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お金の使い方を研究するスクールがあってもいい?

夢のビジネススクール

曽根泰教
慶應義塾大学大学院教授(政策・メディア研究科)
情報・テキスト
世界には多くのビジネススクールがある。特にアメリカを中心に発達したビジネススクールが有名で、留学をしてMBAを取る人も数多く存在する。しかし、政治学者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・曽根泰教氏が考える「夢のビジネススクール」はそれとは全く逆で、お金の使い方を研究するところだという。それは、日本の未来を見据えての提案だった。
時間:07:16
収録日:2015/03/10
追加日:2015/04/22
世界には多くのビジネススクールがある。特にアメリカを中心に発達したビジネススクールが有名で、留学をしてMBAを取る人も数多く存在する。しかし、政治学者で慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・曽根泰教氏が考える「夢のビジネススクール」はそれとは全く逆で、お金の使い方を研究するところだという。それは、日本の未来を見据えての提案だった。
時間:07:16
収録日:2015/03/10
追加日:2015/04/22
≪全文≫

●アメリカを中心にビジネススクールが発達


 「夢のビジネススクール」というお話をします。

 ここでいう夢とは、理想的とか理念というよりもっと具体的で、夢のような話をしているとか、空想的なことではないかという、その夢のことです。夢のビジネススクールが世の中に存在しているのかというと、存在していません。ですから、これから賛同する人を募って、そういうスクールをつくることができるかというお話なのです。

 世界にはたくさんのビジネススクールがあります。経営大学院と訳されたりするわけですが、プロフェッション(職業)としてのビジネスマンや経営専門家を育てるビジネススクールがアメリカには多いのです。1881年、ペンシルベニア大学に創設されたウォートン・スクール、その後、1898年にシカゴ大学、カリフォルニア大学、あるいは、1908年にハーバード大学に創設されたビジネススクールなどがそれに当たります。日本にもたくさんあるのですが、特に、アメリカを中心に発達したビジネススクールが有名です。そのアメリカのビジネススクールに留学をして、MBAを取るという人もたくさんいるわけです。


●お金の使い方を研究するスクールを提案


 今日は、MBAをたくさん出そうというお話をしているわけではありません。あるいは、ビジネススクールで職業倫理をもっと教育すべきだ、ということでもありません。一言で言うと、ビジネススクールは、やはり稼ぐこと、利益を上げることが目的だと思います。つまり、経営にしろ、戦略にしろ、マーケティングにしろ、ファイナンスにしろ、あるいは、政治との関係にしろ、いかに稼ぐか、いかに利益を上げるかということを、数学的に、あるいは、ケースを使って研究をしているのだろうと思います。

 私がここで申し上げる夢のビジネススクールは全く逆で、稼いだお金をいかに使うか、つまり、お金の使い方を研究するビジネススクールができないか、ということです。それが学問になるのか、スクールになるのか、分かりません。分かりませんけれども、お金を使うことは、ノウハウも要るし、知恵も要るし、経験も要りますので、難しいことなのです。

 よく成金といわれます。お金を持ち慣れていない人が、急にお金が入って、品のないお金の使い方をすることを成金といい、車や飛行機、別荘などを買うという、成金の典型的なパターンがあります。では、成金が美術品を買ったら、その人は品があるのかというと、そうとも言えません。美術品は簡単に買えませんし、目が利かないと無理なのですね。ですから、そういう意味でいうと、どうお金を使うのかということは、簡単なようで、実は簡単ではないのです。


●税と寄付は似ているようで違う


 これを申し上げるのは、お金持ちがこれから日本にも増えてくると思うからです。そして、遺産としてかなりの大きな額を残すことになると思います。相続税が片方にありますけれども、相続税ではなく、それを寄付したいという人もいずれ出てくると思うのですね。

 税と寄付は、似ているようで、実は違います。税金ですと、多額の相続税を納めたとしても、例えば、研究費として文科省が使うのであれば、それは政府の支出になるわけです。

 ところが、もう一方の寄付だと、個別の大学や個別の研究にお金を出すことができますし、個別の学生に奨学金を出すこともできるのです。あるいは、よくアメリカの大学などを見ますと、大学の建物に個人の名前が付いていますが、これは、いっ...
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