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減反廃止の方針が了承されるも、農水省が必死で巻き返し

農業改革と規制改革の進捗状況を評価する

島田晴雄
慶應義塾大学 名誉教授
情報・テキスト
国際競争力の資源として農業は欠かせない。その成長を阻むのが減反制度に代表される旧来の保護政策だ。産業競争力会議を核とした安倍内閣の農業改革や規制改革の進捗状況を島田晴雄氏が評価する。(島田塾第109回勉強会 島田晴雄氏講演『日本経済は果たして、どこまで成長出来るのか』より:全14話中6話)
時間:10:27
収録日:2014/01/14
追加日:2014/03/13
国際競争力の資源として農業は欠かせない。その成長を阻むのが減反制度に代表される旧来の保護政策だ。産業競争力会議を核とした安倍内閣の農業改革や規制改革の進捗状況を島田晴雄氏が評価する。(島田塾第109回勉強会 島田晴雄氏講演『日本経済は果たして、どこまで成長出来るのか』より:全14話中6話)
時間:10:27
収録日:2014/01/14
追加日:2014/03/13
≪全文≫

●諸悪の根源「減反制度」に立ち向かう農業改革。


さて、農業改革。これは、「減反制度」というのが基本です。
減反制度がなぜ重要かを説明しましょう。日本では農地の作付けの中でコメを作っていますが、日本人はだいたいおコメを食べなくなった。どんどん量が減ってきて、昔に比べると半分も食べない。こうなると需要が少ないから、値段が下がる。値段を下げてはいけないので、「農地を作らない」という約束と引き換えに、農家に対して補助金を渡すことにした。作らないけど、作った分と同じだけのお金を渡すわけです。去年の補助金総額はいくらになっているかというと、6800億円です。おコメの売上を全部足しても2兆円に届かないですから、「何をやっているんだ」という国なのですね。
「これは諸悪の根源である。こんなものがあるから価格が維持されるし、農家が努力しない」というので、これを撤廃するための議論が昔からされてきましたが、絶対に通らない。というのは、日本の農業というのは、おコメを作っているよりも、票田なのです。コメより票なのです。今の農村票は200万票しかないですが、終戦直後は1500万票ありました。自民党はそれで成り立っていた。だから、絶対にそこは譲らない。1970年に入った制度ですけど、譲らずにやってきた。
こういうものを変えないとTPPもへちまもないということになって、ここでも菅(義偉)さんが、自身は貧しい農家の出身なのですが、「やる」と言ったのです。

●菅・西川・林から吹く減反廃止と戸別補償の見直しの風


どういうことをやるかというと、こういうことでした。これは仕掛けたのだと思いますが、10月24日に「産業競争力会議」の新浪剛史ローソンCEOの発言がありました。「減反政策は、3年後には廃止すべきだ」と、こう言ったのです。よくそんなことを言えたなと思うのですが、政府がすぐそれに呼応します。翌日、閣議後の記者会見で林(芳正)農水大臣が、「コメの減反政策については、経営所得安定対策と一体になって、見直し議論してきます」と言いました。これは明らかに仕掛けられています。
なぜ、どういう風にして仕掛けたかというと、こういうことなのです。何十年と変えられなかった政策ですから、どうしようかということで、内閣改造をしない代わりに、自民党の農業委員会や農水省の副大臣級の人事を全部開明派に替えた。それを先ほどのTPPの話にも出てきた西川公也さんと菅さんと林さんで行ったわけですね。
そうしたら、古参の農林族が「ふざけるな」と官邸に陳情で文句を言いに来ました。それに対して菅さんは、新聞の記事ですから実際このように言ったかどうかは知りませんが、「戸別補償の見直しは、党の政権公約なのだ。わかっているのか!」と一喝したとのことです。これがダメ押しになって霞が関は震え上がり、「そっちの方向なのだ」ということになった。それで、林さんもそう言えるようになったそうです。相当な力仕事をしますよね。

●西川議員が開明派に転向した理由


先ほどのTPPの回でもふれた西川さんが開明派になった経緯についてですが、この人は実は石破(茂)さんを「天敵」と思っていた。石破さんは、前から自由化を主張していたから「けしからん」と思っていた。「石破、もう徹底的にやっつけろ」と彼らは日本中でキャンペーンをしていました。
ところが、西川さんは選挙に落選します。それで改めて自分の選挙区の農村をずっと歩いてみたら、もう滅茶苦茶疲弊していて、全然先がないのが見える。「農協は、何をやっ...
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