テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.02.23

宇宙で最も不思議な星7選

地球とまったく違う不思議な星たち

 夜空に無数の星々が輝く姿はとてもロマンチックですよね。もちろんこれらの星々は単なる光ではなく、なかには地球より大規模な星もたくさんあります。そして、地球に住んでいると考えも及ばないような特徴を持つ「不思議な星」も多く、宇宙のスケールの大きさに圧倒されてしまいます。

 このような「不思議な星」たちは、光の速さで向かっても何千年、何万年もかかるほど遠くにあったり、地球と比較して環境が過酷すぎたりして人工衛星を送りこむことも難しく、なぜこんな特徴を持つようになったのかよくわかっていないものがほとんどです。今回は、これらの謎多き星たちのなかから7つをご紹介します。

宇宙に浮かぶ不思議な星7選

 GJ1214b:夏に南の空に現れるへびつかい座のなかの星です。質量は地球の約6.5倍で、全体の約4分の3が水でできていると推測されています。地球によく似た構造のため、「スーパーアース」と呼ばれます。ただし大気は非常に高温高圧で、厚い水蒸気の層に覆われており、地球とはまったく違う過酷な環境のようです。

 グリーゼ832c:秋に南の空ぎりぎりに現れるつる座のなかの星です。質量は地球の約5.4倍で、大気は地球に似た構成をしており、気温も地球に近いと考えられています。地球と比べると極端ですが四季があるとも推測されており、この星も「スーパーアース」のひとつです。生命体の存在も期待されており、注目度が高い星です。

 かに座55番星e:春に西の空に現れるかに座のなかの星です。質量は地球の約8倍で、質量の約3分の1が高密度のダイヤモンドの層になっていると推測されています。これは地球の質量の3倍にもなるのだとか。表面温度は約2000℃にもなりますが、質量や物質構成の分類上で「スーパーアース」とされています。

 HD189733b:夏に東の空に現れるこぎつね座のなかの星です。地球と似た青い星ですが、これは大気の主成分であるガラス(ケイ酸塩)の粒子が光を反射しているためで、海の光を反射している地球とはまったく異なります。しかも時速7000kmもの暴風が吹き荒れているため、常にガラスの暴風雨が降っていると考えられています。

 L1448-MM:冬に南の空に現れるおうし座のプレアデス星団のなかの星で、誕生したばかりの「原始星」。アマゾン川の1億倍もの水を時速約20万kmで放出しています。このような放水現象は原始星の特徴のひとつとされ、この星で初めて規模が測定されました。水は豊かですが、温度は約10万℃もあるため、生命の誕生は難しそうです。

 TrES-2:季節を問わず北の空に現れるりゅう座のなかの星です。太陽のように輝く恒星の近くを公転していますが、光を1%未満しか反射せず、炭よりも真っ黒に見えます。その理由は、気体状になったナトリウムと酸化チタンが大量にあるためという推測もありますが、地球にはない未知の物質の影響とも考えられています。

 HD131399Ab:春に南の空に現れるケンタウルス座のなかの星です。太陽のように明るい恒星が3つも近くにあるため、毎日“太陽”3つが日の出と日の入りを繰り返し、100年から140年も昼間が続きます。しかも、空に“太陽”が3つとも見える時期もあるのだとか。恒星が3つ以上ある連星系はとても珍しいといわれます。

実は地球が一番不思議

 宇宙には、地球で生きていると想像もつかない不思議な星がたくさんあるとおわかりいただけたのではないでしょうか。しかし実は、一番不思議な星は地球なのかもしれません。

 地球人はいまだに、同じくらいのレベルの文明を築いている生命体に巡り合えていないのです。それはつまり、生命体が誕生できる星の条件はとても厳しいことを意味しており、その条件をクリアした地球こそが謎多き奇跡の星といえるのです。そう考えると、地球環境の破壊や汚染を繰り返す地球人の行為はとても愚かに思えますよね。宇宙に目を向けたとき、地球にも目を向け直して、“当たり前”になっている地球の存在に改めて感謝を示したいものです。

<参考サイト>
・PEACHSKNOW 宇宙って不思議な星がたくさん!
https://peach-sknow.com/2019/11/02/blog004/
・ナショナルジオグラフィック日本版サイト スーパーアースの大気は高温の水蒸気?
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/3469/?ST=m_news
・ナショナルジオグラフィック日本版サイト 炭より黒い惑星発見、光をほぼ反射せず
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4723/?ST=m_news
・AFPBB News 昼が140年、「太陽」3個ある特異な惑星を発見
https://www.afpbb.com/articles/-/3093318?cx_amp=all&act=all

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
2

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授
3

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」

歴史における「運」とはどういうものだろうか。例えば、富裕と貧困という問題について、「運」で決まるのか、あるいは「運」とは異なる努力、教養、道徳などの要素で決まるのかという点でも、思想家たちの考え方は分かれる。第1...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/18
山内昌之
東京大学名誉教授
4

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(3)インドネシアの成長とトルコの外交力

グローバル・サウスの中でも高度経済成長を遂げているのがインドネシアだ。長期のスカルノ時代とスハルト時代を経てその後に民主化が進んだ、東南アジアで最大のイスラム教国である。また、トルコは多国間に接する地理的特性と...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/17
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?

ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?

和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1

日本古来の詩の形式である和歌。しかし、その中身について詳しく知っている人は少ないのではないだろうか。渡部泰明氏が和歌のレトリックについて解説するシリーズレクチャー。第一弾である今回は枕詞についてで、その知られざ...
収録日:2019/03/11
追加日:2019/06/15
渡部泰明
東京大学名誉教授