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DATE/ 2020.09.07

上京する人が「東京の西側」に住みたがる理由

 地方から東京に引っ越しする場合、まず、エリア的にどこを選択するのでしょうか。東京在住の視点から、西側のエリア、山の手、小田急線、東急線、中央線沿線に集中しているという声をよく聞きます。本コラムでは、実際に上京する人が東京の西側に集中しているのかどうか、またその理由について考察してみたいと思います。

東京の西側とは?  

 東京の西側は、なんとなくのイメージでいうなら皇居を中心において、その西側のエリアと想定できます。   
 皇居に隣接するのは、都心3区と呼ばれるのは千代田区、中央区、港区。東京駅を中心とした丸の内などのビジネスエリア、銀座などの商業エリアとして日本の経済活動の中心をなしています。東京の中でも地価がもっとも高いエリアでもあります。   
 都心3区に対して副都心4区と呼ばれるのが、渋谷区、新宿区、豊島区、文京区。それぞれ新宿・池袋・渋谷といったターミナル駅があることから、駅ビルや百貨店が立ち並び、日本屈指の商業エリアとして知られています。
 都心3区、副都心4区という軸で、分類されるのが、23区東部、23区西部となります。23区東部は、”下町”エリアとして知られる、足立区、葛飾区、荒川区、台東区、墨田区、江東区、江戸川区の7区。そして、23区西部は、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区、板橋区、北区の9区です。
 このように。東京23区は大きく分けて下記の4つのエリアに大別され、人気のある西側エリアを捉え直すと、新宿・池袋・渋谷といった副都心から西側に延びる沿線上が浮かび上がってきます。

都内の転入傾向と住みたい街ランキング

 2019年の都道府県別人口流入数・流出数・人口流入超過数のデータをみていくと、1年間の転入が転出よりも多い転入超過は、世田谷区(全国7位)、練馬区(全国8位)、品川区(全国9位)、5,336人の大田区(全国10位)と全国815市区のトップ10に4区がランクインしています。
 一方、SUUMO住みたい街ランキング2020を参照すると、2位の恵比寿駅、3位の吉祥寺駅、5位の目黒駅、6位の品川駅、7位新宿駅、8位池袋駅、9位中目黒駅というように、西側エリアに集中しているのがわかります。

西側人気の理由

 居住エリアを決めるのは、通勤・通学の時間であり、生活のしやすさ、家賃の価格などを総合しての判断になります。加えて、居住エリアのステイタスも見逃せません。住みたい街ランキングの影響も大きいでしょう。
 でも、その背景にあるのは、都心から東部の飽和から、副都心を軸としたエリア拡張に伴うイメージ戦略がありそうです。
 多くの大学が西部に開かれていることから、大学から上京した場合、西側に居住するケースが圧倒的に多くなるのは必然です。学生の遊び場となる渋谷・新宿・池袋へのアクセス性も見逃せません。緑あふれる広大な公園が多くのどかな西部の環境は、地方からの上京者にとっては安心感があるようにも思えます。

東から西へ、西から東へ、その揺り返しも

 人気過剰の西部エリアも飽和してくると、ウォーターフロントを配した東部に人気が戻りつつあるようです。90年代の西部人気のなか、あえて東京ディズニーランドに隣接するエリアに居住したり、近年では、浅草、秋葉原といった人気スポット、下町情緒あふれる"カフェの街"として知られるようになった清澄白河周辺の東部エリアに引っ越しを検討している若者の声をよく聞くようになりました。ウォーターフロントのタワーマンションの購入を検討しているサラリーマンも多いのではないでしょうか。
 イメージや利便性だけでなく、個人のライフスタイルやこだわりの価値観から、令和の世における人気居住エリアは揺れ動いていくようです。

<参考サイト>
SUUMO:SUUMO住みたい街ランキング2020 関東版
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/data/sumimachi2020kantou_eki/
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