10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン
このエントリーをはてなブックマークに追加

秋田県ではなぜ自殺が多いのか―その理由が分からない

末井昭、「自殺」を語る(4)『秋田県の憂鬱』と自殺率

末井昭
編集者・作家
情報・テキスト
秋田県における自殺予防対策
出典:内閣府ホームページ(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/local/shukan/k-2/pdf/a01.pdf#search='%E7%A7%8B%E7%94%B0%E7%9C%8C%E3%81%AE%E6%86%82%E9%AC%B1+%E8%87%AA%E6%AE%BA')より
元秋田大学副学長で法医学教室の吉岡尚文氏に『自殺』の取材を行った編集者・作家の末井昭氏。吉岡氏は平成4年に『秋田県の憂鬱』という小冊子を作っている。小冊子では自殺の統計を行っており、秋田県は何年間も続けて自殺率が高いという。なぜ吉岡氏は『秋田県の憂鬱』を作ったのか。吉岡氏への取材から、自殺の実態が見えてきた。(2015年6月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「私が『自殺』を書いた理由と“生きづらさ”を取り除く方法」より、全6話中第4話目)
時間:06:13
収録日:2015/06/16
追加日:2015/07/30
秋田県における自殺予防対策
出典:内閣府ホームページ(http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/local/shukan/k-2/pdf/a01.pdf#search='%E7%A7%8B%E7%94%B0%E7%9C%8C%E3%81%AE%E6%86%82%E9%AC%B1+%E8%87%AA%E6%AE%BA')より
元秋田大学副学長で法医学教室の吉岡尚文氏に『自殺』の取材を行った編集者・作家の末井昭氏。吉岡氏は平成4年に『秋田県の憂鬱』という小冊子を作っている。小冊子では自殺の統計を行っており、秋田県は何年間も続けて自殺率が高いという。なぜ吉岡氏は『秋田県の憂鬱』を作ったのか。吉岡氏への取材から、自殺の実態が見えてきた。(2015年6月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「私が『自殺』を書いた理由と“生きづらさ”を取り除く方法」より、全6話中第4話目)
時間:06:13
収録日:2015/06/16
追加日:2015/07/30
≪全文≫

●『秋田県の憂鬱』著者へ取材のため秋田へ


 それから、当時は秋田大学の副学長をされていましたが、法医学教室の吉岡尚文先生という人が居らっしゃいました。この人は、平成4年に『秋田県の憂鬱』という小冊子を作っているわけです。それを編集者の方が見つけて、この人をインタビューに行きましょうかという話になりました。

 その小冊子は自殺の統計的な内容だったので、私はあまり統計的なことに興味がなかったのです。しかし、『秋田県の憂鬱』というタイトルが面白いというか、秋田県が憂鬱ということで文学的でしたので、少し興味を持ちまして、吉岡先生に会いに秋田まで行きました。その時は秋田大学に居らっしゃったので、大学の中でお会いして、少しインタビューをさせてもらったのです。


●秋田県は自殺率が高い


 その時の話もこの中(『自殺』朝日出版社)に入っていますけれど、秋田県は、自殺率(10万人当たり何人自殺したかという数値)がここ何年もずっと高いのですね。秋田、青森、岩手あたりが自殺率の上位を占めているわけですね。あと、新潟も入ります。つまり、秋田は自殺率が高いのです。

 吉岡先生は法医学が専門ですから、変死体などが見つかると解剖のお仕事もやられていたので、自殺とも関わってくることになります。警察から調べてくれという話がきたら、当然そこにある遺書を読んだりもします。そうやって、自殺と関わっていく中で、秋田県は自殺が多いということを初めて知るのです。


●自殺への関心が高まったのは10年前から


 当時、秋田県は自殺が多いということは、報道されていなかったわけです。吉岡先生はそのことを知り、なぜそうなのかということを調べようとして、いろいろな統計を取っていくのです。特に高齢者、お年寄りの方の自殺が多いのですが、それで『秋田県の憂鬱』を作るのです。そして、作った小冊子を、マスコミや県、学校などいろいろなところに配るのですが、当時は何の反応もなかったとおっしゃっていましたね。

 当時は当然、自殺防止に対する予算が全くゼロで、興味も示してくれない。そこで、吉岡先生は、『秋田県の憂鬱』の第2弾を作るわけです。その後、その小冊子を3冊まで作るのですが、少しずつ予算を組んでもらったり、あるいはだんだんとマスコミが取り上げるようになりました。それが、大体10年ぐらい前のことです。いま自殺のことがいろいろと取り上げられたりしていますけれど、そういうことが行われるようになったのは、本当に10年ぐらい前からなのです。

 それまでは、本当に自殺というものは伏せられていたのです。今でもそういう傾向はあります。年間の自殺者は去年の数字で2万5000人ほどに減っていますけれど、それまでは毎年3万人は居ました。実際には、嘘の死因として発表されたりしていますから、実数はもっと多いのかもしれません。他に行方不明の方も居らっしゃいます。樹海などに入って出てこない人も居ますから。今はもう樹海捜査はしていませんが、昔は年に1回消防団が捜査して、遺体をいろいろと発見して埋葬したりしていたのです。今はそういうことをやらなくなりましたから、樹海の奥には、何人かまだ発見されないままの人が居ると思います。


●自殺と日照時間は関係ないのでは


 なぜ秋田に自殺する人が多いのか、吉岡先生に聞いたのですけれど、結果的には分からないということでした。なぜか分からないと。いろんな人がいろんなことを言っていて、当時は日照時間が短いからと...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。