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DATE/ 2020.08.16

関東の物価が安いと感じる街ランキング

 リクルート住まいカンパニーより、関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)居住者を対象に実施した「SUUMO住民に愛されている街ランキング2020」の調査のスピンオフともいえる、「物価が安いと感じる街ランキング」が発表されました。

 「物価が安いと感じる街ランキング」は、街の魅力項目の一つである“物価が安い”を評価された街を集計しています。そして関東を対象に実施しているため、【関東の物価が安いと感じる街ランキング】ともいえます。

 なお、回答者は“実際に住んでいる街の住民”ですので、実態に即した結果への期待が高まります。では早速、「関東の物価が安いと感じる街ランキング」をみてみましょう。

【関東の物価が安いと感じる街ランキング】

【関東の物価が安いと感じる街ランキング】
順位:駅名/所在地/代表的な沿線/物価が安い(偏差値)《参考※》
1位:十条/東京都北区/JR埼京線/90.77《8.00/16.50》
2位:小台/東京都荒川区/都電荒川線/88.45《7.65/-》
3位:東十条/東京都北区/JR京浜東北線/86.45《8.50/16.20》
4位:梅島/東京都足立区/東武伊勢崎線/81.9《6.80/10.90》
5位:八街/千葉県八街市/JR総武本線/80.31《-/-》
6位:西新井/東京都足立区/東武伊勢崎線/80.05《6.80/10.55》
7位:荒川遊園地前/東京都荒川区/都電荒川線/79.43《9.05/16.15》
8位:五反野/東京都足立区/東武伊勢崎線/79.32《6.80/11.10》
9位:竹ノ塚/東京都足立区/東武伊勢崎線/79.07《6.70/10.60》
10位:青井/東京都足立区/つくばエクスプレス/79.05《7.20/12.00》
※《参考※》家賃相場(万円):シングル向け(1K/1DK)/ファミリー向け(2DK/3K/3DK)
※10物件以下の母数しかない駅の家賃相場は「-」

 以上のように、上位10位を東京都の北区、荒川区、足立区の街が寡占し、さらに半数を足立区が占める結果となりました。1位:十条、3位:東十条は、池袋・新宿・東京などの都心のターミナル駅から近いにも関わらず、激安商品がそろうスーパーや商店街といった驚きのコストパフォーマンス店の充実が評価されたようです。

 一方、4位:梅島、6位:西新井、8位:五反野、9位:竹ノ塚、10位:青井と、半数を占めた東京都足立区は、一般社団法人東京23区研究所・所長の池田利道氏によると平均家賃水準も低いうえに、「足立の激安は半端ではない」と賞する安さを誇る激安スーパーや小売店が多数存在し、こちらもコストパフォーマンスに優れているようです。

 他方、東京都荒川区の2位:小台、7位:荒川遊園地前も安売りのスーパーや昔ながらの商店街があること。そして、千葉県八街市の5位:八街は、地価や物件価格が比較的安価であることや、農業が盛んでもあるためスーパーでも新鮮な野菜が安く手に入るということなどが、挙げられました。

他にもおすすめ!関東の物価が安いと感じる街

 他にも、不動産会社のスタッフが監修し、2020年に発表された「東京都内の住みやすい街おすすめランキングTOP30!」の“おすすめ理由”もしくは“補足コメント”において、「物価が安い」と評価されている街に、5位:大山(東京都板橋区/東武東上線)、16位:糀谷(東京都大田区/京急空港線)、22位:王子(東京都北区/JR京浜東北線)がランクインしています。

 また、引っ越しに関する諸々の悩みをまとめたサイトにおける「【すべて現地調査】東京に住みたい!住みやすい街ランキング【2020】」の“特色”もしくは“一言コメント”において、「物価が安い」と評価されている街に、1位:高円寺(東京都杉並区/JR中央・総武線)、14位:戸越銀座(東京都品川区/東急池上線)、20位:学芸大学(東京都目黒区/東急東横線)がランクインしています。

 さらに、住宅ローン専門金融機関のアルヒが発表した「本当に住みやすい街2020」において、1位:川口(埼玉県川口市/JR京浜東北線)も評価点の一つに近隣の浦和や大宮に比べ地価や物価が安くコストパフォーマンスが良い点が、さらには2位:赤羽(東京都北区/JR埼京線)も物価が安く住みやすい点が挙げられています。

