テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.06.05

「SDGs」の世界ランキング…日本は何位?

 最近よく耳にするSDGs、何だか重要そうというのは知っていても、何の略称なのか、具体的になのか、ご存知ですか?また、世界共通で目指すべき目標として掲げられているわけですが、日本はSDGsのランキングでは世界で何番目くらいに位置しているのでしょうか?

SDGsの「17項目の目標」 具体的な内容は?

 まずはSDGsの基本から。「Sustainable Development Goals」の頭文字を取った造語で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となります。これだけだと抽象的ですよね。具体的な17項目の目標と、それを達成するための169個のターゲット、232個の指標が定められています。目標は以下の通りです。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等を亡くそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

 これらは2015年の国連総会で採択され、2016年から2030年までの15年間で世界共通の目標として達成すべき、とされています。政府、企業、個人、それぞれが達成に向けて努力することが求められており、特にSDGsへの取り組みをアピールする企業も増えています。取り組みが武器になるというよりも、取り組んでいないことが投資家から敬遠される理由になる、それくらいSDGsが常識として浸透しつつあるのです。

 そして冒頭で触れた世界ランキングですが、「Sustainable Development Report」という国際的なレポートが2016年から毎年発表されており、最新の2020年版だと166か国に順位がつけられている中で、日本は17位でした。トップ10はスウェーデン、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ノルウェー、オーストリア、チェコ、オランダ、エストニアと軒並みヨーロッパ諸国。ヨーロッパ以外で最高位は16位のニュージーランド、次いで日本、という位置づけです。日本に身近な国だと、韓国が20位、アメリカが31位、中国が48位でした。

日本が評価されていること、いないこと

 17項目の達成度で見ると、達成済と評価されているのは以下の3項目。
4.質の高い教育をみんなに
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
16.平和と公正をすべての人に

 まだ達成済ではないものの、以下の4項目も順調な進捗と見られています。
3.すべての人に健康と福祉を
6.安全な水とトイレを世界中に
8.働きがいも経済成長
11.住み続けられるまちづくりを

 一方で、以下の5項目はまだ課題が多く残っているという評価です。
5.ジェンダー平等を実現しよう
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
17.パートナーシップで目標を達成しよう

 ゆとりだ、脱ゆとりだ、など国内では話題になる教育や、労働生産性が低いという面もある産業についてはSDGsの基準では高評価になるわけですね。平和と公正という点でも夜1人でも安心して歩ける、児童労働がない点などのポイントを抑えていることが要因になっているようです。

 課題の項目とされている方は納得のいくラインアップですね。ジェンダーギャップ指数で日本が下位ということはよく報じられていますし、気候変動や環境保護の部分でやらなければいけないことが山積しているのは“自他ともに認める”と言って差し支えなさそうです。「パートナーシップで目標を達成しよう」については、国民総所得のうちODAが占める割合などが足りないと評価されていました。

 SDGsの期限としている2030年まであと10年を切りました。今後政府、企業、そして1人1人の努力が実ってすべての項目において目標を達成することはできるのでしょうか?

<参考サイト>
・SDGsに取り組む理由とは? | SDGs one by one - SDGsを楽しく学ぶメディアサイト by 相模原市
https://sdgs.city.sagamihara.kanagawa.jp/sdgs-for-individuals/
・Sustainable Development Report 2020
https://dashboards.sdgindex.org/rankings

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授