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DATE/ 2018.01.16

火事になった時に「やってはいけない」対処法

火災発生件数

 総務省のデータを見ると、平成28年の総出火件数は 36,831 件です。住宅火災に絞ると、総死者(放火自殺者等を除く)数は 885 人、このうち 65 歳以上の高齢者は 619 人で 69およそ7割。住宅火災の死に至った経過状況(放火自殺者等を除く・不明・調査中を除く)では、逃げ遅れが原因で死亡した人が全体の8割以上とのことです。自分の手に負えない場合は迷わず逃げましょう。

油からの発火は水をかけてはいけない

 総出火件数のうち建物火災の出火原因は、「こんろ」14.7%、「たばこ」10.0%、「放火」7.5%、「ストーブ」5.6%、「配線器具」4.6%の順となっています。実際にガスコンロに関連した火災の状況を見ると、「鍋を火にかけたままその場を離れた」「衣服に炎が燃え移ってしまった」「置かれていた布巾に火が燃え移った」「魚焼きグリルに付着した油かすに火がついた」といった事例があります。皆さんの中にもこの状況にヒヤッとした経験がある方もいるかもしれません。

 油は370℃に達すると自然発火します。もし発火した場合は焦らず、濡らした毛布などをかぶせ、空気を遮断して鎮火し、そのまま温度が下がるのを待ちます。決して水をかけてはいけません。周囲に油が飛散して、やけどを負ったり、火災が拡がったりする危険性があります。

 もし衣類に火が燃え移ったら、周りに水があれば水をかぶって消します。ない場合は、地面に転がって、燃えている部分を押し付けて消します。髪の毛が燃えてしまったら、濡れた衣類やタオルなどを頭からかぶって消火しましょう。

消火器の使用方法

 手近に消火器がある場合は、使用しましょう。東京ガスのサイト「ウチコト」では消火器の使い方の「手順」と「構え方のポイント」を以下のように簡潔に紹介しています。

 次の3つの手順で使用します。
1)安全ピンに指をかけ、上に引き抜く
2)ホースをはずして火元に向ける
3)レバーを強く握って噴射する

 構え方のポイントは、以下の3点。
・風上に回り、風上から消す
・やや腰を落として姿勢を低くし、熱や煙を避けるように構える
・燃えているものにノズルを向け、火の根元を掃くように左右に振る

Siセンサーがあるから大丈夫、は間違い。

 2008年4月以降に製造された家庭用のガスコンロは、Siセンサーというものが搭載されています。鍋底の温度を感知し、約250℃になるとガスを自動的にストップさせ、油の自然発火を未然に防ぐものです。これにより、自然発火のリスクはかなり減ったのですが、この機能に頼るのは間違い。

 たとえば、鍋の裏などが汚れていたり変形していたりすると作動しないことがあります。また軽い鍋だとセンサー部分の押し上げる力で不安定になり、調理中に水分が蒸発してしまうこともありえます。また、油の量が少ないとセンサーが作動する前に発火する恐れもあります。

 Si機能のコンロに変えたからうちは大丈夫、などと思わない方がよさそうです。また直火のないIH調理器でも火災は起きます。少しの時間であっても火があるところから離れない、どうしても離れなければならない時には必ず火を消す、という意識が大切です。

もし火災をみつけたら

 最後に、もし火災を見つけたら、近隣の方や住人にいち早く知らせ、小さな火でも消防車を呼びましょう。もし鎮火する場合は、消火器だけに頼らず、座布団で火を叩く、塗れた毛布で火を覆うなど、身の回りで使える消火方法をおさえておきましょう。手に負えない場合は迷わず逃げましょう。逃げる際は扉などを閉め、火に空気が入らないようにすることも重要です。

<参考サイト>
・総務省消防庁:報道発表http://www.fdma.go.jp/neuter/houdou_01/houdou29nen.html
・総務省消防庁:平成28年(1月~12月)における火災の状況
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h29/07/290728_houdou_1.pdf

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