テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
DATE/ 2020.09.17

意外と知らない「貧血」の症状とは?

 「貧血」は、赤血球の中のヘモグロビンに何らかの問題がある状態でおきます。血液検査でヘモグロビンの数値が低いと「貧血」と言われることがあります。ヘモグロビンは身体中に酸素を送る役割をしているので、問題がおきると身体に酸素が行き渡らなくなり、さまざまな機能低下が引き起こされることになります。特に立ちくらみは代表的な自覚症状。ただ、貧血の症状はこれだけではありません。

疲れやすい、息切れしやすい、髪が抜けやすい

 ヘモグロビンは鉄を材料として作られるたんぱく質なので、鉄が不足すると「鉄欠乏性貧血」がおきます。これが「貧血」のなかでも一番多いようです。日経Gooday30+の記事によると、症状として以下のものが挙げられています。

・寝ても疲れがとれない、だるい
・少し動いただけで息切れがする
・髪が抜けやすい
・顔色が悪い
・口内炎がある、飲み込みにくい(鉄不足で粘膜が萎縮するため)
・氷をガリガリ食べたくなる
・爪が割れやすい、へこんでいる(さじ状爪)

 同記事で紹介されている、ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵さんによると、「重度の鉄欠乏性貧血は生死に関わることもある」とのこと。また「心臓の負担が増して心不全に至ることもあり得る」そうです。「貧血」をあなどってはならないことがわかります。

「隠れ貧血」にも注意

 健康診断の血液検査でチェックしておくべき項目は、ヘモグロビンが「男性は13g/dL以下、女性は12g/dL以下ではないか、そしてMCVが80fL以下ではないか」というポイントです。MCV は赤血球の体積を表します。これが基準値より小さいと、鉄欠乏性貧血や慢性炎症(体のどこかで炎症が起きている状態)にともなう貧血などが疑われます。

 また、これらの数値に異常が見られない場合、「隠れ貧血」の可能性があるとのことです。「隠れ貧血」とは肝臓などにストックされている「貯蔵鉄」が減少している状態。これについては詳しい血液検査を行い、フェリチンというタンパク質の値を調べるとわかります。隠れ貧血を放置すると、全身の酸欠状態が進んで心臓への負担も増えていきます。

 また、ダ・ヴィンチニュースの特集記事によると、月経などで少しずつ血液を失った場合、じわじわと貧血になり、ゆっくりと体が酸素不足の状態に慣れてしまうこともあるそうです。この場合、身体に問題はおきていてもとりあえずは無症状で、かなり貧血がひどくなってから症状が出ることもあるそうです。

 つまり、「いつものことだから」と放っておくと、気がつかないうちに心臓に負担がかかっていることもあるということです。心臓に問題が起こるともちろん命に関わります。症状が重くなってからだと問題が大きくなります。健康診断で異常があった人、またここまでの症状が当てはまる人は、早めにきちんと医師の診察を受けましょう。

ビタミンCはヘモグロビンの合成を助ける

 では日頃からできる予防法・改善方法にはどういった対策があるのでしょうか。鉄欠乏性貧血に対しては、普段の食事で鉄を補給することが大事です。鉄分の多い食事に改善したり、サプリメントで鉄分を補給したりすることである程度対応できます。ただし、症状が重い場合は鉄剤の服用や注射も必要になります。ではどのような食事にすればいいのでしょうか。

 鉄分が豊富な食材は、肉類ならレバーや赤身、魚介類ならカツオ、イワシ、あさり、牡蠣などがあります。野菜ではほうれん草や小松菜、またひじきや大豆も鉄分が豊富です。こういった食材を日々の食事に積極的に取り入れていくといいかもしれません。

 また肉や魚といった動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は植物性食品や卵、乳製品に含まれる「非ヘム鉄」よりも吸収率が高く、ビタミンCはヘモグロビンの合成を助けます。また、酢や柑橘類、香辛料は鉄の吸収を高めます。ビタミンCが豊富な野菜は、ピーマンやパプリカ、ブロッコリー、ケール(青汁)、といったものが有名です。もちろん果物の柑橘類にもたくさん含まれています。貧血予防にいい食事を検索するだけでも、様々なレシピが出てきます。こういった食生活の改善に貧血改善の糸口はあるようです。

<参考サイト>
・気づかぬうちに心臓に負担 隠れ貧血はどう見分ける?|日経Gooday30+
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54102790X00C20A1000000/?page=2
・「貧血」を放置してしまっていませんか? 知っておきたい貧血のこと|ダ・ヴィンチニュース
https://ddnavi.com/interview/572561/a/
・結果表の見方|e-人間ドック(日本人間ドック健診協会)
https://www.e-ningendock.jp/know/page-4-2/kekkahyo/
・食品成分データベース|文部科学省
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

あわせて読みたい