10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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問題は「就職」がゴールになっていること

教育に必要な破壊的イノベーション

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
日本の教育は既に大幅に遅れている。変化を邪魔している原因は、教員のメンツや彼らの多忙さなどに加え、就職をゴールにしてしまう風潮にもあるという。教育現場の実情を観察し、教育再生実行会議で提言を行ってきた齋藤ウィリアム浩幸氏が、日本の教育システム自体をリセットするための破壊的なイノベーションの必要性について語る。
時間:08:00
収録日:2015/02/19
追加日:2015/07/13
日本の教育は既に大幅に遅れている。変化を邪魔している原因は、教員のメンツや彼らの多忙さなどに加え、就職をゴールにしてしまう風潮にもあるという。教育現場の実情を観察し、教育再生実行会議で提言を行ってきた齋藤ウィリアム浩幸氏が、日本の教育システム自体をリセットするための破壊的なイノベーションの必要性について語る。
時間:08:00
収録日:2015/02/19
追加日:2015/07/13
≪全文≫

●次世代のためシステムのリセットが必要だ


── やはりレガシー(遺物)な、壊れた教育をずっと続けていて、その中で小中高の教育を受けていると、人格もゆがむのかなと思います。

齋藤 ですから、まさに教育の問題に戻ってしまうのです。

── 文部科学省は、普通の教員に対して、あれやれこれやれと、だいたい年間400通の通達を出すと言っていました。なんて暇なことをやっているのだろうと思います。こういうことをやっている公立のクオリティーは、どこの進学塾にもかなわない。しかも、それに何も感じない。結果として、とんでもないことになってしまっているのです。前回の「われわれ(“We”)」と「わたし(“I”)」という話はすごく分かりやすいですよね。

齋藤 本当にまずい状況ですよね。私がいろいろな審議会に出ても、どこまで変えることができるのか。難しい問題です。

 例えば、プログラミングを採り入れるということで、教員に説明して、とりあえずやってもらうのですが、途中でやめてしまうのです。なぜやめたのかを聞くと、お金やコンピューターがなかったという問題ではなく、学生に教えるのは良かったのだけど、知らないうちに学生の方が自分より上に行ってしまったからやめたと言うのです。それは本来、良いことなのに、そういう教員のメンツもいちいち考えなくてはいけないのが日本だなとも思います。

── 自分より上に行ったら、教えてもらえばいいだけではないかということですね。

齋藤 環境を与えることは、素晴らしいことではないですか。そこで、学生同士の競争力が生まれたら、なお良いことです。なぜそのビッグ・ピクチャーが見えないのかと思いますし、かわいそうです。

 あともう一つ、教員のコメントとしてよく聞くのは、「斎藤さん、かっこいいことを言うようだけど、うちは忙しいのだよ」という言葉です。書類を作って文部科学省に提出したり、いろいろなミーティングがあったりすると言うのです。そうやって文句を言ったり、言い訳になってしまうのも残念だなと思います。

 そこで感じるのは、次の世代に教えるという大事な課題を持っている中で、あなたたちこそイノベーションができなくてどうするのだということです。それだけペーパー・ワークがあるなら、そこにICTを使って自動化するなど、もう少しスマートにしていけばいいのです。言われることをただ受けているだけでいいのかと思います。ですから、システム自体にリセットをかけないといけないのです。

── そうですね。


●必要なのは破壊的イノベーション


齋藤 これを言い過ぎると、今度はお金の話になってしまうのですが、例えば塾のことを考えると、資本主義ですから競争が大変ですよね。常にイノベーションして、常にオプティマイズ(最適化)していないと、つぶれてしまいます。塾にとっては、そこが一番のビッグ・インセンティブ(動機)なのです。そういう人たちと比べると、霞ヶ関に言われることを待っているだけでは、腐ってしまいます。

 私の説明が下手で、「シンギュラリティ(技術的特異点)」がどのように教育に反映するのかをなかなか説明しきれず中途半端になっているため、下村博文大臣には申し訳なく思っています。ただ、一番言いたいのは、今までの改善方式では間に合わないということです。

── 部分改善をやっていたら、終わってしまうので、抜本的にやらないといけないということですね。

齋藤 いえ、もう終わっているのです。...
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