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レアアースの輸入を中国だけに依存するのは危険

レアメタル資源戦略~四つのポイント

岡部徹
東京大学生産技術研究所教授
概要・テキスト
ハイテクに支えられた現代生活は、もはやレアメタル抜きには成り立たない。電子機器類の原材料であるレアメタルのほとんど全てを輸入に頼る日本では、世界情勢による資源調達の波は死活問題だ。そこで、レアメタルの第一人者である東京大学生産技術研究所教授・岡部徹氏に、今後の資源戦略立案上の重要ポイントを伺うことにした。(インタビュアー:大上二三雄氏/エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
時間:06:01
収録日:2014/12/25
追加日:2015/06/22
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≪全文≫

●レアメタルの資源戦略のポイントは四つある


大上 では、これまでの話を踏まえて、あらためてレアメタルの資源戦略について、岡部先生からお話を伺います。

岡部 レアメタルの資源戦略で一番大事なポイントは四つあります。調達先の多様化、備蓄の推進、使用量の削減や代替材料・技術の開発、そしてリサイクルです。レアメタルは極力使わないようにしてため込んでおき、なるだけ別のものに置き換えていくこと。そして、一度(工業製品として)使ってしまったレアメタルは、捨てずに徹底的にリサイクルして循環利用することが重要なのです。

 個別に言いますと、まず調達先の多様化です。レアメタルにはいろいろな種類があり、多様化できるものとできないものがあります。例えばパラジウムなどはロシアと南アフリカにしか出てきませんから、いかに多様化を図ろうと思っても、この2カ国しか供給源はありません。


●多様化と備蓄を現実的に進めるために


岡部 例えばレアアースの現実的な供給先は、今のところ中国が97パーセントほどを占めています。しかし、実を言うとこれに関しては、世界中にさまざまなレアアースの鉱山があります。その意味ではいくらでも多様化が可能です。ただ何しろ中国はレアアースの精錬・採掘に伴って出るゴミ処理の費用が格段に安価です。現実的な経済合理性を考えると、中国からレアアースを買うのが一番の得策です。ただ、過去にも尖閣諸島の問題があったように、いきなり(レアアースの供給を)ストップされる危険性があります。ですから、いざとなったら他の所からも調達できるように、極力(、多様な調達先の)確保に努めるべきだと思います。

大上 代替ルートをつくっておくということですね。

岡部 はい。そういった意味で、多様化は大事です。

大上 備蓄はどうでしょうか。

岡部 備蓄についてはいろいろな考え方がありますが、私は、レアアースが安いときには、極力ためていくべきだと思います。例えば、ロシアの通貨が安くなったらロシアから買う。

大上 それはパラジウムの場合ですか。

岡部 いろいろな物質です。パラジウムの値段が今どうなっているかなどの詳細は分かりませんが、要は安価なうちに、貴重なレアメタルを確保すること。ロシアのパラジウムや中国のディスプロシウム、こういったものは(安いときに買い)ためておくべきです。


●備蓄...

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