テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
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DATE/ 2017.10.26

新たなスタイルの闇金融「ソフト闇金」の実態

 景気の回復が報じられるようになった今日この頃ですが、国民の隅々にまで実感が行き渡るのはまだ当分先のように思われます。いわゆる闇金、違法の消費者金融の世界を題材にした漫画やドラマがヒットしたのも経済的に先行きの見えない時代だからこそと言えるかもしれません。

 そんな時代に新たなスタイルの闇金融「ソフト闇金」が密かに耳目を集めているのを御存知でしょうか?

どうして「ソフト」闇金なのか

 そもそも「闇金」とは闇金融の略称です。国や都道府県に賃貸業として届け出を行っていない、もしくは正式に賃貸業として登録していても出資法に反した高金利をとる消費者金融を指します。事務所の奥に高圧的な強面が詰めていて、返済できないとなると罵声を浴びせながらドアを叩きつけ取立をする姿をイメージする方も多いのではないかと思われますが、規制が強化された今そのような業者は少なくなりました。

 そこで現れたのが「ソフト闇金」です。看板通り利用者に《ソフト》な接客で貸付をするのがひとつの特徴になっています。今までの闇金より返済周期は長く、金利も安く設定されています。過激な取立ては影を潜め、返済期日の延長も相談に応じる、顧客にとってネックになるところが柔らかくなっているということで《ソフト》闇金と名乗っているようです。

 主な客層は、大手の金融機関から融資を受けられない方です。身の上相談にもまるで友だちかのように乗ってくれる、そんな接客術に警戒心が緩むのか専業主婦や年金暮らしの高齢者の利用が多いとも報じられています。

 とはいえ利息が法外であることに変わりはません。返済を待って欲しいという相談に応じてはくれますが、利息はどんどん膨らんでいきます。今までの闇金同様、元金を減らすことなく利息だけを長期にわたって払わせ続けることに狙いがあるのです。

 利用者の親身になって相談に乗ってくれるような接客をするのも、信頼関係を築くことで警察や弁護士、司法書士のもとへ駆け込まないよう張られた予防線です。その信頼関係を利用して顧客から別のお金に困っている人を紹介させて芋づる式に新しい顧客を得ようとする業者も存在します。

どうして尽きない闇金サイト?

 そんな「ソフト闇金」ですが、インターネットで検索してみると膨大な数のサイトが見つかります。事務所や店舗を持たず携帯電話を連絡手段として貸付から取立てまで行っているせいか、その顔となるホームページは思いの外、綺麗にまとまっているところも少なくありません。しかし、手の内を明かすかのように「ソフト闇金」であることを明記して、法外な利息をとることを隠しもせず、融資を呼びかけているのに、取り締まられないのは何故なのでしょう?

 業者によっては金融機関としてではなく、あくまで個人として貸付しているだけだとうたっているところがあります。しかし、実際には個人間であっても法的な制限がありますのでこれも違法には変わりありません。しかし多くの違法サイト同様、取り締まられたところで社名を変えればすぐ業務再開できてしまうという、警察とのイタチごっこになっているのが現状のようです。

結局は「ソフト闇金」=「闇金」

 それだけ「ソフト闇金」がはびこるようになった一因には、2010年に施行された貸金業法の改正に伴う規制強化があります。今まで正規の消費者金融から融資を受けられた人が、審査に通らなくなったためソフト闇金を使わざるを得なくなったようです。

 いよいよ返済がままならないとなってくれば、今までの闇金と何ら変わらない厳しい取立がやってきます。ソフト闇金は個人情報を担保に融資をしているので、返済できないとなれば家族や勤務先に取立が回ります。さらには別のソフト闇金から借入れさせられて多重債務に陥らされたり、オレオレ詐欺などに使うための口座の売却をしないかと、違法な手段での返済を持ち掛けられたりすることも報告されています。

 くれぐれも”ソフト”という言葉に欺かれないよう注意してください。呼び名が変わって接客が親切になっていたとしても、そこにいるのは羊の皮を被った狼であることにかわりはありません。もし、借りてしまった場合はやはり法律の専門家にご相談を。

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