10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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多少コストがかかってもリサイクルすべき地球の奇跡の産物

レアメタルの光と影(7)バリュー・オブ・ネイチャー

岡部徹
東京大学生産技術研究所 副所長 教授
情報・テキスト
レアアースをはじめとするレアメタルに関して最大の問題は、“鉱石の本来の価値”があまりに低く評価され、タダ同然に扱われていることだ。東京大学 生産技術研究所 副所長・教授の 岡部 徹 氏は、「バリュー・オブ・ネイチャー」についてもっと真剣に考えてほしいと訴え、リサイクル技術の開発を進めている。岡部氏が語る「レアメタルの光と影」最終回。(2015年4月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「レアアースをはじめとするレアメタルの光と影」より、全7話中第7話目)
時間:08:02
収録日:2015/04/20
追加日:2015/08/31
タグ:
≪全文≫

●将来、大きなリサイクルマーケットが存在


 今日はこの後、質疑応答に時間を使いたいと思います。私は白金(プラチナ)のリサイクル技術の開発などの研究が得意なのですが、皆様にとってもビジネスセンスとして白金は非常に重要です。白金は自動車の排ガス浄化触媒、つまり自動車の排ガスを無害化する触媒です。自動車の排ガスを、この触媒ユニットに通したら排ガスがきれいになって出てくるといったもので、大体、自動車1台に1グラムから4グラム使います。“(自動車一台に)たった4グラムか!”と思うかもしれませんけれど、白金は、1グラムあたり数千円もしますから、皆様の高級車には、およそ2万円分の白金が使われているわけです。廃車になったらそれを回収するのですが、残念ながら、日本はあまり廃車(スクラップ)になりません。皆様は廃車した気分でいても、中古で多くの自動車が海外に輸出されてしまうのです。

 日本の場合、触媒をつくるために白金を多量に輸入するのですが、中古車または新車で白金は、車に積まれて輸出されて海外に出ていくのです。実は、驚くことに、日本は白金を含むスクラップを世界中から集めまくっています。つまり、日本は一生懸命ゴミ集めをしているということです。なぜかといえば、いま(世界中からスクラップとして)集めている白金(Pt)は、将来リサイクル対象となる量が大幅に増える可能性があるからです。他には、パラジウム(Pd)やロジウム(Rh)も白金同様にリサイクル対象となる量が増える可能性があります。

 白金の価格は、リーマンショックの時にガクンと落ちて、グラム2000円になりました。2000円辺りが製造コストの下限ですから、2000円が1000円になることは絶対にありません。今は製造コストがここまで(およそ3000円台)上がってきています。ですから、仮に白金が2000円に落ちたとき、皆様、絶対に買ったらいいと思います。

 また、ロジウム(Rh)は、こんなに(30000円/グラム以上)高騰したことがあります。ロジウムは白金の副産物で、白金の鉱石から一緒に出てくるものですね。いずれにしても、これらの白金族金属は、10年後は非常に大きいリサイクルマーケットが存在しているということです。


●ゴミばかりつくっているという現状


 価格は、需要と供給の状況によって大きく変わるのですが、パラジウムなどは、仮にロシアが供給を止めると一気に価格は跳ね上がると思います。こういった話は、10MTVで大上二三雄さん(エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)のツッコミに答えている私の収録をご覧ください。これはご案内です。今日は細かい話はやめておきます。

 誤解のないように言いますと、私の専門は、レアメタルの製錬やリサイクルの技術開発などです。例えば、塩水を掛けるだけで白金を溶かす環境調和型のプロセスの開発などを地道にやっていますけれど、今日はそういう話はしません。

 もう一つ最近行った研究を紹介しますと、例えば、レアアースをリサイクルするために分離して抽出する必要があるのですが、その途中で廃液が出ないようなプロセスの技術開発を、日立さんなどの企業と一緒にやっています。この話も今日はしませんが、最近、このプロジェクトで希土類関係の学会から賞を頂きました。日立の方が一生懸命に、私のアイデアを実際にベンチスケールの実機で実現して下さったのですが、それは廃液を出さずにレアアースの回収率を上げて純度が高いレアアースの金属を直接、...
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