テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.10.20

部下のやる気を奪う言葉とは

 仕事のモチベーションを大きく左右することもある、上司や先輩の言葉。部下を抱える上司という立場にある人は、やる気を出させるために常日頃頭を悩ましているかもしれませんが、その一方で部下のやる気を奪う言葉をうっかり使ってしまっていることはないでしょうか。

要チェック! モチベーションを下げる上司の言葉。

 ソニー生命保険株式会社が行った「社会人1年目と2年目の意識調査2021」のアンケート結果によると、上司や先輩から言われてモチベーションがダウンしてしまう言葉を聞いた質問には、「この仕事向いてないんじゃない?」(29.6%)、「もういいよ、別の人にお願いする」(29.1%)、「やる気ある?」(22.6%)がトップ3に。先輩たちからしたら、まだ仕事に慣れず学生気分が抜けない社員に対してつい軽く言ってしまう言葉かもしれませんが、初めから期待されていない、見放されていると感じて、さらにやる気を失ってしまう若い部下たちも多いようです。

 上記の回答は社歴の短い20代中心の意見ですが、30代以降の社会経験のある程度長くなった人たちにも「やる気を奪う上司・先輩の言葉」をヒアリングして以下にまとめました。

・「おまえ何年目?」「これまで何して来たの?」
 今までの社会経験を、ムダな時間として全否定するような言葉はNGです。期待外れだと遠回しに言われているように感じて傷つき、モチベーションが下がるという声が。自信を失わせる言葉であることは間違いありません。

・「言ってる意味わかる?」「こんなことも分からない?」
 見下され、子供扱いされたように感じるのがこれらの言葉。仕事自体の能力だけではなく、理解能力の低さをいじられるため、プライドも傷つきます。「ここまでは大丈夫?」と理解度を確認する言葉ならギリセーフ、という意見も。

・「ガキの使いじゃないんだから」「いつも指示待ち?」
 上司からの指示通りにきっちり遂行したのに、それだけでは「工夫が足りない」「自主性がない」との言い方をされるとイラッとすることもあります。言わなくてもそれくらい分かるだろう的な態度も、やる気が削がれるとのこと。

・「もう帰っていいよ」「俺がやるからいい」
 苦手分野や分からないことの相談や質問に対して、目も合わさず面倒臭そうにこう言われるとやる気はダウン。見限られたように感じることもありますし、分からないから聞いているのにシャットアウトされると情けない気持ちに。

・「私が若い頃は~」
 上司が自分の過去を引き合いに出し、「俺はもっと大変だった」「その頃は寝ないで仕事してた」などと聞かされると、「じゃあ自分も出来る!なんて、やる気にはならない」との声が。不公平に比べられても、モチベーションは下がるばかり。

 それなりに社会人経験を積んで来た自負があれば尚更、言われて気分が悪く、やる気が奪われる言葉のバリエーションも増えるもの。社会人としてのプライドを傷つけられたり、それまで築いてきたことを否定されたり、「それくらいできて当たり前」という上司のジャッジに理不尽さを感じてモチベーションが下がるケースが多いようです。

やる気UPの言葉でフォローも忘れずに。

 言ってしまった言葉は取り返しはつきませんが、もし「言い過ぎた」と後悔した時には、部下をフォローするモチベーションをあげる言葉も掛けてあげたいもの。

 冒頭に取り上げた20代への調査では、やる気が出る言葉として「君がいて助かった、ありがとう」、「本当によく頑張った」「なんでも相談してね」が上位3つにランクイン。少しでも会社に貢献できた、という喜びや、この先も頑張って行けそうだ、と安心して働ける支えとなる言葉が若手には響くようです。

 また30代以降の方々からは、「さすが、頼りになる!」「仕事が早いね (デキるね)」などの評価の言葉や、「いつもフォローありがとう」「君がいないと回らない」という常日頃の業務への感謝の言葉などが多く上がりました。自分の仕事ぶりを正当に評価されたり、地味な仕事でも見ていてくれているという満足感は、「頑張って来て良かった、これからも頑張ろう」と思う瞬間だということです。

 実は、「良くも悪くも、何も言ってくれない上司が一番やる気が出ない」という声も少なからずありました。言葉足らずで部下に”無関心”と感じさせていないかにも注意し、適切なコミュニケーションで職場のモチベーションを高めたいものですね。

<参考サイト>
社会人1年目と2年目の意識調査2021│ソニー生命保険株式会社
https://www.sonylife.co.jp/company/news/2021/nr_210421.html#sec14
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

無料で開講した石田梅岩、師・小栗了雲から学んだ「無心」

無料で開講した石田梅岩、師・小栗了雲から学んだ「無心」

石田梅岩の心学に学ぶ(3)神道布教の志と「無心」

石田梅岩は20代の頃、二度目となる奉公に出るとともに勉学にも力を入れていく。それを支えたのは、当時京都で隆盛だった吉田神道(唯一神道)をさらに普及させようという志だった。やがて8代将軍・徳川吉宗の世となり、40代を迎...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/04/22
田口佳史
東洋思想研究家
2

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割

江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
堀口茉純
歴史作家
3

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

カーボンニュートラル社会に必要な「発想の逆転」とは

カーボンニュートラル社会に必要な「発想の逆転」とは

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(2)電力の需給バランス

これからの社会では、電力化の進展によるモビリティやロボットの「カンブリア爆発」によって、電力の消費量も増えていくことも予想される。そのような社会を支える電力をいかにサステナブルに供給するかが重要な課題となるが、...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/20
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
5

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授