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DATE/ 2020.01.26

老後の海外移住も…日本と東南アジア、物価の違い

 東南アジアは総じて物価が安く、日本の2分の1から3分の1程度の生活費で暮らせるエリアもあるようです。老後資金に2000万円が必要となれば、物価の安い国に移住して暮らす方が賢明という考え方もありです。ということで、ここでは特に東南アジアに絞って、日本との物価の違いを見てみましょう。

東アジアの物価比較

 海外旅行の検索・比較サイトのエイビーロードでは、いくつかの観点から物価が比較されています(2019年2月のレート換算)。まずはタクシーの料金を見てみましょう。東京23区のタクシー初乗り料金は1キロ410円。この金額は東アジア地域では一番高いです。次は韓国で360円、ついで香港338円、中国261円、台湾251円、タイ124円、マレーシア82円、ベトナム48円と続きます。特にタイ、マレーシア、ベトナムという東南アジア3カ国は安いです。

 次にビール1缶の値段を見てみましょう。日本は221円、次はマレーシア214円、韓国196円、香港168円、タイ138円、台湾97円、ベトナム44円、中国36円となっています。マレーシアはタクシー料金に比べてビールが随分高いですが、これは人口の60%がイスラム教徒でお酒を飲む人口が少ないことが関係しています。ただし割高であったり種類が少なかったりはしますが、多くのお店でお酒を飲むことはできるようです。ちなみにコーラの値段は、マレーシアでは74円、タイでは61円、ベトナムでは30円となっています。

マレーシア、タイ、ベトナムの移住環境

 マレーシアには、すでにおよそ24,000人の日本人が生活しています。大きく見て月の生活費はおおよそ日本の2分の1程度といった感じです。ただし、物価は上昇傾向なので、この先はもう少し厳しいかもしれません。また、お酒とインターネット環境は割高です。滞在期限は最長10年ですが、50歳以上であれば条件がやや緩和されます。凶悪犯罪が少なく、犯罪発生率も日本より低いですが、首都クアラルンプールでの窃盗犯罪が増加しているとのこと。

 ベトナムの家賃は安く、冷蔵庫やガスコンロなどの生活用の備品から掃除洗濯サービス、フロントスタッフまでついたアパートが月3万円くらいからあります。また、フォーが一杯200円程度、日本食でも500円程度です。ホーチミンシティにはすでに1万人以上の日本人が生活していて、病院、整体、不動産屋などでも日本語対応してくれるところもあるようです。問題点としては、交通機関があまり発達していない点。みなバイクで移動しています。このため埃とクラクションはかなりきついです。

 タイは在住日本人の人口密度が最も高く、70,000人以上の日本人が生活しています。伊勢丹などの日系デパートもあり、日本製品や日本食などにも困らないようです。月に15万円程度でそれなりに豊かに生活できるという体験談もあります。またタイは親日的で、東南アジア随一の日本人コミュニティがあります。国民は国王や王室、僧侶を大変尊敬しています。国王や王室を侮辱する言動は不敬罪になります。また僧侶に女性が触れてはいけません。こういった文化的な意識をしっかりと尊重することはとても大切です。

タイの場合のモデルケースは?

 タイ国政府観光庁公式サイトには、タイで生活している日本人夫婦のインタビューが掲載されています。記事からどのような生活をしているのか、ポイントをまとめてみました。

 2人がタイを選んだきっかけは、日本から近いところ。なにかあれば帰国できたり、子どもたちが気軽に遊びに来られたりする点がメリット。普段はテニス、バドミントン、ゴルフといったスポーツをして過ごし、毎日家で日本食をつくるとのこと。また楽しみは交流会で地元の子供たちと交流して日本食を作ってあげることだそうです。夫婦の一ヶ月の主な支出は以下の通り。1バーツは3.5円(2019年3月のレート)で計算しています。

家賃 14,000バーツ(49,000円)
光熱費 1,000バーツ(3,500円)
通信費(インターネット代込) 700バーツ(2,450円)
交通費 2,500バーツ(8,750円)
レジャー・交際費 9,000バーツ(31,500円)
食費 15,000バーツ(52,500円)
雑費 10,000バーツ(35,000円)
計 52,200バーツ(182,700円)

 月に18万円ほどで夫婦が暮らせるということです。ロングステイビザの申請資格はまず、満50歳以上であること。また、最新月の預金残高が800,000バーツ(約280万円)以上であることが確認できる残高証明書などが必要となります。このあたり、詳しくはタイ国政府観光庁のウェブサイトなどに記載がありますので、よく確認しましょう。

まずは旅行で滞在してみることから

 ここではタイ、マレーシア、ベトナムという東南アジア3カ国を取り上げました。どこも一年中暖かく、日本に近い割に寒さから逃れられるとてもいい環境です。他にも比較的近いところではサイパンといった手もあるようです。また、日本から離れてもよければ、北アフリカのモロッコという手もありそうです。いずれにせよ、何度か旅行で長期滞在してみると、自分が海外生活に向いているかどうかも含めて、可能性がもう少し具体的に見えてくるかもしれません。

<参考サイト>
・アジア各国の物価比較特集2019|海外旅行情報 エイビーロード
https://www.ab-road.net/article/prices/
年金でもリッチに暮らせる移住先ベスト6|PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/23717
・FACTORIST│KEYENCE
https://www.keyence.co.jp/global/special/other/column/malaysia/01/
定年退職者が選ぶ移住ランキング│海外移住.com
https://www.kaigaiijyu.com/ranking/retirement.php
・【失敗しないベトナム移住】デメリットも生活費も紹介!ベトナム移住10のメリット|THE RYUGAKU
https://theryugaku.jp/3006/
・ロングステイ | 【公式】タイ国政府観光庁
https://www.thailandtravel.or.jp/plan/longstay/

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