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DATE/ 2022.01.19

観測史上、世界の最高・最低気温は?

 近年は夏になると猛暑・酷暑が当たり前になってきていますね。「平年よりも暑くなります」「観測史上、最高気温です」などという天気予報にも、もはや驚かなくなってきました……。

 そんな中、ロシアの極東、サハ共和国では2020年6月に気温が38度にまで達し、北極圏の観測史上最高気温に認定されました。日本だけでなく、世界各国で記録を塗り替える気温が観測されているようです。

 それでは世界で観測された最高気温、最低気温は何度なのでしょうか。調べてみました!

世界の観測史上“最高”気温トップ3

【1位】デスバレー(アメリカ)56.7度/1913年7月10日

「死の谷」の名の通り、世界で最も暑い場所として知られるアメリカ・カリフォルニア州のデスバレー。四方を山脈に囲まれた独特の地形から熱がこもりやすく、今から約100年前にこの地域で観測された56.7度が2021年現在の世界最高気温となっています。

 しかしこの数値は、以前から正確な観測方法に基づいたものではないという指摘がなされており、世界気象機関(WMO)が検証を続けています。続く2位のケビリ(55.0度)もまた古い記録であり、検証結果次第では順位が変動になる可能性も。

 とはいえ、デスバレーでは2021年7月9日に54.4度まで達したという報告がなされ、もしも検証の結果、現状の1位、2位の気温の記録が無効となれば、このデスバレーの54.4度が1位となります。いずれにしても、デスバレーが「世界で最も気温が高い場所」ということに変わりはなさそうですね。

 なお、この地域には300人ほどの住民が暮らしており、8月の気温は43~52度まで上がり、30度を下回ると長袖を着込み出すんだとか……。

【2位】ケビリ(チュニジア)55.0℃/1931年7月7日

 前述したようにこの記録に関しては疑義が唱えられていますが、現時点では世界2位であるチュニジアのケビリ県。夏は気温40度越えも珍しくないいっぽう、冬はマイナス5度まで下がるという気温差の激しい土地です。

 そんな過酷な場所ですが、今も約15万人の住民がたくましく暮らしています。ジャムや石鹸で有名なナツメヤシ(デーツ)が名産品です。

【3位】アフヴァーズ(アフワズ)(イラン)53.9℃/2017年6月29日

 第3位にはイランの都市アフヴァーズがランクイン。春から夏にかけて40~48度近くのうだるような暑さが続き、乾燥地帯のために砂嵐も頻繁に起こります。冬の気温も18度近くまで上がり、雪が降ることはまずないそうです。

 この都市は油田が発掘されて以来大きく発展したものの、昨今は大気汚染が著しく、世界保健機関(WHO)から「世界で最も汚染された街」と指摘されています。

世界の観測史上“最低”気温トップ3

【1位】ボストーク基地(南極)-89.2度/1983年7月21日

 世界最低気温は、文字通り世界の最果てにある南極の氷上観測基地・ボストークの-89.2度。その気温のみならず、常に吹き付ける強風や4ヶ月間に及ぶ極夜といった特殊過ぎる気候から、人類が定住するのは非常に困難とされる地域です。

 ただ基地が乗る厚い氷の下には南極最大の湖・ボストーク湖が広がっており、そこには原始の生物が存在されているといわれています。極寒の難所でありながら、世界中の科学者の熱視線を浴び続けるロマンあふれる場所なのです。

【2位】クリンク自動気象観測所(グリーンランド)-69.6度/1991年12月

 世界第2位の最低気温、かつ北半球の史上最低気温が、グリーンランドの観測所で記録された-69.6度です。ここは標高3,105mの高地にあった無人基地で、1989年から1994年まで設置されていたそうです。2020年、WMOの「気象気候極値アーカイブ委員会」が世界の気象データを整理していたところ、この数値を発見。世界第2位の最低気温に認定されました。

【3位】ベルホヤンスク(サハ共和国)、オイミャコン(シベリア)-67.8度/1892年2月7日、1933年2月6日

 冒頭でご紹介した「北極圏の観測史上最高気温」をたたき出したロシアのサハ共和国のベルホヤンスク、そして同じくロシア領内のシベリアの街オイミャコンの-67.8度が、同記録で3位となっています。定住者のいる地域としては世界で最も寒い、まさに“ベスト・オブ・極寒の街”です。
永久凍土の中で暮らすというのは我々には想像もつきませんが、釣り上げた魚を瞬間冷凍できる、感染症のリスクが低い(この気温ではウイルスが生きられないため)などというメリットもあるそうですよ。

日本国内の“観測史上”最高・最低気温

 それではここで、日本国内の史上最高・最低気温を見ていきましょう。

<日本国内の史上最高気温>
1位:浜松(静岡県)、熊谷(埼玉県)41.1度/2020年8月17日、2018年7月23日
3位:美濃(岐阜県)41.0度/2018年8月8日

 1位は同順位で静岡県の浜松市、そして埼玉県の熊谷市の41.1度です。長らく埼玉県の熊谷市が「日本で一番暑い街」として全国的に知られていましたが、2020年に浜松市がその最高気温に並びました。

 しかし、岐阜県美濃市の41.0度も、それに負けず劣らずの暑さ。美濃は熊谷と同じ盆地であり、加えてヒートアイランド現象やフェーン現象(熱風が山から吹き下ろす現象)が気温上昇の主な要因と考えられています。

<日本国内の史上最低気温>
1位:旭川(北海道)-41.0度/1902年1月25日
2位:帯広(北海道)-38.2度/1902年1月26日
3位:江丹別(北海道)-38.1度/1978年2月17日

 北海道がトップ3を独占。旭川と帯広は1日違いで史上最低気温の1位と2位を記録しており、1902年は日本史上最も寒い2日間だったということになります。実はこの最低気温を観測した1月23~27日に、青森県の八甲田山で日本陸軍の隊210名が訓練中に遭難、199名が死亡するという史上最悪の遭難事故が発生しています。悲しい歴史として記憶にとどめておくべき記録だといえますね。

 いかがでしたでしょうか。極端な気温変動には、地球温暖化が大きく影響しているといいます。これからも環境に配慮しつつ、上手に冷暖房器具を使って暑い夏、寒い冬を乗りこえていきたいですね。

<参考サイト>
・日本経済新聞
北半球の最低気温記録、氷点下69.6度 1991年に更新
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64355720Z20C20A9CE0000/
・歴代全国ランキング(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/rankall.php

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