10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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報道されているサイバー攻撃は氷山の一角にすぎない

ガバナンス・リスクと化したサイバー攻撃

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
2014年は、サイバー攻撃が企業のガバナンス・リスクであることを痛感させる出来事が数多く起こった。しかし、日本はまだそのリスクに気づいていない。今後、起こるサイバー攻撃は、日本の成長戦略にも深刻な影響を及ぼす。日本の情報戦略の甘さに対し、内閣府本府参与でサイバー・セキュリティの専門家でもある齋藤ウィリアム浩幸氏が、独自の視点から警鐘を鳴らす。
時間:15:26
収録日:2015/02/19
追加日:2015/03/24
2014年は、サイバー攻撃が企業のガバナンス・リスクであることを痛感させる出来事が数多く起こった。しかし、日本はまだそのリスクに気づいていない。今後、起こるサイバー攻撃は、日本の成長戦略にも深刻な影響を及ぼす。日本の情報戦略の甘さに対し、内閣府本府参与でサイバー・セキュリティの専門家でもある齋藤ウィリアム浩幸氏が、独自の視点から警鐘を鳴らす。
時間:15:26
収録日:2015/02/19
追加日:2015/03/24
≪全文≫

●2014年のサイバー・セキュリティ問題


── やはり気が付いてないということですよね。サイバー攻撃が何者なのかを。

齋藤 そうですね。気付いてない。というか、企業の中でもプライオリティ付けが低すぎます。認識がないわけではないですけれど、ではどうすればいいのか、ということに話題が変わってきたような気がします。2014年は革命的な年で、サイバー・セキュリティの業界でも話題になりました。方向転回というか、意識が3回転しましたね。

 細かく言うと、2014年の頭に、アメリカで小売大手のターゲットという小売店がサイバーアタックにやられて、だいたい600億くらいの被害を受けました。その結果、社長がクビになりました。上場企業のトップが、サイバーの結果でクビになったのは初めてでしょう。これがアメリカでも話題になっています。その結果、サイバーというのは、ガバナンス・リスクであるということが広まりました。今まではIRやチーフ・リスク・オフィサー(CRO)という役職がありましたが、サイバーの問題が、ついに経営幹部クラスの責任に上がってきました。これが、アメリカの去年の初めの状況です。そもそも日本でCROという役職が何に当たるのかという話はありますが。いずれにせよ、チーフ・リスク・オフィサーという制度があった中で、サイバーがそこにつけ込んだのです。

 さらに2014年の半ばには、JPモルガンという証券会社が被害を受けました。ここは、年間のサイバー・セキュリティの予算が450億くらいなのですが、それだけちゃんとサイバー・セキュリティをやっていても、ハッカーに入られました。そこで皆が目覚めました。一企業がどんなに力を入れても、サイバー・セキュリティは難しい。どう情報共有していけばいいのか。こういったことが明らかになりました。

 ちょうど2日前に、オバマ大統領も、民と官が速やかに情報共有することを、アメリカでもやらなければいけないと表明しました。大統領の指示で、アメリカもそういう方向に動いています。今までは民間同士でお互いに疑って、なかなかうまくできませんでしたが、この問題はそれを明らかに超えるほど深刻な問題なので、一緒に力を合わせてやっていかなければならない。このようなことも、JPモルガンの件で明らかになりました。

 年末になると、皆さんご存知のソニー・ピクチャーズの一件がありました。最初はEメールが漏れて、恥ずかしい思いをして、これはレピュテーション(評判)・リスクだということで話題になりました。しかし、アメリカでも多くの人が一番問題だと思ったのは、相手が会社に指示をするというか、会社を振り回すということです。これをやってはいけない、これをやっていい、これをやりなさいというブラックメールにつながりました。これで初めて、アメリカの、特にグローバルな企業がその危険性に目覚めました。サイバーのIPは、盗まれても被害がよく分からない。仮にお金は盗まれたとしても、保険でカバーされている。ガバナンスには問題ないと思われていた。でも会社の行動がサイバーに振り回されるというのは、けしからん、という認識があって、なるほどこれはまずい、ということになりました。これは世界中で話題になっています。

 ちょうど1カ月前、私はダボス会議から帰ってきましたが、そこでは700くらいセッションがある中で、50くらいがサイバー関係でした。それくらい世界の関心が上がっています。これはもう一企業、一国家の問題ではなく、グローバル問題だというこ...
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