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DATE/ 2020.10.28

「コンビニスイーツ」はなぜ人気なのか?

 プリンやシュークリーム、ワッフルなど、老若男女問わず大人気のコンビニスイーツ。その売上は年々伸びているといわれ、新商品が出るたびに雑誌や情報番組で特集が組まれるほどです。コンビニスイーツは、なぜこれほどまでに注目されているのでしょうか?

コンビニスイーツの常識を覆した『プレミアムロールケーキ』

 コンビニスイーツとは、ローソンの『ウチカフェ』やセブン・イレブンの『なないろカフェ』などに代表されるコンビニエンスストア各社のプライベートブランド(PB)で展開されている生菓子や焼き菓子のことです。

 これまでコンビニのスイーツといえば、大手菓子メーカーが製造するごくスタンダードな商品が主流でした。当時コンビニの客層が男性中心だったこともあり、スイーツはあくまで「ついで買い」の立ち位置。クオリティは必ずしも求められていなかったのです。

 しかし、2006年ごろから女性客をターゲットに各社のPBスイーツの商品開発が活発化。そのなかで2009年、ローソンが発売した『プレミアムロールケーキ』は、これまでにない専門店さながらのおいしさと「(ロールケーキを)スプーンですくって食べる」という目新しさから、発売からわずか5日間で100万個を販売する大ヒット商品となり、女性客の来店数も急上昇。コンビニスイーツブームのきっかけとなったのです。

『プレミアムロールケーキ』はなぜヒットした?

 『プレミアムロールケーキ』の爆発的ヒットにより、コンビニ各社で「手頃かつ高品質」なコンビニスイーツ開発合戦が始まりました。もともと『プレミアムロールケーキ』も“専門店で感じる満足感を提供する商品”というコンセプトから生み出されたもので、開発担当者に女性を多数起用、高品質な材料を手に入れるために複数の会社と交渉し、発売前には原宿のファッションイベントや雑貨店で試食会を行うこともしたそうです。こうした徹底したマーケティングと惜しみない開発努力がヒットに繋がったと考えられています。

 コンビニスイーツの価格帯は200~400円ほど。おにぎりやパンに比べたら少々値が張るものの、それでも製菓専門店より低価格、かつおいしいコンビニスイーツは、新商品目当てのリピーター客の増加にもつながりました。これまで「ついで買い」程度だったものから「食べたくて買う」意識へと変化をもたらしたのです。

最大の強みは「気軽に買えること」

 コンビニスイーツがこれほどまでに急成長した要因として、「高品質」かつ「低価格」であることのほか「手軽に」「気軽に」買えることも大きなポイントだとされています。

 マイボイスコム株式会社による「コンビニスイーツに関するアンケート調査(2020年5月実施)」によると、コンビニスイーツの購入理由の第1位が「いつでも買える(48.2%)」となっており、特に60・70代では「少量でも買いやすい」「立地がよい・行きやすい」と答えた人が他の年齢層より高くなったということです。

 専門店と遜色ない品質のスイーツが最寄りのコンビニで1個から手軽に買えるというのは、コンビニスイーツ最大の魅力といっていいかもしれません。

これからのコンビニスイーツの新商品に注目!

 昨今では「ゴディバ」のような有名店とのコラボ商品や、ダイエット中の女性に向けた「糖質オフ」のスイーツなど、各社個性的なスイーツが次々と登場しています。なかにはローソンの『バスチー』に端を発した“バスクチーズケーキブーム”のように、これまで知られていなかった新たなスイーツ市場の開拓に一役買うこともあり、コンビニスイーツはスイーツ業界に大きな影響を与えるようになっています。

 もはやブームの担い手ともいえるコンビニスイーツ。これからどんな新商品が出るのか、楽しみですね!

<参考サイト>
・コンビニスイーツに関するアンケート調査(第8回)(マイボイスコム)
https://myel.myvoice.jp/products/detail.php?product_id=26208
・「プレミアムロールケーキ」生みの親・ローソン鈴木嘉之氏に聞いた【ヒット商品の法則】(ハーバー・ビジネス・オンライン)
https://hbol.jp/18299

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