10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
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改革開放や先富論、戸籍や一国二制度も全て二層制

中国の歴史的な習性である二重構造

石川好
作家
情報・テキスト
中国という国は、確固とした中心性を保持するために独自のダブルスタンダードを持っている。数千年という歴史の中で培い、現代中国に今なお息づくその二重構造とは如何なるものか。毛沢東の言葉なども交え、歴史的な習性とも言うべき中国の二重構造について解説する。
時間:06:16
収録日:2013/10/31
追加日:2014/03/20
中国という国は、確固とした中心性を保持するために独自のダブルスタンダードを持っている。数千年という歴史の中で培い、現代中国に今なお息づくその二重構造とは如何なるものか。毛沢東の言葉なども交え、歴史的な習性とも言うべき中国の二重構造について解説する。
時間:06:16
収録日:2013/10/31
追加日:2014/03/20
≪全文≫

●「一国二制度」という言葉に代表される中国独自のダブルスタンダード


前回は、いわば中国は王権や文化の中心であり、その周辺に王権がどんどん拡大していき、それを尊敬してくれればいいという考え方が、中国の本質であるという話をしました。
では、そういう中国であるとすると、どのような問題が残ってくるのかということになります。つまり、確固たる中心はあるのですが、今度はその中心に対して、中国そのものが、今の言葉で言うところのダブルスタンダード、二枚舌を使う必要が出てくるわけです。
それはどういうことかと言うと、今の時代に振り戻して言えば、例えば「一国二制度」という言い方があります。これは、特に香港が返還されるときに、「香港は資本主義的なことをやってもかまわないし、自由主義的にやってかまわない。中国本土のやり方と違う制度があってもよろしい。しかし、中国なのです」ということです。このような姿勢に対して、一国二制度という言葉を使ったわけですね。
そうすると、例えば、われわれ日本人であれ、アメリカ人であれ、フランス人であれ、ドイツ人でもいいのですが、近代の主権国家に住んでいる人間は、「一つの国に制度が二つあるといったことはあり得ない」と言って、非常に驚いたわけです。しかし、中国の歴史から見れば、そのようなことはもう2千年、3千年もやっていることなのです。

●戸籍や改革開放、先富論も二層制


例えば、今だって中国大陸の内部において、戸籍について言えば、都市戸籍と農民戸籍というものがあるでしょう。つまり、都市と農民に分けてしまっているのです。
あるいは、政治的には「社会主義、つまり一党独裁社会主義体制をやる」としながら、しかし、経済は「自由主義経済ないし資本主義経済でもかまわない」ということで、開放改革をやると言っているのです。
これも、言ってみれば一国二制度ですね。中国の中においては、「政治は社会主義でやる。経済は開放改革でどこにもないような自由な資本主義をやる」ということで、これは一国二制度になっているわけです。
また、鄧小平が言った、「先富論」という言葉があります。これは、「豊かになる者は先に豊かになろう」という意味です。誰かが豊かになるということは、当然、誰かが貧しくなるということですから、それはほかの国から見れば「なんという言い方だ」と思うわけです。しかし、中国の歴史では、常に一国二制度的な二層制があるので、中国社会の中では受け入れやすくなっているわけです。

●化外の民・農民の心に火を付けた毛沢東の言葉-「農村が包囲する」


そういう文脈の中で、ものすごく革命的なことをやった人がいます。それは誰かと言うと、毛沢東なのです。では、毛沢東がなんと言ったのか。
中国は一つの国民としても、農民戸籍と都市戸籍と分かれているわけで、完全に分断しています。そこで毛沢東が言った有名な言葉が、「農村が都市を包囲する」ということです。これが、やはり中国の毛沢東革命の一番すごい言葉なのです。
都市部の住民というのは、歴史的に見ても、王朝があってその周辺にいて商売をやったり、官僚であったりするわけです。一方、農民というのは、2千年も3千年も前から常に農民であったという、そういう二層になっているのです。そこで、毛沢東という人が初めて「農村が都市を包囲する」と言ったのです。
つまり、中国という全体社会の中で、農民という化外(けがい)の民、すなわち、中国文明の恩恵から一切離れたところにいて、はるかかなたに中央の王様がい...
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