は、それほど中国との連携が緊密でなかったり、または価格帯に広い幅があったりします。1万ドルに達したから急に需要が伸びるようなことは、日本ほど均質な経済を持たない他国経済には当てはまらない。そのために2011年以降、日本企業が突出して急速な伸びを示しています。

 ただし、このグラフには実は1年のタイムラグがあります。グラフの数字が伸びているのは2011年からですが、実際にはすでに2010年から日本の企業の対中投資が増え続けているということです。


●尖閣諸島をめぐって表面化した日中関係のリスク


 さて、一番右端で折れ線グラフは大きく折れ曲がっています。2014年の数字が下がっていますが、実際には2013年の数字がこのように大きく下がりました。原因は、尖閣諸島の問題です。

 尖閣諸島をめぐる問題によって反日デモが起き、いろいろな日本企業のチャイナリスクを意識する感情が非常に先鋭化しました。結果として、日本の企業は急速に対中投資を抑えました。しかしながら、その後、中国の市場の拡大は続くわけですから、日本の企業は徐々に対中直接投資を回復させつつあります。

 このグラフで見ると、2014年の1月から11月は、前年比マイナス40パーセントほどの下落になっています。実際10月まではかなり大幅に、前年比マイナスが続いていました。しかし、11月になって、前年比プラス30パーセントを上回る伸びを示し始めていますので、これから対中投資はプラスの局面を迎えるのではないかと考えられています。

 なぜか。これは非常に単純な話です。先ほど申しましたように、もう二度と来ない2010年代の黄金時代を目の前にして、日本企業はそのチャンスをみすみす見逃すはずはないと考えられるからです。

 ただ、今回の尖閣諸島をめぐる日中関係のリスクの表面化は、日本企業にとっても非常に深刻でしたが、中国政府にとっても大きな懸念材料を与えました。その結果、一昨年の2013年12月26日に安倍総理の靖国参拝が行われたにもかかわらず、中国政府は日本に対する反日デモは一切やらせなかった。それから、経済制裁も行わなかった。「政治は政治、経済は経済」という姿勢を、昨年の年頭から非常に明確に打ち出してきています。

 日本企業も、中国が明確に政権分離の方針を提示したことに好印象を受け、その後、対中投資を回復させつつあります。ただ、その結果は2014年の数字に現れるため、このグラフに実際に出てくるのは2015年以降に持ち越します。


●中国人の日本旅行ブームが日中の経済関係を象徴


 このように、日中関係が徐々にまたいい方向に向かいつつある中、APEC(アジア太平洋経済協力)会議中に首脳会談が行われました。そこで、日中の経済関係が一段といい方向に向かうことに対して、期待が持てるものと考えられます...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。