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DATE/ 2018.11.28

新しい元号は何になる?意外に知らない6つの法則

 平成30年の4月30日で30年にわたる「平成」の時代がいよいよ終焉をむかえ、翌日の5月1日には新天皇即位に伴う「新元号」が採用されます。

 “大化の改新”で有名な日本で初めての元号「大化」が使われるようになったのは、西暦で換算すると645年のこととされていますが、その間一度も今回のように皇位継承と改元の時期が前もって決められたことはなかったといいます。

 「つまり、いま日本人は祖先の誰もが経験しなかった時間をすごしていることになる」と文学博士で東京大学史料編纂所教授の山本博文氏が『元号 全247総覧』の中で述べているように、新たな歴史の渦に巻き込まれるように、新しい元号をめぐる思惑や予測がメディアやインターネット上などで繰り広げられています。

ネットも誌上も白熱!「ポスト平成」予測合戦

 「ポスト平成」予測合戦は、どのような様相を見せているのでしょうか。

 インターネット上やSNSなどでも予想合戦は賑わっていますが、企業も大々的なアンケートに乗り出しています。「ソニー生命保険」は2018年3月に、全国の20~28歳の平成生まれ500人と52~59歳の昭和生まれ500人の計1000人に「新元号」予想アンケートを実施しました。結果はベスト3が「平和」(47人)、「和平」(19人)、「安久」(17人)。つづくベスト10までに「未来」「自由」「新生」「大成」「羽生」「希望」「安泰」「安寧」「太平」がランクイン。同社は「次の時代は、平和で安心できる世の中になるように、との願いが込められているのではないでしょうか」と述べています。

 そして使われた文字は多い順に、「和」(165人)、「安」(118人)、「平」(112人)、「明」(91人)、「成」(58人)という結果に。同様に同社の広報課は「地震や台風など自然災害が多発し、世界情勢も自国優先のトランプ・リスクにさらされています。現代の不安を反映して、穏やかな文字が選ばれたのではないかと思います」としています(『週刊朝日』、【新元号の予想】、新元号は「安久」!?)。

 また『週刊朝日』『サンデー毎日』『文藝春秋』『一個人』『DIME』といった各種雑誌でも「ポスト平成」をめぐる特集が組まれ、単行本でも「元号」モノが活気を帯びるなど、各種メディアで注目を集めているようです。

知る人ぞ知る?「新元号」選定“6つの法則”

 ところで、皆さんは「元号使用の法的根拠」をご存知でしょうか。前述の山本氏は「元号使用の法的根拠は“元号法”のみ」と述べています。では「元号法」とはどんな法律なのでしょうか。

 「元号法」は昭和54(1979)年6月に成立・公布・施行されていますが、条文は「1 元号は、政令で定める」と「2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める」の2項のみです。ちなみに「平成」はこの「元号法」に基づいて制定されましたが、その背景には具体的な選定の要領として、同年10月に「元号法」を成立させた当時の大平正芳内閣が策定した「元号選定手続」の要領があります(『サンデー毎日』、元号法)。

 「元号選定手続」のうち「候補名の整理」に示された“6つの法則”といえる留意点は、
1)国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つもの、
2)漢字2字、
3)書きやすい、
4)読みやすい、
5)これまでに元号又はおくり名として用いられたものでない、
6)俗用されているものでない、となっています(元号選定手続について)。

 専攻分野が日本法制文化史である京都産業大学名誉教授の所功氏は、その中でも「特に厄介」な2つを5)と6)であるとし、その理由を「日本だけでなく、中国、朝鮮、ベトナムも含めて、元号や王の諡号だけでなく地名や社名としても過去に用いられたものは使えない」ためと解説しています(『文藝春秋』)。

新たな方針も追加!再検討から鑑みる新時代

 さらに現政府には“6つの法則”に加えて、
1)1文字15画を上限として画数ができるだけ少なくなじみやすい漢字を用いる、
2)新元号のアルファベットの頭文字は「明治(M)」「大正(T)」「昭和(S)」「平成(H)」と重ならないようにする、

といった新しい方針もあるようです(「新元号」はできるだけ少ない画数に)。

 なお日本の元号に採用された漢字は72文字と限られており、所氏によると中でも採用数の多い漢字は「元・永・天・和・平・徳・康・延」(日中共通)などや、「治・応・正・長・承・仁」(日本では多い)とされています(『文藝春秋』)。

 これらの要件を満たしつつネットの予想ランキングを再見してみると該当するもの自体が少ないように思います。前述の「ソニー生命保険」調べの1000人アンケートのベスト10であれば、3位の「安久(あんきゅう)」くらいではないでしょうか。なお、山本氏は『DIME』誌上で「人に優しい政治が永く続く時代」という願いを込めた「仁永(にんえい)」を候補に挙げつつ、「ただ“仁”は天皇の諱にも使われているので難しいかな」とも延べています。

 平成に続く新しい元号は、実際にはどんな2文字となるのでしょうか。日本で元号が使われてきた約1370年もの間で、歴史上ふたつの元号が60年近くも並立した異常な時代がありました。南北朝の動乱期です(『一個人』)。その「争乱の世」を描いた軍記物の名作古典『太平記』のタイトルには、内容と正反対の「太平の世」への願いが込められているといわれています。

 思惑や予測は数あれど、何よりも新しい御代にこそ、国民の理想と希望に満ちたよい元号と時代になることが望まれています。

<参考文献・参考サイト>
・『元号 全247総覧』(山本博文編著、悟空出版)
・「平和、和平、安久、未来、自由…新元号予想で占う「ポスト平成」」、『週刊朝日』(2018年10月12日、朝日新聞出版)
・「最新元号考」、『サンデー毎日』(2018年10月21号、毎日新聞出版)
・「平成の「次の元号」に使われる漢字」、『文藝春秋』(2018年7月号、所功著、文藝春秋)
・「平成の「次の元号」はコレだ!」、『DIME』(2018年4月号、小学館)
・「“平成”と元号のおもしろヒストリー」、『一個人』(2018年5月号、KKベストセラーズ)
・【新元号の予想】平成生まれ・昭和生まれの生活意識調査 - ソニー生命保険
https://www.sonylife.co.jp/company/news/30/nr_180508.html

(10MTV編集部)

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