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DATE/ 2021.02.19

「頭痛」の原因と対処法とは?

 頭痛にもいろいろありますが、一般的に“頭痛持ち”と呼ばれる場合の頭痛は、同じような頭痛が繰り返し起きる“慢性頭痛”を指します。

 今回は“慢性頭痛”の代表的な2タイプ、「片頭痛」「緊張型頭痛」のメカニズムと対処法をみていきたいと思います。

ズキンズキンと痛い!「片頭痛」

 頭の片側や両側にズキンズキンと脈打つような強い痛みが発作性に起こる「片頭痛」のメカニズムについては、脳の太い血管が拡張し、その周囲の三叉神経から遊離される血管作動性神経ペプチドが引き起こす脳血管の過度の拡張や血管周囲の炎症が原因とされる「三叉神経血管説」や、脳に片頭痛を起こす発生器のような場所があり、そこが刺激されると前兆や頭痛が起こるとされる「中枢起源説」などがありますが、まだハッキリとは解明されていません。

 「片頭痛」の特徴としては、男性よりも女性に多くみられる、10~20歳代の若年期に発症する人が多い、遺伝的な要因も多い、頭痛発作が過ぎれば体調に問題はない、動くと痛みが増す、吐き気や耳鳴りが併発する、光をまぶしく感じる、吐き気やめまいを伴う場合がある――、などが挙げられます。

 「片頭痛」の対処法としては、適切な頭痛薬を適宜・適量に服用する、患部を冷やす、目をつぶって横になる、暗い部屋で安静にする、小康状態になったら少量のカフェインを摂取する――、などが挙げられます。

 なお、特に「片頭痛」の症状が重い人は、頭痛外来など専門の医療機関の受診もオススメです。予防法を教えてくれたり、体質に応じた頭痛薬を処方してくれたりする場合もあります。気になる人はぜひ一度受診してみてください。

ギューッと痛い!「緊張型頭痛」

 鉢巻きを巻きすぎたときのような、頭がギューッと締めつけられるような痛みを感じる「緊張型頭痛」の主原因は、ストレスにあるといわれています。長時間同じ姿勢をとるといった身体的ストレス、環境の変化による精神的ストレスなど、種々のストレスによって頭部の筋肉が持続的に収縮することによって引き起こされるといわれています。

 「緊張型頭痛」の特徴としては、最も多くの人に起こりやすいタイプの頭痛である、肩や首のこりを伴うこともある、目の疲れや体のだるさを伴うことも多い、片頭痛よりは痛みは弱く自然に治りやすい――、などが挙げられます。

 「緊張型頭痛」の対処法としては、日頃から精神的な緊張を避ける、過労にならないよう注意する、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、軽く体を動かす、首や肩のこりをほぐすなど――、などが挙げられます。

 なお、「緊張型頭痛」の予防と対処には、ストレス発散と心身の緊張緩和が大切となってきます。そのため、ストレッチや軽い運動ができるジム、コリをほぐしてくれる整体や治療院などを活用することもオススメです。

頭痛との上手なおつきあい

 その他にも“慢性頭痛”には、片頭痛と緊張型頭痛の「合併型頭痛」、ある期間だけ目の奥が激しく痛む「群発頭痛」などがあります。基本的に“慢性頭痛”はその人の体質や生活などと密接に関わっているため、完治をめざすよりは人それぞれに上手につきあっていくことが求められているように思います。

 ただし、1)ある日突然に今まで経験したことのない激しい頭痛に見舞われる、2)数日~数週間に渡って頭痛が継続し、しかもどんどん痛みが増していく、3)頭痛だけでなく吐き気・嘔吐・高熱・手足のマヒ・言語障害・意識障害などが併発する――、などの“危険な頭痛”に関しては、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎、脳出血などの緊急の治療を要する場合もあります。すぐに適切な病院で受診をしてください。

<参考サイト・参考文献>
・頭痛|痛み解決ナビ|頭痛にバファリン|ライオン株式会社
https://www.bufferin.net/navi/head/
・『頭痛女子バイブル』(五十嵐久佳監修、世界文化社)
・「頭痛」『日本大百科全書』(海老原進一郎著、小学館)
・「片頭痛」『日本大百科全書』(海老原進一郎著、小学館)
・「片頭痛治療薬[薬]」『イミダス 2018』(仲川義人著、集英社)
・「緊張型頭痛」『デジタル大辞泉』(小学館)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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