テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.04.23

国家ブランド指数ランキング!…日本は何位?

 世界の国々のイメージや評判を測定するための国家ブランド指数。2021年のランキングがパリに本社を置くグローバル市場調査の会社「イプソス」から発表されています。その動向は、そして日本は何位なのでしょう。

国家ブランド指数とは?

 国家ブランド指数(NBI)の正式名称は「アンホルトGfKローパー国家ブランド指数」。国際的に活躍する政策アドバイザーのサイモン・アンホルト氏が開発したものです。

 2005年より毎年、世界50か国の「国民性」「観光」「文化」「輸出」「国家のガバナンス」「移住・投資」の魅力を評価し、国のブランド力としてランク付けしています。

 日本は当初より対象国に含まれており、アジアの調査対象国で唯一トップ10入りを果たしています。対象国は、2021年から大幅に拡大して60か国となりました。これに伴いアンケート実施数も従来の2万件から6万件へと拡大し、各国の高い関心を集めています。

2021年のトップ10は?

 ランキングのこれまでの流れとしては、2009年以降米国が総合トップの座を維持していましたが、2014年にドイツが米国を抜き、1位となりました。それ以後は抜きつ抜かれつが続きましたが、2017年以降はドイツの首位が続いています。

 では、2021年のランキングを見ていきましょう。

<2021年順位/2020年順位/国名/2021年スコア/2020年スコア>
1位/1位/ドイツ/71.06/69.12
2位/3位/カナダ/70.64/67.86
3位/4位/日本/70.52/67.81
4位/6位/イタリア/70.23/67.11
5位/2位/イギリス/70.08/68.15
6位/5位/フランス/70.00/67.59
7位/7位/スイス/69.76/66.68
8位/10位/アメリカ/69.67/65.67
9位/8位/スウェーデン/69.04/65.83
10位/9位/オーストラリア/68.55/65.76

 トップは5年連続となるドイツ。ベスト10を占める顔ぶれも変わらないものの、日本とイタリアがイギリスを抜き躍進、アメリカも8位と健闘しています。

世界に評価されるポイントとは?

 日本がトップ3に入ったのは2018年の総合2位ランクイン以来です。今回の評価では、「輸出」「観光」「文化」「国民性」で高い点数を獲得しました。

 無観客開催にはなったものの東京五輪の開催地として、国を挙げて「おもてなし」に注力した姿勢が高評価を得たもの。また、アニメやオタクなどのクール・ジャパンからマイコや日本庭園などの伝統的日本までそろう文化・観光資源は、旅行先として多くの層にアピールしています。

 一方、日本に不足していて、ドイツやカナダが高く評価を受けているのは「ガバナンス」や「移民と投資」です。もともと移民大国と呼ばれるドイツは、コロナ禍の2021年にも3万のビザを発行し、堅実な経済成長を続けています。カナダ政府も昨年、2021年から2023年の3年間で合計120万人以上の移民を受け入れる計画を発表。地球全体に関わろうとする積極性が、世界のために役立つガバナンスにもつながっているわけです。

 考案者のアンホルト氏も言うように、世界から評価されたいと思うなら、世界の役に立つ国にならなければなりません。国内だけに目をとどめず、広い視野による国家の行動が問われています。

<参考サイト>
・国家ブランド指数│イプソス
https://www.ipsos.com/ja-jp/nation-brands-index-2021
・「日本は『二つの難問』を解決できるか」サイモン・アンホルト│『外交』vol.3
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/gaikou/vol3/pdfs/gaikou_vol3_07.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
2

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授
3

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える

運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」

歴史における「運」とはどういうものだろうか。例えば、富裕と貧困という問題について、「運」で決まるのか、あるいは「運」とは異なる努力、教養、道徳などの要素で決まるのかという点でも、思想家たちの考え方は分かれる。第1...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/18
山内昌之
東京大学名誉教授
4

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

急成長するインドネシアとトルコ、その理由と歴史的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(3)インドネシアの成長とトルコの外交力

グローバル・サウスの中でも高度経済成長を遂げているのがインドネシアだ。長期のスカルノ時代とスハルト時代を経てその後に民主化が進んだ、東南アジアで最大のイスラム教国である。また、トルコは多国間に接する地理的特性と...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/17
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?

ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?

和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1

日本古来の詩の形式である和歌。しかし、その中身について詳しく知っている人は少ないのではないだろうか。渡部泰明氏が和歌のレトリックについて解説するシリーズレクチャー。第一弾である今回は枕詞についてで、その知られざ...
収録日:2019/03/11
追加日:2019/06/15
渡部泰明
東京大学名誉教授