テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.10.31

韓流ブームが過ぎ去ったコリアンタウン・新大久保の「今」

 韓国ドラマ「冬のソナタ」が火をつけ、社会現象にもなった「韓流ブーム」も今や昔。かつて「韓流の聖地」と呼ばれた新大久保は今、どのような街に変貌を遂げようとしているのでしょうか。

4年間で約4割の韓国系店舗が消えた

 新大久保は2002年に日韓共催で行われたサッカーW杯や韓流ブームの到来で勢いがついた2000年代から韓国系店舗が増え始め、2010年頃には全盛期を迎えました。「コリアタウン」「韓流の聖地」として注目され、観光地化が進んだのもこの頃からです。

 2017年のレコードチャイナの記事では「日本最大のコリアタウンとして東京・新大久保界隈にある韓国系店舗は現在計384軒」と伝えています。依然として日本最大のコリアタウンであることは変わりませんが、下火となった韓流ブームや反韓デモなどの影響で、その店舗数は実に4年間で約4割も減少しました。

韓国系店舗の代わりに増えた他のアジア系店舗

 入れ替わる形で増えたのが、中国・台湾・ベトナムなど他のアジア系の店舗です。

 その中でこれまでなかった新しいお店の一つとして挙げられるのが、2017年9月にオープンした台湾に拠点を置くDOMO株式会社の「DOMO CAFE」です。コーヒー界のアカデミー賞とも称される「Nordic Roaster 2013」で1位に輝いた台湾の浅煎り豆と、京都の人気コーヒー店「カフェ・ヴェルディ」の中深煎り豆が看板商品で、洗練されたおしゃれな店内とあいまって、居心地が良いと評判です。

 また、若い女性を中心に流行った大粒のタピオカを太いストローで飲む台湾発祥のタピオカミルクティーのお店も賑わいを見せており、2018年2月には、インド、ネパール、タイ、ベトナムなど8カ国の料理が食べられる「新大久保 アジア屋台村」もオープンしています。韓国だけではなく、アジアを中心とする多国籍のお店が集まる街であることも新大久保の新しい魅力の一つとなっています。

流行の中心はやはり「女子高生」

 しかし、韓流も以前とはまた違った形で盛り上がっています。2017年にはチーズタッカルビ、2018年にはチーズドッグが大きな話題になるなど、最近ではインスタ映えする「韓国グルメ」が若者たちの人気を集めています。加えて、安くて質が良いと言われる「韓国コスメ」やTWICEやBTS(防弾少年団)をはじめとする「K-POP」アイドルも熱く支持されています。いずれも10代~20代の女性が中心であり、今も昔も流行の中心にいるのは女子高生と言えますが、その移り変わりが激しいのも事実。彼女たちの興味はいつ次に移っていくか、わかりません。

 こうした街の変化に対して、新宿韓国商人連合会のオヨンソク氏は「今の若い人たちは、自分が好きかどうかが判断基準。気軽に町歩きを楽しんでもらい、政治に左右されない街にしたい」と語っています。韓流もそれとは別の新しい流行も、どちらも新大久保には欠かせません。新陳代謝は街の進化を促します。これからどんな街に変貌していくのか、見守っていきたいところです。

<参考サイト>
・朝日新聞デジタル:ハットグ映える新大久保 日韓関係に翻弄されない街へ
https://www.asahi.com/articles/ASLDD3VHSLDDUQIP00P.html
・レコードチャイナ:反韓デモや韓流ブーム衰退が影響、新大久保コリアンタウンの韓国系店舗が4割減
http://www.recordchina.co.jp/b174602-s10-c20.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

無料で開講した石田梅岩、師・小栗了雲から学んだ「無心」

無料で開講した石田梅岩、師・小栗了雲から学んだ「無心」

石田梅岩の心学に学ぶ(3)神道布教の志と「無心」

石田梅岩は20代の頃、二度目となる奉公に出るとともに勉学にも力を入れていく。それを支えたのは、当時京都で隆盛だった吉田神道(唯一神道)をさらに普及させようという志だった。やがて8代将軍・徳川吉宗の世となり、40代を迎...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/04/22
田口佳史
東洋思想研究家
2

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割

江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
堀口茉純
歴史作家
3

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

カーボンニュートラル社会に必要な「発想の逆転」とは

カーボンニュートラル社会に必要な「発想の逆転」とは

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(2)電力の需給バランス

これからの社会では、電力化の進展によるモビリティやロボットの「カンブリア爆発」によって、電力の消費量も増えていくことも予想される。そのような社会を支える電力をいかにサステナブルに供給するかが重要な課題となるが、...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/20
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
5

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授