テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.03.26

「SNSストーカー」に遭わないための5つの心得

 最近、「ネットストーカー」という言葉をよく見かけるようになりました。その被害が多発しているからです。ネットストーカーとは何か。被害に遭わないようにするにはどうすればいいのか。わかりやすく解説していきます。

ネットストーカーとは何か

 みなさんもご存知のようにストーカーとはしつこくあとをつけまわしてくる人のことです。そのネット版が「ネットストーカー」です。とくにSNSを通じてネットストーカー行為におよぶ犯罪が続出しています。

 おそろしいことに、エスカレートするとネットの世界を飛び出して、ネットストーカーからリアルのストーカーに進化し、SNSに記載された位置情報などをたよりにして自宅に押し寄せてくるケースもあるそうです。

引越しを検討する事態にまで発展

 総務相も「国民のための情報セキュリティサイト」という記事で18の事例のひとつとして「ネットストーカーに注意」と警告しています。ここに掲載されている具体例を見てみましょう。要約してお伝えします。

 女性のNさんは、SNSを日常的に利用していました。ある日、面識のない男性から「僕とつきあってください」というメッセージが届きました。しつこかったため「迷惑ですので、もうメッセージしないでください」と伝えると事態は急変。脅迫的なメッセージが送られたり、Nさんを誹謗中傷する投稿が行われたりするようになり、Nさんの自宅住所を把握していることを知らせるメッセージまで来たといいます。結局、Nさんは、SNSのアカウントを削除し、引越しを検討することになりました。

犯罪の境界線

 ネットストーカーの行為はどこからが犯罪になるのか。ストーカー規制法によると、「監視していると告げる行為」、「面会や交際、復縁等義務のないことを求める」、「拒否しているにもかかわらず、何度もファクシミリや電子メール・SNS等を送信してくる」「中傷したり名誉を傷付けるような内容を告げたりメールを送る」等が該当します。

 罰則としてストーカー行為をした者は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」、また、禁止命令等に違反した者は「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が課されます。

 上記のNさんに行った男性のケースもあきらかにストーカー規制法に違反していることがわかります。被害に発展した分岐点は「迷惑ですので、もうメッセージしないでください」と伝えた時点でしょう。その後に男性は急変しました。

Nさんの対応は正しかったのか

 ではNさんはどう対処すればよかったのか。警視庁のサイトでは「防犯の心構え」として「面会や交際の要求」があった場合、「はっきりと拒否の姿勢を示す」とあります。これをみるとNさんの対応は正しかったように思えます。

 また、「拒否しているにもかかわらず、何度もファクシミリや電子メール・SNS等を送信してくる」場合の対応について「余分な会話はせず、相手に「電話をかけてこないで下さい。」「警察に訴えます。」など、毅然とした態度で拒絶の意思を伝える」とあります。

 一方、犯罪行為にあたる「著しく粗野又は乱暴な言動をすること」の項目では「ストーカーは、交際などの要求を拒まれると、乱暴な行動をとります」とあります。毅然とした態度は必要だけれども、相手が乱暴になる可能性があるということです。

SNS利用者が覚えていくべき5つの心得

 Nさんはかなり判断の難しい局面に置かれていたわけです。これが正しいという対応策はなく、その場その場でとるべき対応は変わるようです。いずれにしても、「SNSストーカー」に対して、SNS利用者は次に挙げる5つの心得を覚えておくとよいでしょう。

・プロフィールや写真から場所や個人情報を特定されないように注意すること
・相手の要求には、はじめから毅然とした態度で拒否すること
・要求を断ったときに相手が乱暴になる可能性があることを知っておくこと
・すみやかに警察や信頼できる人に相談し、自分だけで抱え込まないこと
・SNSへの投稿をやめ、アカウントの削除も検討すること

 ということで、SNSを利用しているみなさん、そこにはネットストーカーが存在する可能性があることもどうかお忘れなく。

<参考サイト>
・国民のための情報セキュリティサイト│総務省
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/enduser/case/06.html
・ストーカー規制法│警視庁
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
2

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
5

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授