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DATE/ 2019.06.30

職場で「ポンコツ」と思われる人の特徴

 どんな職場にも組織にもなぜか必ずいる「ポンコツ」な人。みなさんの身の回りにも思い当たる人がいるのではないでしょうか。

 「ポンコツ」と思われてしまう人には何か共通の特徴があるようです。そもそもこの言葉にはどんな意味があるのかも含めて、ポンコツ事情を調査しました。

「ポンコツ」ってどんな意味?

 「ポンコツ」には1~3まで次のような意味があるそうです。「精選版 日本国語大辞典」を参照しました。

1「拳骨(げんこつ)でなぐること。また、なぐって殺すこと」
2「明治時代の洗濯業界で、木綿製の衣類などを、固定した木や石にたたきつけて汚れを取ること。また、その方法」
3「使いものにならなくなった自動車の解体。また、それをする商売。転じて、中古の、こわれかかった自動車。一般に、老朽化し、廃品同様になったものにもいう」

 人を「ポンコツ」と呼ぶ場合は3のケースですね。つまり、もともと「使いものにならなくなった自動車の解体」を意味した言葉だったのが、転じて「こわれかかった自動車」そのものを指すようになり、さらに自動車以外の「老朽化し、廃品同様になったもの」まで意味するようになったということです。

指示通りに動けない人

 「ポンコツ」という言葉の奥に「老朽化し、廃品同様になったもの」「使えない機械」という意味があったことは重要です。おそらく、人を「ポンコツ」と呼ぶ場合も「使えない機械のようだ」という意味が含まれているのでしょう。

 考えてみると、物に対して「ポンコツ」と罵ったりするのはちょっと変ですね。憂さ晴らしにはなりますが、そんなことを物に言ったところで、何の効果もありません。でも、気持ちはよくわかります。急いでいるのに、うまく作動しないパソコンやプリンターに「このポンコツ!」と言いたくなることがよくあります。

 機械やパソコンに対して「ポンコツ」と言いたくなるのは「思い通りに動作しない」というケースが多いのでしょう。人の場合も「指示通りに動けない人」を「ポンコツ」と呼びますね。

AIとポンコツ

 30代女性の会社員Aさんに聞き取りをしたところ、「"指示通りに動けない人"だけでなく"指示なしに動けない人"もポンコツなのでは」と言う回答がありました。物と違って、人の世界では「自分で考えて行動できない」と評価されません。人は「自分で考えて行動すること」が仕事の前提になります。

 ところで「機械は指示がなければ動けない」という考えが常識でしたが、AIの登場によりその発想は覆されつつあります。AIは、将来的に仕事に対する評価や「ポンコツ」の定義も大きく変えることでしょう。

 人は「AIにできないこと」をやるのが当然で、そうじゃないと「ポンコツ」と言われてしまう時代もやってくるかもしれません。

何度も同じ失敗する

 もう一名、50代男性の会社員のBさんにも聞き取りを行いました。Aさん同様に「指示通りに動けない」に加えて「何度も同じ失敗する」と回答しました。さらに「人として当たり前のことができなかったり、仕事を行ううえで当然のスキルを持っていない場合にポンコツだなと思ってしまう」と。

 加えて、「ただし、安易に"ポンコツ"と呼ぶのはどうかなと思う。たとえこちらが親しみをもって言ったとしても相手は傷つくかもしれない」と話しました。

 これはBさんの言う通りでしょう。言われた相手の受け取り方によってはパワハラにもなりかねません。たとえば、相手が「指示通りに動けない」と感じたとしても、もしからしたら指示を出した自分に問題がある可能性だってありますし、自分が常識だと思っていることが相手にとっては非常識であることも多々あります。

 相手を責める前にまず、一呼吸置いて自分の行動や言動を含めた全体のプロセスを振り返りましょう。「何気ない一言が命とりになる」くらいの緊張感を持って、伝える言葉は丁寧に選びましょう。

<参考サイト>
・精選版 日本国語大辞典
https://kotobank.jp/word/ぽんこつ-632128
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