社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
茨城・栃木・群馬が魅力度で低迷するのはなぜか?
2019年10月17日、民間シンクタンクのブランド総合研究所が「地域ブランド調査2019」を発表。同時に「都道府県魅力度ランキング2019」が公開され、トップグループおよびワーストグループの都道府県が話題となりました。
そのうち、今回はワーストグループ中の茨城・栃木・群馬の北関東3県にスポットをあて、なぜ魅力度が低迷するのかを考えてみたいと思います。
順位(前年順位)都道府県名:点数
1位(1位)北海道:61.0
2位(2位)京都府:50.2
3位(3位)東京都43.8
4位(4位)沖縄県40.4
5位(5位)神奈川県34.5
「都道府県魅力度ランキング2019」ワースト5
順位(前年順位)都道府県名:点数
47位(47位)茨城県:9.4
46位(44位)佐賀県:11.2
45位(42位)群馬県:11.5
44位(46位)徳島県:12.2
43位(44位)栃木県:12.5
「都道府県魅力度ランキング2019」トップ5は、2018年と全く同じ順位という結果となりました。なお1位に輝いた北海道は、11年連続の首位に輝いています。
他方、「都道府県魅力度ランキング2019」ワースト5をみてみると、ワースト1である最下位の47位に茨城県がランクイン。ちなみにこの結果は前年同様というだけでなく、7年連続の残念な結果となっています。同じく北関東のうち、群馬県は45位(前年の42位からさらにランクダウン)、栃木県は43位(前年は44位)でした。
さらに悲しいことに、北関東3県の魅力度の低迷は、数年来の結果であることです。直近の過去10年の結果は、以下となっています。
「都道府県魅力度ランキング」(2019年~2010年:茨城県・栃木県・群馬県)
(県・年)2019:2018:2017:2016:2015:2014:2013:2012:2011:2010
栃木県/43位:44位:43位:46位:35位:41位:41位:44位:42位:45位
群馬県/45位:42位:41位:45位:44位:46位:44位:47位:44位:41位
茨城県/47位:47位:47位:47位:47位:47位:47位:46位:47位:47位
残念ながら「都道府県魅力度ランキング」の結果が悪かったとしても、そもそも論として、“魅力度”と“魅力”は違います。北関東3県にも“魅力”はたくさんあります。
例えば茨城は、メロンやレンコンなど新鮮な農作物の生産が豊富な一方、常陸牛やあんこう鍋など海山の絶品ご当地グルメも多数あります。また豊富で良質な水資源を生かした酒類の生産も盛んで、地酒だけでなくビール工場もあります。
そして、日本三大庭園の一つでもある偕楽園、武神として崇敬されている鹿島神宮、潮来の水郷観光、国営ひたち海浜公園など、景勝地や観光地も多数あります。
また栃木にも、いちごやかんぴょうなど、おいしい農産物がたくさんあります。他方、宇都宮餃子や宇都宮焼きそば、足利ソースかつ丼、佐野ラーメンなど、いつでも食べたい“間違いなし”グルメも多数そろっています。
そして、“日光を見ずして結構と言うな”ともいわれる日光東照宮、首都圏からもアクセス良好な温泉リゾート鬼怒川温泉、華厳の滝、中禅寺湖、那須高原、足尾銅山、戦場ヶ原など、景勝地や観光地も多数あります。
さらに群馬にだって、キャベツやコンニャクイモなど、新鮮な農作物がいろいろあります。また、おっきりこみ、こんにゃく料理、水沢うどん、高崎パスタ、太田焼きそば、ソースカツ丼、峠の釜めし、焼きまんじゅうなど、おいしいご当地グルメも豊富です。
そして、世界文化遺産の富岡製糸場、天下の名湯と賞される草津温泉、日本三奇勝の一つでもある妙義山、春名神社や伊香保温泉など、景勝地や観光地も多数あります。
つまり、北関東3県の魅力度低迷の一つとして、“魅力”という実力はあるものの“魅力度”というイメージ戦略の結実にまで未だ至っていないこと。つまりは“魅力度”周知の経過途中である、ということなのかもしれません。
2)“自虐”および“コンプレックス”の裏返し?
