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DATE/ 2021.04.10

「老後貧乏」になりやすい人の特徴

気になる言葉「老後貧乏」とは?

 近年、生活資金が不足して貧困に陥ってしまう高齢者が増加しています。このような「老後貧乏」、または「老後破産」、「老後破綻」と呼ばれる現象はすでに社会問題となっており、「年金だけでは老後を生き延びられない」という不安が日本全体に広がっています。

 2019年に金融庁の金融審査会が報告した「老後2000万円問題」を記憶している方も多いでしょう。この2000万円とは、収入が年金のみの無職夫婦世帯が30年間生活するために必要な老後資金とされています。夫65歳以上、妻60歳以上の無職夫婦の平均実収入は月額21万円ほどですが、平均消費支出は月額26万円ほどというデータがあり、毎月約5万円の不足が出ます。つまり、毎月5万円の不足を30年間続けた場合、1千800万円の赤字となるため、2000万円の貯蓄が必要になるという計算です。

 「2000万円」はあくまで平均値なので、誰にでもあてはまるわけではありません。しかし、高齢化が進む一方で年金額は年々減っている現状から考えると、「老後貧乏に陥る可能性は誰にでもある」と気を引き締めたほうがよいでしょう。「自分にはまだ関係ない」と思っていると、老後貧乏への第一歩を踏み出してしまうかもしれません。

こんな人は老後貧乏に注意

 老後貧乏になりやすい人には共通点があります。そのパターンを知って、老後貧乏になりやすい考え方や行動を改めましょう。

 生活水準がずっと同じまま:定年を迎えて退職すると、多かれ少なかれ収入が減ります。それでも退職前と同じ生活水準で暮らしていれば、赤字が出るのは当然ですよね。「定年後再雇用制度」を利用する場合はさらに注意が必要です。この制度を利用すれば定年後も働き続けられますが、正社員から契約社員などに契約変更になることがほとんどです。収入が大きく減るので、「働いているからまだ大丈夫」と油断して以前のままの生活をしていると、大きな赤字を抱えることになってしまいます。

 退職金をあてにする:住宅や車など高価な買い物をしたときに、退職金をあてにしたローンを組むのは危険です。近年は退職金を期待できない企業が増えているので、予想よりも退職金が少なかったという事態も考えられます。この結果、定年後も少ない年金からローンを払い続けることになって老後貧乏に陥ってしまうのです。退職金は老後資金にあてたほうが安心です。

 コツコツと貯蓄できない:少額の貯蓄を甘く見てはいけません。毎月1万円でも貯蓄していけば、20年後には240万円になります。40歳からはじめれば、退職のときにはそれなりの額が貯蓄できるわけです。収入があるとすぐ使ってしまったり、貯蓄を後回しにしたりする人はなかなか貯金が増えず、定年が迫ってから焦ることになってしまいます。

 老後をイメージしないまま生活していると、貯蓄ができないまま支出が増えて老後貧乏に陥る可能性が高くなってしまうのです。

老後貧乏に陥らないために

 定年前の無計画さやぜいたくぶりが響いて老後貧乏に陥ってしまうことがおわかりいただけたのではないでしょうか。だからこそ、老後貧乏対策は1日も早くはじめることが大切です。次のような対策を、早めに生活に取り入れてみてください。

 節約を習慣づける:慣れ親しんだ生活水準はなかなか変えられません。定年間近になって急に節約しようとしても無理があるので、収入があるうちから少しずつ節約に慣れていきましょう。外食を中食に変えたり、電気をこまめに切ったりなど、はじめはめんどうでも慣れれば“普通”になりますよ。

 貯蓄を習慣づける:節約といっしょに習慣づけたいのが貯蓄です。貯蓄用の口座をつくって、少額でもいいので継続的に貯蓄しましょう。現在は投資で資産運用するのがトレンドのようになっていますが、投資は元本割れするリスクもあります。目減りしない貯蓄のほうが安心で確実です。

 ローンは定年前に払い終える:ローンは未来の自分への借金です。そして、定年後の自分は収入が減っている場合がほとんどです。ずっと先の自分をあてにすると、自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。ローンは現状の収入が見込める定年前に払い終えましょう。

 そして健康でいることが一番大切です。健康なら医療費がかからず、ちょっとした仕事もできます。なにより楽しく毎日を過ごすために健康は不可欠。生活習慣に気をつけて、老後も長く元気に過ごしてください。

<参考サイト>
他人事ではない!老後破産する人の特徴と4つの対処法│ライフドット 
https://www.lifedot.jp/rougo-bankruptcy/
2,000万円問題ってどんな問題?│auカブコム 
https://kabu.com/kabuyomu/society/16.html

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