10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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学校ではなく塾で勉強する状態は「市場の失敗」

緊張感なき日本の教育

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
人間の頭脳など容易に上回る「シンギュラリティ(技術的特異点)」の時代に向けた教育を、日本の社会は提供できていない。その「失敗」したシステムから、結果としてどんな学生が生まれているか。教育再生実行会議分科会に有識者として参加し、英米やシンガポールでも教鞭をとる齋藤ウィリアム浩幸氏が見た、日本の学生の現状とは。
時間:09:40
収録日:2015/02/19
追加日:2015/04/02
人間の頭脳など容易に上回る「シンギュラリティ(技術的特異点)」の時代に向けた教育を、日本の社会は提供できていない。その「失敗」したシステムから、結果としてどんな学生が生まれているか。教育再生実行会議分科会に有識者として参加し、英米やシンガポールでも教鞭をとる齋藤ウィリアム浩幸氏が見た、日本の学生の現状とは。
時間:09:40
収録日:2015/02/19
追加日:2015/04/02
≪全文≫

●日本教育での「市場の失敗」


── 齋藤さんの言われたことは、分かりやすいですよね。個別の学校にもっと自由度を与えて、勝手に学校単位で競争してくれよ、ということですよね。上から落ちてきて、それが浸透しているのを待っていたら、とても間に合わない。カスタマーは生徒なのだから、これから起こるグローバルな時代に合うような良質な競争力を、彼らに学校単位で与える。学校にはそれぞれに経営者がいて、どんどん良いサービスしていればよく、悪いサービスをすれば学校自体が終わりになる、というくらいの方が望ましい。それくらいのテンポでやらないと、良質な競争力は提供できないということですね。

齋藤 既に今の時点で塾に負けていますからね。文部科学省も頑張っているのは分かるのです。でも、優れた教員を集めようとか、給料を上げようとか、そういう問題ではないと思います。

 学校に行っても、お客さんが寝ている、授業に興味がない、隣の人と話している、成績の一部が出席で判断される。これでは、どんなに優秀な教員で、どんなに子どものために頑張ろうと思っていても、何年かやっていたらつまらなくなるのは決まっています。しかも頑張っているのに、親には怒られ、PTAには文句を言われ、そして文部科学省にはいろいろな書類を提出しなくてはいけない。

 これはもうお金の問題ではありません。このシステムでは、どんなに優秀な人を入れても、つまらなくなります。ですから、もっと教員にやりがいを与えて、この仕組みを変えていくのです。もしそこでうまくいったら、自由も利くし、新しいものになるし、自分の給料が上がるかもしれないし、もしかしたらボーナスも出るかもしれない。でも駄目だったら、事務作業にまわされたり、場合によっては首になったりすることがあってもいいくらいシビアにやらないといけない。世の中はそういうものではないですか。

── そうでしょうね。ますます加速してきていますよね。先進国だけでやっていた時代から、全員参加型のグローバル社会ですものね。

齋藤 学生たちも決して愚かではありませんが、教員が学生に「ちゃんと聞きなさい。今これを聞かないと、大人になったとき大変だよ」ということを伝えないと、聞かないのです。私は、日本やシンガポール、イギリス、アメリカの学校で教えています。こんなことを言うのは本当に残念ですが、日本の高校生や大学生は話にならないです。教えていても、がっかりします。もう単に時間を費やすような感じで学校に行っている。ですから、学校ではなく塾で勉強しようとするのは、もうフェイルア(失敗)ですよね。マーケット・フェイルア(市場の失敗)です。


●ハングリーな外国の学生


── 齋藤さんはシンガポールやアメリカで教えていますね。そこで日本で教えてみると、お客さんのクオリティの差をものすごく感じてしまうわけですね。

齋藤 感じます。

── 日本の高校生や大学生の実力は、相当落ちていますか。

齋藤 落ちています。もう少しその話をすると、お客さんもお客さんで問題だと思います。日本で7年間くらい教えていて、いつも学生に聞きます。100人~300人の学生がいる中で、「授業料を自分で稼いだ人は手を挙げて」と言って、手を挙げた人はまだいません。そこでハードルを少し下げて、「一部でも頑張って貢献している人は?」と言うと、日本で手を挙げるのは0.3パーセントです。良い悪いは別として、他の国では授業料を支払うために借金をして、それが返せないとい...
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