もう一つのそもそも論として、「都道府県魅力度ランキング」はランキングであるため、相対評価となっています。
そのため、どんなに魅力があっても下位にランキングされる場合もありますし、さらには首都圏に近い北関東3県は、インパクトがありトップ5にもランクインしている東京や神奈川に比べて、残念ながら相対的にランキングが低迷してしまうことはやむを得ないことなのかもしれません。
そのうえ、自虐ネタとしてメディアで喧伝されたり、北関東3県の県民および出身者たちが謙遜およびコンプレックスの裏返しによって魅力度の低迷を嘆いたりしたことによって、よりいっそうイメージが強化されてしまったのかもしれません。
また、ネガティブな情報であったとしても総量が増えることによって、逆転した際の反動も大きくなるというポジティブな可能性も秘めています。
ポテンシャルも高く伸び代も大きいといえる、茨城・栃木・群馬の北関東3県。ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
そのうち、今回はワーストグループ中の茨城・栃木・群馬の北関東3県にスポットをあて、なぜ魅力度が低迷するのかを考えてみたいと思います。
「都道府県魅力度ランキング2019」トップ5・ワースト5
「都道府県魅力度ランキング2019」トップ5順位(前年順位)都道府県名:点数
1位(1位)北海道:61.0
2位(2位)京都府:50.2
3位(3位)東京都43.8
4位(4位)沖縄県40.4
5位(5位)神奈川県34.5
「都道府県魅力度ランキング2019」ワースト5
順位(前年順位)都道府県名:点数
47位(47位)茨城県:9.4
46位(44位)佐賀県:11.2
45位(42位)群馬県:11.5
44位(46位)徳島県:12.2
43位(44位)栃木県:12.5
「都道府県魅力度ランキング2019」トップ5は、2018年と全く同じ順位という結果となりました。なお1位に輝いた北海道は、11年連続の首位に輝いています。
他方、「都道府県魅力度ランキング2019」ワースト5をみてみると、ワースト1である最下位の47位に茨城県がランクイン。ちなみにこの結果は前年同様というだけでなく、7年連続の残念な結果となっています。同じく北関東のうち、群馬県は45位(前年の42位からさらにランクダウン)、栃木県は43位(前年は44位)でした。
さらに悲しいことに、北関東3県の魅力度の低迷は、数年来の結果であることです。直近の過去10年の結果は、以下となっています。
「都道府県魅力度ランキング」(2019年~2010年:茨城県・栃木県・群馬県)
(県・年)2019:2018:2017:2016:2015:2014:2013:2012:2011:2010
栃木県/43位:44位:43位:46位:35位:41位:41位:44位:42位:45位
群馬県/45位:42位:41位:45位:44位:46位:44位:47位:44位:41位
茨城県/47位:47位:47位:47位:47位:47位:47位:46位:47位:47位
北関東3県の魅力度低迷の理由を考察
1)数多の“魅力”が“魅力度”にまで至っていない?残念ながら「都道府県魅力度ランキング」の結果が悪かったとしても、そもそも論として、“魅力度”と“魅力”は違います。北関東3県にも“魅力”はたくさんあります。
例えば茨城は、メロンやレンコンなど新鮮な農作物の生産が豊富な一方、常陸牛やあんこう鍋など海山の絶品ご当地グルメも多数あります。また豊富で良質な水資源を生かした酒類の生産も盛んで、地酒だけでなくビール工場もあります。
そして、日本三大庭園の一つでもある偕楽園、武神として崇敬されている鹿島神宮、潮来の水郷観光、国営ひたち海浜公園など、景勝地や観光地も多数あります。
また栃木にも、いちごやかんぴょうなど、おいしい農産物がたくさんあります。他方、宇都宮餃子や宇都宮焼きそば、足利ソースかつ丼、佐野ラーメンなど、いつでも食べたい“間違いなし”グルメも多数そろっています。
そして、“日光を見ずして結構と言うな”ともいわれる日光東照宮、首都圏からもアクセス良好な温泉リゾート鬼怒川温泉、華厳の滝、中禅寺湖、那須高原、足尾銅山、戦場ヶ原など、景勝地や観光地も多数あります。
さらに群馬にだって、キャベツやコンニャクイモなど、新鮮な農作物がいろいろあります。また、おっきりこみ、こんにゃく料理、水沢うどん、高崎パスタ、太田焼きそば、ソースカツ丼、峠の釜めし、焼きまんじゅうなど、おいしいご当地グルメも豊富です。
そして、世界文化遺産の富岡製糸場、天下の名湯と賞される草津温泉、日本三奇勝の一つでもある妙義山、春名神社や伊香保温泉など、景勝地や観光地も多数あります。
つまり、北関東3県の魅力度低迷の一つとして、“魅力”という実力はあるものの“魅力度”というイメージ戦略の結実にまで未だ至っていないこと。つまりは“魅力度”周知の経過途中である、ということなのかもしれません。
2)“自虐”および“コンプレックス”の裏返し?
もう一つのそもそも論として、「都道府県魅力度ランキング」はランキングであるため、相対評価となっています。
そのため、どんなに魅力があっても下位にランキングされる場合もありますし、さらには首都圏に近い北関東3県は、インパクトがありトップ5にもランクインしている東京や神奈川に比べて、残念ながら相対的にランキングが低迷してしまうことはやむを得ないことなのかもしれません。
そのうえ、自虐ネタとしてメディアで喧伝されたり、北関東3県の県民および出身者たちが謙遜およびコンプレックスの裏返しによって魅力度の低迷を嘆いたりしたことによって、よりいっそうイメージが強化されてしまったのかもしれません。
“魅力度”は情報の総量で勝負する時代
「悪名は無名に勝る」ではありませんが、SNS隆盛の時代、話題の総量こそがパワーの源泉となり得ます。今は魅力度が低迷していたとしても、視点を変えれば「魅力度が低い」という“情報”であったとしても、情報としての価値には変わりはありません。また、ネガティブな情報であったとしても総量が増えることによって、逆転した際の反動も大きくなるというポジティブな可能性も秘めています。
ポテンシャルも高く伸び代も大きいといえる、茨城・栃木・群馬の北関東3県。ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか
サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生
ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とはどういうものだろうか。例えば、富裕と貧困という問題について、「運」で決まるのか、あるいは「運」とは異なる努力、教養、道徳などの要素で決まるのかという点でも、思想家たちの考え方は分かれる。第1...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/18
急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(3)インドネシアの成長とトルコの外交力
グローバル・サウスの中でも高度経済成長を遂げているのがインドネシアだ。長期のスカルノ時代とスハルト時代を経てその後に民主化が進んだ、東南アジアで最大のイスラム教国である。また、トルコは多国間に接する地理的特性と...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/17
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
日本古来の詩の形式である和歌。しかし、その中身について詳しく知っている人は少ないのではないだろうか。渡部泰明氏が和歌のレトリックについて解説するシリーズレクチャー。第一弾である今回は枕詞についてで、その知られざ...
収録日:2019/03/11
追加日:2019/06/15