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母親たちが子どもに注ぐエネルギーを別の方向に振り向けよ

マクロな視点から日本を捉える

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
これからを担う世代こそ、グローバルな視点から日本の問題を捉え議論しなくてはならない。「鎖国」状態になってしまった日本に風穴を開ける必要性を訴えてきた、内閣府本府参与・齋藤ウィリアム浩幸氏が、安全で快適、そして保守的な今の日本にこそ求められる視点を、具体的に解き明かす。
時間:10:43
収録日:2015/02/19
追加日:2015/07/20
≪全文≫

●母親たちのパワーをシフトせよ


── なぜ日本のお母さんたちは、こんなに子どもにかかりっきりなのですか。アメリカだったらあり得ないですよね。自分のことで忙しいですよね。

齋藤 自分のことで忙しいですし、アメリカは自分で転んだりしていろいろと体験することがベスト・レッスンだという国で、日常的に厳しい社会ですからね。日本のママ会などでは、学校が終わった後、紅茶で井戸端会議をしますが、それはそれで幸せですよね。

 ただ、今の母親たちを見ていると、バブルは少し見たけれど裏切られた世代ですから、それを息子には体験させたくないという思いが強いため、守りになってしまうのはしょうがないことです。それはオプション(選択肢)がないからです。オプションがあれば、いろいろとできますが、就職一本で、新卒で良い会社に入ることがゴールだから、母親の気持ちは分かります。それを最大化して、どうすればいいかを考えていますから、ママの間ではある意味ニコニコしていますが、受験などの話を聞いていると怖くなります。そのパワーを違う向きに変えられたら、日本はすごく変わります。

── そうですよね。

齋藤 パワーはすごいのです。ただノー・オプション(それしかない)だから、変な方向にいっているだけなのです。そのパワーを違う向きに変えれば、日本は本当に良くなります。

── お母さんたちの費やす時間は膨大ですよね。塾の送り迎えから始まって、いろいろとありますが、あれを別のパワーに変えてやったら全然違いますよね。

齋藤 本当に死ぬ思いですよね。日常的に母親たちはニコニコして友達同士だけれども、裏ではどこの学校に入るかなどを気にして、もう戦いですからね。あのエネルギーを別のものに使えたら、日本は素晴らしくなると思います。

── ポテンシャルがありますよね。

齋藤 ただ動物として考えれば、彼女たちの気持ちもよく分かります。例えば息子を守って、どうトップにさせるか。これは使命ではないですが、動物として何でもしてあげようという気持ちは分かります。ただ、そのエネルギーの使い方は効率が悪いなと思います。

── なるほど。齋藤さんの育った家庭は制約がないですよね。とりあえず医者になれとは言われるけれど、免許を取れば、あとはこれをやりたいという希望が通るわけです。親も変化の激しい競争社会に生きているから、いろいろなことが分かっているということですかね。

齋藤 親の方から言わせると、計算ミスだと思います。まさか医者をやめるとは思ってなかったでしょう。

 もう一つ、アメリカは、主張することを主張しないといけない、言うことをちゃんと言わなくてはいけない社会です。議論できなくては生きていけないということで、あえて私をディベートを専門にしている高校に入れたのです。普通は皆ハーバードの法学部を出たり、弁護士になったりする高校だったけれど、そこに入れた結果、息子との議論で勝てなくなったので、親は途中からやばいなと思ったでしょうね。

── ディベートが、息子の方が強くなってしまった。

齋藤 ですから、良い計算ミスかは分からないけれど、そういう風になりました。


●素晴らしい国ゆえに見えにくいもの


── 面白いですね。齋藤さんのような人が出てきて刺激を与えてくれて、それがいろいろな感じで化学反応を起こしてくれると、面白くなりますよ。

齋藤 もちろん一人ではなく、他にもいるとは思いますが、気を付けなくてはいけないのは、今の日本ではディベートをやり過ぎると嫌がられるし、嫌われてしまうということです。それをどううまくやっていくかということは、気を付ける必要があります。今でも時々やり過ぎて、けがをしますので。

── 「シンギュラリティ(技術的特異点)」の話などは、この間、小宮山宏先生(三菱総合研究所理事長)が言っていた話と、ものすごく近いですよ。シンギュラリティによって変わっていくという話で、覚悟ある楽観主義者たれ、ということです。非常に似ていて、ウィリアム齋藤用語で言っているか、小宮山語で言っているかの差ですよね。

齋藤 私はただ、他の人からいろいろ聞いていることをまとめているだけなのですが、私が言っている「シンギュラリティ」の話は、私の仮説ではなく、世界中で、しかもエクセプト・ジャパン(日本以外)で今話題になっていて、皆が心配している課題なのです。

── エクセプト・ジャパンなのですね。日本がこれだけ鎖国社会になってしまうとは思わなかったですね。国際化だ、グローバルだと1980年代に言い続けて、25年たった今、閉ざされた空間みたいですよね。

齋藤 そうです...
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