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メディアで得ている知識には大きな誤解を含む部分がある

レアメタルの光と影(4)関連報道のウソ・ホント

岡部徹
東京大学生産技術研究所 副所長 教授
情報・テキスト
メディアで頻繁に目にするようになったレアメタルの情報だが、その多くは誤解を招きかねないものばかりだ、と東京大学 生産技術研究所 副所長・教授の 岡部 徹 氏は指摘する。レアメタルの製錬からリサイクルまで、その実態を知り尽くした専門家の目で、報道の真偽を問い、考えるべき課題点を浮き彫りにする。(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第4話目)
時間:05:30
収録日:2015/04/20
追加日:2015/08/20
≪全文≫

●レアメタルはなぜリサイクルすべきなのか


 ここから少し皆さんに質問します。レアメタルは、なぜリサイクルすべきなのでしょうか。「枯渇しそうだから」など五つの選択肢がありますが、何番と何番が正しいと思いますか。

 答えを見ていくと、まず「枯渇しそう」なレアメタルについてですが、実際には、枯渇する可能性があるレアメタルはありません。次に、「リサイクルした方が安い」レアメタルといえば、(貴金属でもある)白金ぐらいです。例えば、(最近高騰した)レアアースですらも、(リサイクルせずに)使い終わったら捨てて、中国から(鉱石からつくられた)バージンのメタルを買ってきた方が、実際のところずっとコスト的には安いのです。

 その次の「もったいないから」というのは正しいのですが、これが通用するのは日本ぐらいです。日本は素晴らしい国です。こういう「もったいない」という不思議な概念があり、しかも、その素晴らしい考え方が上位概念として存在します。ですから、この国はいい国なのです。

 四番目の「採掘と製錬で環境が破壊されるから」ですが、これはまさに正しいです。ですから、(地球環境のために、)私は、レアメタルはリサイクルはしなければいけないと私は思っています。その他、いろいろあるのですが、これは後でお話しします。


●多量にあっても資源問題は解決しない


 次に、一般には常識と思われているデマや誤解についてお話しします。

 ある時、NHKのニュースを見ていたら、南鳥島周辺の海底に多量のレアアースが存在すると報道されていました。埋蔵量は国内消費の220年分とのことですが、本当はもっと多いと思います。そして、陸上資源の800倍もあるから、これを開発しようといった内容でした。また、別のニュースがありまして、わが国はボリビアにどんどん投資し、ウユニ塩湖にリチウム製錬のプラントを建設する、という内容でした。これはなぜかというと、ウユニ塩湖は世界最大の塩の塊で、そこに埋蔵されているリチウム量は圧倒的に多く世界最大だからです。(海底のレアアースもボリビアのリチウムも、資源量という意味では)どちらも、報道としては正しいのです。

 要するに、「日本の近海にはレアアースが多量にある」は正しい情報です。「ボリビアのウユニ塩湖には多量のリチウムがある」も正しいのです。ただ、一連の報道を見ていて問題だと思ったのは、“積極的に投資すればレアメタルの商業生産が可能だ”と言っていたことで、一部の新聞でもそう書いています。さらに、もっとひどいのは、“日本のレアメタル事情は解決するかもしれない”と報道されていたことです。これほどの「うそ」はありません。一連の報道は、大きな論理の飛躍があるのです。ですから、私はこれらの報道に対して怒っているのです。


●レアメタルの根本的な問題は資源ではない


 なぜ、このような誤解が起こるのかというと、「レアメタルの根本的な問題は資源の量だ」と皆が信じているからです。しかし、実際にレアメタルは、資源がレアなケースはほとんどありません。そういうものは白金ぐらいで、レアメタルは需要がレアなのです。(今の需要では、ほとんどのレアメタルは)資源的にはいくらでもあると考えてください。

 ですから、ウユニ塩湖には確かにリチウムはあるけれど、これをどうするか、という話がポイントとなるのです。また、海のレアアースを採掘しても、日本のレアアース問題が解決しないのは、その作業が非常に大変でコストがかかる...
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