「ライフステージコスト」に応じた物価計算を

 ところで、種々の商品やサービスの平均的な価格をあらわす物価ですが、商品やサービスは多様であるため、物価水準の変動を表わす指数である「消費者物価指数(CPI)」では、以下の10大費目を定めています。

消費者物価指数(CPI)の10大費目】
「食料」穀類、肉類、外食など
「住居」家賃、設備修繕維持費など
「光熱・水道」電気代、ガス、水道代など
「家具・家事用品」白物家電、食器類など
「被服及び履物」和服、洋服、履物など
「保健医療」医薬品、診療代など
「交通・通信」自動車購入料、ガソリン代、携帯電話通信料など
「教育」授業料、補習教育など
「教養娯楽」教養娯楽用耐久財(テレビ、パソコンなど)、宿泊料、受信料など
「諸雑費」理美容サービス・用品、かばん類など

 なお、消費者物価指数は、全国の世帯が購入するすべての財やサービスを用いて計算されているわけではなく、家計の消費支出のなかで重要度が高いことなどの尺度で選ばれています(そのため、基準時改定の際には入れ替えもあります)。

 こうして費目別に列挙してみると、日々の生活に密着しているため支出として目立つ「食料」「住居」「光熱・水道」といった費目はもちろん大事ですが、それ以外にも「家具・家事用品」「被服及び履物」「保健医療」「交通・通信」「教育」「教養娯楽」「諸雑費」といった様々な“物価”があり、それぞれが生活費の負担となっていることがうかがえてきます。

 例えば、「保健医療」「教育」などは自治体や家族構成、ひいては家族の年齢や個人の特性によっても大きく変わってきますし、「交通・通信」「教養娯楽」などは職場や仕事の形態、家族関係や学校、趣味などによっても住む場所と大きく関わってきます。ということは、ライフステージに応じて自分や家族にあう街をみつけることができれば、家計単位の物価を安くできる=「ライフステージコスト」を下げると同時に、QOLを上げることも可能となってきます。

 一例ではありますが、物価や地価が高いといわれる渋谷区が、「保育・教育」を評価され、「ライフステージコストの安い街ランキング」で1位となったこともあります。医療・育児・老後といった各種の助成制度がしっかりしていたり、住民税がお得でありつつもインフラやサービスが充実していたり、ひいてはそれらのその街に住むメリットが、今の自分や家族にとって最適な街であれば、家計全体の出費とQOLのバランスが最適な街になるように思えます。

 残念ながら現時点では、ピンポイントにある地域内のいろいろな街ごとの消費者物価指数や助成・サービスなどをまとめて比較している情報はなかなかみつけることができませんが、政府の統計指数や自治体のHPでの情報や街ごとの民間企業の情報発信など、自分の行動範囲から街を絞って調べたり比較したりする方法は多々あります。ぜひあなたにとって、最適かつ真に物価が安いと感じる街をみつけ、QOLを向上させてみてはいかがでしょうか。

<参考文献・参考サイト>
・SUUMO住んでいる街 実感調査「物価が安いと感じる街ランキング」を発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000283.000028482.html
・『なぜか惹かれる足立区』(池田利道著、ワニブックス)
・東京都内の住みやすい街おすすめランキングTOP30!一人暮らしに人気な駅も大公開!
https://blog.ieagent.jp/eria/osusumeeki-11901
・【すべて現地調査】東京に住みたい!住みやすい街ランキング【2020】
https://xn--68j8axdn0370d2i2c.com/page-636/
・本当に住みやすい街大賞2020 in 関東ランキング | アルヒ株式会社
https://www.aruhi-corp.co.jp/cp/town_ranking/kanto/
・【本当に住みやすい街2020】1位は物価が安いあの街!初登場5位は若い世代に人気
https://ure.pia.co.jp/articles/-/640687?page=2
・「消費者物価指数」『日本国語大辞典』(小学館)
・「消費者物価指数」『日本大百科全書』(飯塚信夫著、小学館)
・統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) - 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/cpi/index.html
・都道府県別・10大費目別消費者物価地域差指数の構造により各都道府県を8つのタイプ(型)に分類- 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/topics/topi871.html
・東京で一番ライフステージコストの安い自治体は、「渋谷区」!
https://www.o-uccino.jp/article/posts/3699

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