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DATE/ 2021.09.08

東京の西と東の違いとは?

都民もよくわからない東京の西と東

 東京都は日本の中で3番目に面積が小さい都道府県です(ご参考までに、1位は香川県、2位は大阪府)。この小さい土地に政庁や商業施設などが密集し、一方で自然豊かな公園や山もあるため、都外に住んでいる人にはごちゃごちゃしてわかりづらいイメージがありますよね。しかし実は、都内に住んでいる人でも東側に住んでいると西側、西側に住んでいると東側のことがよくわからないものなのです。

 このような現象が起きる要因は、東京都の中央寄りに新宿や渋谷のような繁華街が多くあり、東側の人も西側の人も中央まで行けばほとんどの用事をすませられるため、それより先まで行く必要がないからかもしれません。また東京の街はそれぞれが個性的なため、東から西に行くなら吉祥寺しか行かないとか、西から東に行くなら秋葉原しか行かないというようなピンポイントの訪問が多いことも要因と考えられます。

 それでは、東京都の東と西とはどこで分かれるのか……気になりますよね。この区分はどうなっているのか、探ってみましょう。

東西の明確な区分はあるの?

 東京都の大まかな構造は、東側に区部、西側に市部・郡部という配置です。ここでひとつ気をつけたい点が、「西東京市」という市があること。西東京市は2001年に田無市と保谷市が合併して誕生した自治体で、ここだけが西東京エリアというわけではありません。ただしその名前のとおり、西東京エリアに区分されることが多いようです。

 「多いようです」というのも、実は東京都の東西に明確な区分はないのです。しかし市部・郡部は西東京エリアとされることが多いため、西東京市という名称に矛盾はないといえるでしょう。

 それでは区部と市部・郡部を区分する線は両者のほぼ中央を通るのかというと、そうでもないのです。東京都全体の面積は約2千200平方キロメートルで、このうち区部は約630平方キロメートル。つまり区部は都全体の3割程度ということになります。面積から考えると少し不自然な区分ですよね。この疑問は高校野球の区割りの変化を見ると解決します。

 現在の高校野球での東東京と西東京の区割りは以下のようになります。

 東東京:練馬区・杉並区・世田谷区以外の区と島嶼部
 西東京:練馬区・杉並区・世田谷区と市部・郡部

 この区割りになったのは2013年の第95回大会から。それ以前は世田谷区が東東京に区分されており、西東京の中野区と入れ替わるかたちで現行の区割りになりました。区割りを変更した理由は、参加校数のバランスを取るためです。第94回大会では東東京が148校、西東京が119校の参加で、約30校の差がありました。このため、20校参加の世田谷区と8校参加の中野区を入れ替えたのです。

 東京の東西がおおまかに東の区部と西の市部・郡部に分けられる理由も、区部に人口が集中しているため、この区分がマーケティングなどのバランスを取りやすいからと考えられます。

23区の区分は江戸城が目安

 区部は人口と同じように商業施設や企業のオフィスも多いため、さらに細かく区分されます。そのなかでも観光案内や物件情報などでよく使われる区分が、城東・城西・城南・城北という4つの分け方。基本的に皇居を中心として、皇居が位置する千代田区を除いた22区を分類します。4つに共通している“城”とは皇居のこと。皇居にはもともと江戸城が建っており、江戸幕府将軍の徳川家代々の居城でした。幕末期に明治維新で幕府が廃止されると皇族に引き渡され、以降から皇居と呼ばれるようになったのです。

 各区分の特徴は次のようになります。

 城東:江戸川区・葛飾区・江東区・墨田区・台東区・中央区。かつての江戸の中心地から海沿いまでのエリア。近年はイーストトーキョーとも呼ばれる下町地区を含む。地価は安め。
 城西:渋谷区・新宿区・杉並区・世田谷区・中野区・練馬区。都内でも有数の商業エリアや繁華街が広がるエリア。世田谷区などの閑静な居住地もある。地価は高め。
 城南:大田区・品川区・港区・目黒区。都心にも郊外にもアクセスしやすく、高級住宅街が集中しているエリア。近年は資産価値に注目した富裕層に人気。地下は安定して高め。
 城北:足立区・荒川区・板橋区・北区・豊島区・文京区。ほとんどが居住地で、古い街並みと地域密着型の店舗が多く見られるエリア。地価が安く、都内でも家を建てやすい。

 このほかに都心3区・副都心4区という区分もあります。

 都心3区:中央区・千代田区・港区。行政やメディアでよく使われる区分。皇居に隣接しており、政治経済の中心的エリア。都内でも最も地価が高く、居住地よりもビジネス街として機能している。
 副都心4区:渋谷区・新宿区・豊島区・文京区。都心機能を分担しているエリア。中心に大きなターミナル駅が多い。地価はやや高めだが、若年層には居住地としても人気が高い。

 同じ都内でもさまざまな表情があることがわかりますよね。東京都で観光するときや住居を探すときには、この区分を参考にするとお目当てが見つけやすくなるのではないでしょうか。

<参考サイト>
西東京ってどんなまち?│西東京市Web 
https://www.city.nishitokyo.lg.jp/smph/daisuki/donnamachi.html
来夏の選手権大会、区割り変更 世田谷区と中野区が変更に│高校野球ドットコム 
https://www.hb-nippon.com/tokyo/news/36-hb-bsinfo/11172-bsinfo20121202001

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