10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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流通が生産を支配するコンビニのブランド展開

コンビニの戦略~高級PB商品の好調と次のステップ

伊藤元重
東京大学名誉教授/学習院大学国際社会科学部教授
情報・テキスト
長期デフレで低迷する日本の流通業界にあって、成長を続けてきたコンビニエンスストア。まだ5年や10年は、その動きから目が離せないと経済学者・伊藤元重氏は言う。コンビニの強さはどこにあるのか、これから彼らは何を追求しようとしているのか。現在進行形の事例を元に解説していただこう。
時間:13:06
収録日:2015/04/17
追加日:2015/04/27
長期デフレで低迷する日本の流通業界にあって、成長を続けてきたコンビニエンスストア。まだ5年や10年は、その動きから目が離せないと経済学者・伊藤元重氏は言う。コンビニの強さはどこにあるのか、これから彼らは何を追求しようとしているのか。現在進行形の事例を元に解説していただこう。
時間:13:06
収録日:2015/04/17
追加日:2015/04/27
≪全文≫

●躍進するコンビニのプライベートブランド展開


 コンビニエンスストアは、相変わらず非常に大きなパワーを持って、どんどん成長を続けています。ここ5年、10年における日本の流通を見ると、やはりコンビニの動きがその原動力になっている面が非常に強いだろうと思われます。

 そこで、コンビニの強さはどこにあるのか、さらにコンビニはいま何を追求しようとしているのかについて、最近のいくつかの動向を見ながらお話をさせていただきたいと思います。

 現在のコンビニの一つの重要な特徴に、プライベートブランド(PB)やストアブランド(SB)を非常に積極的に展開しようとしていることがあります。一番有名なのはセブン‐イレブンで、「金の食パン」をはじめとした高級なイメージのSBの開発に、大変成功してきたわけです。セブン‐イレブンだけではなく、ローソンやファミリーマートなどもそうで、コンビニが自主ブランドを全面に出そうとする動きが非常に目立ちます。


●ユニクロと似た展開で、流通がメーカーを支配


 これは、ちょうどユニクロが自前のブランドの開発・生産・流通の全てを管理して行うことで大成功したのと、よく似ています。これをSPAモデルと言いますが、同じような位置付けでとらえられることが多いと思います。

 そのポイントは何かというと、チャネルリーダーのポジションが、メーカーから小売業に移ったことです。特にコンビニの場合はチャネルリーダーとして強い力を持ち、さらに商品の開発から流通までを自分の支配下に置くことによってより高い付加価値を自分のところに持とうというかたちになります。

 現実に、飲料や加工食品等の世界では、一部のコンビニや大手スーパーの持っている支配力が非常に大きくなっています。そこで、メーカーの方でも、そうした小売業からのPBに対する要求に対して、ある程度は答えていかざるを得ないということだと思います。


●アメリカのPB価格はNBよりも低めの設定


 このPBについてもう一つ申し上げたいのは、アメリカとの違いです。アメリカではPBはもう随分昔からあります。アメリカは日本よりずっと早くから小売業の寡占化が進んでおり、小売業の交渉力が強くなっているために、各地で小売業が自らのPBを積極的に展開していきました。ただ、通常アメリカの小売業のPBは、メーカーが提供するナショナルブランド(NB)に比べると少し安い値段のものが多くなっています。

 つまり、「同じ品質ではあるが、メーカーブランドよりは少し安く提供します」ということで大量に売り、利益を確保しようというのが、アメリカのPBの特徴だったわけです。

 日本のPBは、そこが少し違います。特に最近コンビニなどで展開されている動きを見ると、NBよりも少し高い値段の商品を出し、むしろそれが成功しているケースが結構あるわけです。先ほど言ったセブン‐イレブンの「金の食パン」は、その一番有名なケースです。

●20年のデフレの中で安売りされてきたNB


 これは、デフレから脱却しつつある日本経済という、非常に特殊な事情が背景にあるのだと考えられます。

 20年近くデフレ的な状況が市場に続く中で、メーカーは自らの販売を維持するために、かなり激しい値下げを行ってきました。あるいはメーカー自身が値下げしなくても、店頭ではメーカーブランドの商品が非常に安い価格で売られています。

 メーカーブランドやナショナルブランドのものが、...
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