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DATE/ 2018.03.02

アルコール度高め「ストロングゼロ」はなぜ売れた?

 注目を浴びている、アルコール度高めの「ストロング」系アルコール飲料。特にサントリーから発売された缶チューハイ「-196℃ストロングゼロ(以下、ストロングゼロ)」シリーズは、2009年の発売以来、売り上げを伸ばし続けている大ヒット商品です。

 ストロングゼロシリーズはなぜ売れたのでしょうか?その人気の秘密に迫ります。

お得に酔える「家飲み」時代にマッチした商品

 ストロングゼロシリーズが売れた背景のひとつに、お酒を居酒屋で飲むよりも「家飲み」が好まれるようになった点があります。

 「飲みニケーション」という言葉が示す通り、居酒屋はサラリーマンの社交場として親しまれてきました。しかし、昨今は飲み会を忌避する若者の増加やライフスタイルの変化によって、客足は遠のきがちになっています。

 一方で愛飲家の間で定番となってきているのが「家飲み」です。会社帰りにコンビニに寄り、ビールよりも割安な発泡酒や「第3のビール」を買い求めて帰宅し、夕食中、または夕食後に一杯飲むという過ごし方が定着しつつあります。

 そのような中、2008年のリーマン・ショックを受けて消費者の財布のひもはますます固くなり、居酒屋はおろかアルコール業界全体が業績不振に陥りました。

 そこで低価格かつ、家飲みに適した缶チューハイを目指して開発されたのが、サントリーのストロングゼロです。

 従来の缶チューハイのアルコール度数が約5%に対し、9%と高めにしているストロングゼロは、「安酒をいくつも飲むより、一缶で酔えるものが飲みたい」という家飲みのニーズにマッチした商品でした。

 さらに健康志向の高まりとともにスタンダードとなった「糖質ゼロ・プリン体ゼロ」という付加価値も、売り上げを押し上げる要因となったようです。

Twitterを席巻!「ストロングゼロ文学」

 人気を象徴するかのように、ストロングゼロにまつわる、あるTwitterのハッシュタグ(キーワード)が話題を呼びます。それが「ストロングゼロ文学」です。

 2017年12月、年の瀬を迎えてしんみりしたのか「(ストロングゼロは)孤独を枕に飲むものだ」などと、ストロングゼロを片手に、自分が置かれた状況を詩文のごとく告白するツイートが現れ始めました。

 それらはやがて「#ストロングゼロ文学」というハッシュタグをつけた大喜利に発展。「ストロングゼロを飲んで、ウサギは亀に負けました。『まあいっか』ウサギはもう1缶開けました。」「『何があっても絶対に開けてはいけません』そう言って乙姫さまは、ストロングゼロ500ml缶1ケースを渡しました。」「右のストロングゼロを飲んだら左のストロングゼロも飲みなさい。」など、往年の名作や名言にストロングゼロを織り交ぜる数々の 言葉が誕生しました。

 こうしたストロングゼロの人気を皮切りに、各メーカーからも個性的なストロング系缶チューハイが続々と登場。伸び悩むアルコール市場を牽引する存在となったのです。

手頃だからこそ、飲み過ぎには要注意

 ストロング系缶チューハイは、手頃な価格で酔いやすく口当たりがよいため、他のアルコール飲料よりも特に依存性が高まりやすいという指摘もあります。

 仕事のストレスのはけ口として毎日ストロング系缶チューハイを大量に飲み続けた結果、アルコール依存症になってしまったというケースも。手軽に飲めるからこそ、その飲み方や飲む量には十分気をつけなければならないでしょう。

飲み過ぎに注意しつつ楽しもう

 男性の中年層のみならず、若者や女性まで虜にしたストロング系缶チューハイ。その盛り上がりは、不況の中においても「お酒を楽しみたい」という人びとの願いから生まれたものでした。

 歓送迎会や花見など、お酒を飲むイベントが増える時期です。飲み過ぎに注意しつつ楽しみたいものですね。

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