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時代に対応したイノベーションを生み出していく必要がある

「デザインド・イン・ジャパン」の未来へ

齋藤ウィリアム浩幸
株式会社インテカー代表取締役社長/内閣府本府参与
情報・テキスト
「メイド・イン・ジャパン」から「デザインド・イン・ジャパン」へ。教育再生実行会議に有識者として参画する齋藤ウィリアム浩幸氏は、日本の未来像をこう提案する。そのために必要なのは、ボランティアやアントレプレナーといった言葉の本当の意味を、教育によって伝えることである。これからの日本の未来を左右する教育のあり方とは何か。
時間:08:23
収録日:2015/02/19
追加日:2015/07/23
≪全文≫

●ボランティアで大事なのは助けの求め方


── 日本で言うボランティアと、齋藤さんが言うボランティアが違うという話をしてもらいましょう。言葉で語った方が文章よりも伝わります。

齋藤 日本の場合ですと、ボランティアの定義は、恵まれていない人や自分より弱い人を助けるということですね。それは分かります。それはそれですごく大事だと思います。

 ですが、私の言うボランティアの意義はそれだけではありません。もっと大事なのは、助けを求めることです。ボランティアをしないと、自分が困ったとき、助けてほしいときに、その助けの頼み方が分からず、お願いすること自体ができなくなります。ボランティアを先にしていないと、逆に自分が同じような苦しい立場になったとき、助けの求め方が分からないということです。

 ボランティアが教育に入っていないため、自分が困ったりすると、うつ病や自殺などにつながると私は思うのです。皆同じ立場で困ったり失敗したりしていることは多いし、それはしょうがないことです。でも、それをため込んで言わないでおくと、やはり人間はおかしくなりますからね。ボランティアで、自分より弱い人や恵まれていない人を手伝うという意識を高めることも大事なのですが、時間つぶしになってしまうかもしれません。それでもそれを習うことは進歩にすごくつながるのですが、ボランティアの大切さはその逆で、助けを求めるときの力になるところにあるのです。

── 全然違いますよね。今の説明だと、ものすごくよく分かるのですよ。

齋藤 そうですね。ボランティアというと、半分遊びでゴミを拾っているような感じに思われますが、私の見方は少し違います。

齋藤 その辺りのたとえを全く違うところから始めて、皆に「あれ?」と言わせるのが好きなのです。それが効果的かどうかは分かりませんが、そういう風に説明をしないと、根本のエッセンスにはたどりつかないと思います。そのエッセンスを理解せずに形だけやっていると、もとが直らないのです。


●言葉を再定義する必要がある


── 英語と日本語の違いもありますね。英語に訳せない日本語は結構ありますよね。英語も同じです。そこで食い違いが起こっているのかなと思います。

齋藤 今は本を書けるくらいその材料がありますが、言葉の定義がおかしくなっています。まさにボランティアという定義も違うし、例えばホビーの定義も違います。イノベーションとインベンションの使い分けがおかしくなっているとも感じます。アントレプレナーシップは、日本での定義が完全におかしくなっています。チームとグループも矛盾していますし、リーダーシップとマネジメントも矛盾しています。中途半端にカタカナにしてしまって、いったい何年前に書かれたのだろうという辞書がいっぱい残っています。

── それらは大事なキーワードだから、混乱していると、議論がかみ合うわけがないですよね。定義が違いますから。

齋藤 アメリカですと、アントレプレナーというのは名誉な言葉なのですが、日本だと「それはベンチャーですか」というように、下の言葉に見られます。場合によっては、彼らは真逆の意識で動いている印象があります。

── 日本でアントレプレナーやベンチャーというと、下層民のような感じですよね。でもアメリカだと最も尊敬される人たちですよね。

齋藤 ホビーなんて遊びではないのかとも言われます。アメリカでもヨーロッパでも、ホビーは教育の一環で大事なものです。

── そういうホビーは、人間の幅にもなるし、人間力にもなるし、触れ合う力にもなりますね。受験勉強をやっているお母さんたちに、ホビーなんて言おうものなら、遊びで悪いこと、いらないものだということになってしまいます。

齋藤 そんなことをやっている時間があるなら勉強しろとなりますね。ただ、勉強という言葉も定義でいうと、日本の「勉強」は勉強ではないと思います。

── 日本の「勉強」は、勉強ではないと。

齋藤 あれは試験を通るための手段であって、勉強ではないと思います。

── 試験を通過するための技法であるということですね。本来の勉強とは全然違うと。

齋藤 今のグローバル社会で必要な勉強は、変わってきています。とはいえ、黒船が来たからいきなり新しくするということでもありません。かつてはフィードバック・ループが効いていました。カスタマーからのフィードバックが効いて、どんどん変わってきているのです。ですから、30年前40年前50年前のアメリカやヨーロッパの教育を見ていると、確かに日本と似ています。それが時代に沿って、どんどんとイノベーションが効いて、変わってきています。日本はそのプロセスが遅すぎるからなのか分かりませんが、まだ古いままなのです。ただ、時代がこれだけイノベーションで進化...
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