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DATE/ 2020.09.14

東京都に住む外国人はどれくらいいるのか?

 都心のコンビニでは、店員がみな外国人ということも珍しくありません。また解体作業現場や清掃の現場などでも外国人の作業員をよく見かけるようになりました。グローバル化や少子高齢化によって、特に都市部では外国人労働者は一般的な存在になったと言えるでしょう。では、現在の東京にはどれくらいの外国人が住んでいるのでしょうか。

東京都に住む外国人の総数は57万7,329人

 2020年(令和2年)現在、東京都に住む外国人の総数は57万7,329人です。少し遡って、10年前の2010年(平成22年)は、41万8,116人、さらに20年前の2000年(平成12年)は28万6,648人でした。右肩上がりに増えていることが分かります。東京都のホームページに掲載されている1979年(昭和54年)からの数値をみるかぎり、東日本大震災が起こった2011年から2013年にかけて若干減少した点を除いて、ほぼ毎年増加しています。

 特に外国人労働者の増加率が上がるのは2014年(平成26年)以降です。震災からの復興が本格化する際、建設関係、製造業、食品加工業、介護といったところで人材が不足します。このとき、国内の人材は高齢化していることもあり、外国人労働者の需要が加速したと考えられます。またオリンピックへ向けてのインバウンド需要に応じるためにも、サービス業などでも労働力が必要とされてきました。

ベトナムからの労働者は地方にも多い

 2020年(令和2年)のデータで東京に住む外国人を国籍別に見ると、最も多いのは中国で、全体の17%(23万1,196人)を占めています。次は韓国で6.9%(9万3,595人)。続く3位はベトナムの6.1%です。東京には3万8,227人のベトナム国籍の人が住んでいます。このあと、フィリピン4.7%(3万3,818人)、ネパール3.8%(2万6,150人)と続きます。

 ベトナム人は東京以外の地域でも多く暮らしています。JETROの資料(2018年)から計算すると、在留ベトナム人のうち東京都に暮らす人は約11%、次いで愛知県で暮らす人は約9.5%、3番目に多い大阪府で暮らす人は約7.7%です。東京に住む数が最も多いですが、他の地方都市との差はそれほど大きくはありません。またこの年、ベトナム人の割合がもっとも高い都道府県は群馬県で、約200人に1人がベトナム人となっています。

 ベトナムは日本と結びつきの強い国です。以前から日本はインフラ整備や医療、教育などの面でベトナムを支援してきました。現在には多くの日本企業が進出しており、いわば重要な取引相手です。こういったことから、日本に親近感を持っている人もたいへん多いと考えられます。また、日本の地方自治体の首長が現地へ赴いて覚書を締結し、より関係を強固にする動きもあったようです。このことが東京以外の地域にもベトナム人が多く住んでいる理由かと思われます。

外国人サポートも必要

 日本にいる外国人は、それぞれのコミュニティで暮らしていることも多いです。新大久保が日本人にも大人気の韓国コミュニティであるのは有名です。他にも高田馬場はミャンマー、江戸川区西葛西はインド、足立区竹ノ塚はフィリピンのコミュニティがあります。また、最近では地方自治体も外国人をサポートする窓口を設けています。

 たとえば富山県は、「富山県外国人ワンストップサービス相談センター」を開設しています。ウェブページを見ると、英語、中国語、ポルトガル語は毎日相談員がいて、それ以外にも、ベトナム語、韓国語、ロシア語、ヒンディー語、テルグ語(南インドの地域言語)の相談員がいる時間もあるようです。日常生活上のさまざまな相談を受け付ける窓口として配置されています。一方、東京でも東京都国際交流委員会を中心として、区市町村単位で相談窓口を設け、さまざまな言語サポートを行っているようです。

<参考サイト>
・東京都の人口(推計)│東京都の統計
https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/jsuikei/js-index.htm
・もはや「よその人」ではない 増える被災地の外国人|The Asahi Shinbun GLOBE+
https://globe.asahi.com/article/11722113
・日本の地方自治体とベトナム、交流が多様化|JETRO
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/dd2a2e3f91713f1a.html
・富山県外国人ワンストップ相談センター(Toyama Foreign Resident Support Center)|富山県
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1018/kj00007754.html
・都・区市町村の相談窓口|東京都国際交流委員会
https://www.tokyo-icc.jp/guide/consul/01.html
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