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DATE/ 2017.06.11

世の中の平均貯蓄額が1,820万円ってホント?

 2人以上の家庭の平均貯蓄額が1,820万円と4年連続で過去最高を更新したという、2016年度の調査結果が総務省より発表されました。

多くの人は「みんなそんなに貯金できてるの?」と思い、不安になったり焦ったりするかもしれません。しかし不安がることなかれ。もしあなたが1,400万円の貯蓄があれば、「平均以下なのか」と感じるかもしれませんが、実際には充分な貯蓄があるといえます。というのもこの平均貯蓄額1,820万円を上回っている家庭は全体の3割にも満たず、全体の67.7%の家庭の貯蓄額は平均に届かない金額に留まっているからです。

では、多くの家庭が達成できていない「平均貯蓄額1,820万円」とはどういうことなのでしょうか?

平均貯蓄額1,820万円のカラクリ

 そのカラクリは「平均」という言葉にあります。そもそも平均とは合計の数値を人数で割った値なので、突出した数値が含まれてしまうと結果に大きな影響を与えることになってしまいます。そこで用いられるのが、中間に位置する数値を示す中央値です。今回の調査では、平均貯蓄額は1,820万円であるのに対して中央値は1,064万円、貯蓄ゼロの世帯も含めると996万円との結果が出ており、平均値とは大きな差が生じていることがわかります。

 この平均値を押し上げているのは、高齢者世帯の貯蓄です。平均貯蓄額を年齢別に見てみると、以下の結果となっています。

40歳未満:547万円
40~49歳:1,065万円
50~59歳:1,802万円
60~69歳:2,312万円
70歳以上:2,446万円

59歳未満の勤労者世帯の貯蓄額は1299万円に留まるのに比べて、60歳以上の高齢者家庭の貯蓄額は2385万円と、ぐんとはね上がっていることが分かります。さらに高齢者世帯のうち44.5%が1820万円より多い貯蓄を持ち、そのなかでも18.6%の世帯では貯蓄額が4,000万円以上にものぼるというのは驚きです。お金があるところにはあると言いますが、高齢者世帯は平均貯蓄額をつり上げるのに影響を与えるのに充分な貯蓄を持っているといえるでしょう。

約1割の世帯では貯蓄が100万円以下という現実も

 その一方で、貯蓄額が100万円以下の世帯は全体で10.5%にのぼり、59歳未満の勤労者世帯では12.8%と、最も高い割合を占めているという調査結果も出ています。この中には貯蓄ゼロの世帯が含まれていないため、より多いことが想定されます。

 平均値や中央値を見て「自分は全然ダメだ」と悲観的になる必要はありません。世間の人はどれくらいの貯蓄があるのかなどの動向を知ることで、自らの貯蓄のモチベーションにしていくことも大切です。とはいえ、地域性や年齢、環境や家族構成など様々な状況を考慮した上で、各家庭に合った貯蓄の仕方を考える必要があります。そして、自分の家庭の家計を見直して、貯蓄をしていくきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・総務省統計局 家計調査報告 1.貯蓄の状況
http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h28_gai2.pdf
・総務省統計局 家計調査報告 3.世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況
http://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/h28_gai4.pdf
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