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DATE/ 2021.12.20

いま話題の「NFT」とは何か?

 2021年の、日本国内新語・流行語大賞は「リアル二刀流/ショータイム」でした。英語圏でも新しいモノ・コトが取り上げられ、英国の「コリンズ英語辞典」の発表などが注目されています。その中で大賞となったワード「NFT」はご存じでしょうか。

 今回は、よく聞くようになったけどよくわからないNEWSワード「NFT」を取り上げてみたいと思います。

NFTとは?

 NFTは、 Non-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)の略語で、非代替性トークンと説明されます。

 さすがにこれだけ聞いてもよくわからないですよね。

 NFTは、暗号通貨と近しい関係にあります。

 非代替性とは代わりがないことを意味します。つまり唯一無二であるということ。暗号通貨が同質のトークンであるのに対し、NFTは同質のトークンとして存在しないことを意味します。

 トークンは、象徴やしるしという意味を持ちます。文脈によって様々な意味を持ちますが、ここでいう「トークン」は既存のブロックチェーン技術を利用して発行された暗号情報とみなすことができます。一般的に知られている暗号通貨 BTC や ETH もトークンなのですが、それぞれ専用のブロックチェーンが利用されるのに対して、トークンは既存のブロックチェーン(分散型台帳)上に新たに作られた暗号情報になります。

 具体的には、簡単に複製されてしまう動画やアートといったデジタル作品に資産価値を持たせるためのネットワーク技術という事ができます。

どんなところで使われているの?

 NFTは2017年頃から存在していたようで、市場が一般的に認知されたのが2020年頃になります。

 NFTがブロックチェーンで管理されるデジタル証明書、つまり偽造ができない鑑定書や所有証明書であることから、デジタルトレーディングカードであったり、デジタルアート作品がNFT化して取引されるようになっています。

 これまで、紙に描かれた絵画作品そのものには高値がつく反面、デジタル絵画データには値がつきませんでした。「NFT」が登場したことで、価値が保証されることからデジタルデータを所有するというスタイルとともに新たな市場が生まれました。

 また、日本財団は、新しい寄付のカタチにNFTを活用する試みを表明するなど、NFTをめぐる新しい経済圏が萌芽しつつあるといってよいでしょう。

今後の課題は?

 初期の暗号通貨市場にもみられたように、国内において法的な定義や取り扱いや販売のルールが明確に定められていないことが大きな課題となっています。ブロックチェーンにかかる電力量、マネーロンダリング(資金洗浄)の問題もクリアされてはいません。デジタルアートやゲームアイテムを始めとする一部NFTの高騰化は社会問題となる可能性を孕み、市場コントロールの方法や悪用されるのを防ぐため、早急なルール設定が望まれるところです。

<参考サイト>
・日本財団:子どもたちの作品をNFTとして販売。新しい寄付のカタチがメタバースではじまる
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/activity/64857
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