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DATE/ 2022.03.18

日本に住む外国人、増えている国籍や年齢は?

 コンビニや飲食店など、外国人店員がいないと運営が回らない店も数多いと聞きますが、実際のところ日本には何人くらいの外国人が住んでいるのでしょうか。また、どの国籍の人が多いのでしょうか。最新の国勢調査結果からその傾向を見てみることにしましょう。

直近の調査で外国人は急増 内訳は?

 2020年の調査では外国人人口は約274万人で、前回調査の2015年からは83.5万人の増加。割合にすると43.6%増となり、日本人の人口が減少しているのとは対照的ですね。増加率、増加人数ともに1975年以降で最高となっており、特に2010年、2015年が10%未満にとどまっていたのに対しての43.6%増ですから、この5年の急増具合がわかるのではないかと思います。ちなみに外国人の人口は、日本の総人口のうち2.2%です。100世帯の中規模マンションに住んでいたら、そのうち2~3世帯は外国人というレベルですね。地域によって比率は違いますが、全国でならすとこの割合になります。

 国籍別に見てみると、上位3か国は「中国」(66.7万人)、「韓国、朝鮮」(37.5万人)、「ベトナム」(32.1万人)。2015年との比較をすると、「中国」は15.6万人増、「韓国、朝鮮」は0.2万人減に対し、「ベトナム」が23.4万人増です。ベトナム人は5年間で約4倍に増えたことになりますね。都道府県別で比較すると、外国人割合が最も高いのは東京の4.0%(56.4万人)。愛知が3.4%(25.9万人)、群馬が3.1%(5.9万人)と続きます。群馬の外国人割合が多いのは意外に感じる方も多いかもしれないですね。

群馬県大泉町、長野県川上村の共通点は?

 市町村別で見ると群馬県大泉町は人口の18.4%が外国人で、外国人人口の過半数をブラジル人が占めています。大手自動車メーカーSUBARUなどの工場が数多く存在することから、1990年以降にブラジル人が一気に増え、日本最大のブラジルタウンとも言われるようになりました。テレビ東京のドラマ「孤独のグルメ」で大泉町のブラジル料理店が紹介されていたことを記憶している方もいるかもしれませんね。

 大泉町の外国人割合は全国3位なのですが、1位は大阪市生野区で21.8%、2位は長野県川上村で19.0%です。生野区はコリアタウンで有名なエリアで、「韓国、朝鮮」の割合が76.3%と圧倒的です。川上村はレタス栽培で有名な地域で、技能実習生として「フィリピン」、「インドネシア」、「中国」の人口が多くを占めています。こうして見ると、地域ごとに様々な国籍の人たちがそれぞれの理由で住んでいることがわかりますね。

 日本の人口ピラミッドはつぼ型とも呼ばれる少子高齢化が進んだ形になっていますが、一方で外国人は働き手の世代が中心です。特に2015年から2020年にかけては20代の割合が高くなっています。日本人の労働人口が右肩下がりになっていく中で、移民を受け入れることが解決策の1つとして議論をされる一方、反対意見も少なくありません。既に全国各地で行われている外国人材の利活用が、移民政策を議論するうえでのヒントになることは間違いないでしょう。日本人人口の減り方、外国人人口の増え方を考えると、今後も外国人割合が増える傾向にあることは変わりないはずです。

<参考サイト>
・統計局ホームページ/令和2年国勢調査/調査の結果
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka.html
・令和2年国勢調査-人口等基本集計結果からみる我が国の外国人人口の状況-
https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/180.pdf
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